無失点勝利に大きく貢献した日本代表DF冨安健洋(シントトロイデン)

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[10.12 キリンチャレンジカップ 日本3-0パナマ デンカS]

「始まる前から頭がぼーっとして、今までにない感覚。不安しかなかった」。19歳でのA代表デビュー戦。日本代表DF冨安健洋(シントトロイデン)は試合前の精神状態をそう振り返る。だが、始まってみれば攻守に高いパフォーマンスを披露し、「無失点に抑えられて良かった」とホッとした様子で話した。

 先発出場を告げられたのは試合前のミーティング。「緊張かどうかも分からないくらい……」「本当になぜか分からないんですが頭がぼーっとなって……」。先発出場で代表デビューを控える19歳の身に降りかかったのは、かつて経験したことのない異常事態だった。

 だが、そんな若武者に経験豊富な選手たちの手助けがあった。「いろんな選手が『思い切ってやれ』と声をかけてくれた。槙野さんも『楽しんでやれ』って言ってくれた」。周囲からの声を明かした冨安は「試合が始まってからは意外と身体が動いて、すんなり入れた」と振り返った。

 立ち上がりこそ迷いのあるプレーもあったが、前半16分には右CKのヘディングシュートで持ち味を発揮。同31分にFW大迫勇也にピタリと縦パスを合わせて好機を演出すると、その後も何度もハーフスペースを持ち上がってキラーパスを繰り出していた。

「僕のサイドからのほうがパスを入れやすく、数的優位を作りやすかった。パスはベルギーでも求められている。ベルギーよりは運びながらのパスではあったけど、感覚的に悪くなかった」。

 後半18分には自身のミスでボールを奪われながら、素早く戻ってリカバリーする場面も。激しく感情を露わにしながらプレーを切った冨安は「悔しさです。達成感とかじゃない」と当時の心境を説明。最後まで集中力を切らさず対応し、「無失点は毎試合求めているので良かった」と安心した様子で述べた。

 だが、かと言って感慨に浸るような雰囲気はなかった。「細かいミスはあったし、また映像を見返して反省したい」と口にすると、「1試合やっただけだし、これでどうこうとはならない」とA代表での自らの立場に言及。「練習からアピールしていかないといけない」と厳しいレギュラー争いに目を向けていた。

 19歳でのA代表デビューは2012年のFW宮市亮(ザンクトパウリ)以来6年ぶりのこと。センターバックでは史上初だった。それでも「堂安も同い年で、誕生日が先に来ていただけ。同世代にたくさん良い選手がいて、活躍に刺激を受けている。負けないように思いながらやっている」と自身に求める基準は高い。

「ベルギーでプレーしていなかったらA代表に呼ばれていないし、ベルギーで試合に出してもらっているのでそれが生きている」。自身の成長を日々実感している冨安は「勝ったからこそポジティブに反省できる。これで終わりではないので、切り替えて頑張りたい」とすでに前を向いていた。

(取材・文 竹内達也)