東北大震災で被災した保育園の先生達からの要望で作られたキャリー「避難くん」(日本エイテックス)

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地震や台風など、各地で災害が続いている日本。もしもの時の備えとして必要となるのが防災グッズだ。折しも10月10日(水)〜12日(金)の3日間、東京ビッグサイトで「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2018」が開催され、数多くの防災グッズが展示されていた。ここではその中から記者が注目した「お役立ちグッズ」を10点紹介する。

【写真を見る】塩と水を入れるだけでスマホが充電できる「マグネ充電器」(STAYERホールディングス)

■ 折りたためる防災用ヘルメット

災害時に頭上を守るものとして重要なヘルメット。だが頭に被るものだけあり、意外と大きく日常では収納に難があるものだ。トーヨーセーフティーが販売する「BLOOM3 MOVO」は、3分割された帽体部分により、折りたたみ可能なヘルメット。収納時は厚さ74ミリで、しかも直方体となるので、机の引き出しなどに入れることも可能。もちろん厚生労働省保護帽の規格「飛来・落下物用」「墜落時保護用」の検定合格品だ。価格は5000円前後。

■ アレルギーテスト済み長期賞味期限食品

災害時においても食料は必要不可欠。だが、非常食はどうしても味が単調になりがちで、また食物アレルギーのある人は食べられるものに注意する必要がある。

ロングライフフーズがパッケージをリニューアルして近日販売を開始する「常温長期賞味期限食品」は、常温で最長6年保存が可能という防災備蓄食。しかも火や水を使わなくても食べることができるというから驚きだ。味はご飯やお粥のほか、ナポリタンスパゲッティ、豚汁、ハンバーグ、肉じゃが、さらにぜんざいと多種多様。しかもアレルギー特定原材料(27種)を使用していないとのことで、誰でも安心して食べることができる。価格は1個500円程度。

■ シリコンバンド型メモ用紙

ちょっとしたメモが書きたいけれど紙がない、平らな場所がない、などで便利なのがコスモテックが販売するウェラブルメモ「WEMO」。看護師が自分の腕に直接メモを書いているところからヒントを得たというこの商品。シリコンバンド製で油性ボールペンで直接書き込み、指や消しゴムなどで擦って消すことができる。水に濡れても消えないので、雨天時にメモが失われる心配はない。価格は1300円程度。今後スマートフォンケースなどの応用商品も販売する予定だという。

■ 避難用「抱っこ」キャリー

幼い子供と一緒に避難する際、道が悪くてベビーカーなどが使用できない場合がある。その際に便利なのが子供を抱きかかえられるキャリーだ。日本エイテックスが東日本大震災の被災地保育園からの要望で誕生した「避難くん」は、保育士が子供をしっかり確保し避難できる避難補助具。写真は0歳時の3人抱き(3万円)のもので、両サイドとおんぶで子供を抱きかかえるので、足元が見えやすいという。他にも火の粉を防ぐポンチョ付きのもの、そして子供専用の避難用ベビーポンチョなどがある。

■ 女性用防災セット

災害時に困ることの一つがトイレ。特に女性の場合、プライバシーなどの問題がある。まいにちが販売する「1DAYなでしこレスキューボックス」は、5回分のトイレやウェットティッシュ、目隠し用のトイレポンチョのほか、備蓄用保存水、非常食など10アイテムを一つにまとめた女性用防災セット。比較的コンパクトにまとめられているので、机の大きな引き出しなどに入れることができる。価格は5600円(税別)。

■ 水と塩を入れるだけで発電するスマホ充電可能なLEDランタン

STAYERホールディングスが近日販売する「マグネ充電器」は蓄電池ではなく、水と付属の塩を入れるだけで発電する非常用LEDライト。1回の発電で照明として24時間連続使用できるほか、USB端子を備えスマートフォンの充電ができるという。電力容量はiPhone8なら3回充電可能で、付属するマグネシウム棒を交換することで再利用することが可能。また水が用意できない場合は海水や尿でも発電できるとのこと。価格は1万円前後でマグネシウム棒が3本付属する。

■ 光だけでなく紫外線も照射するライト

ドイツの銃器メーカー「ワルサー」の新製品SDL800(1万4000円・税別)は、光だけでなく、UV紫外線ライト機能を有した懐中電灯。紫外線照射機能の本来の目的は、パスポートや紙幣、クレジットカードの偽造確認用として利用を想定しているとのことだが、夜の避難所など明るさが迷惑になる場所で蓄光機能を有する腕時計などに照射すると、時間確認などができ有効だ。また通常のLEDライトに比べて明るいだけでなく、この手の懐中電灯(フラッシュライト)としては珍しく単4電池でも利用可能だ。もちろん防水機能は万全。

■ 非常用給水袋

断水時、給水車や貯水タンクから水を運ぶ際に必要となるポリタンクやバケツ。しかし普段から用意するには場所を取ってしまう。共同印刷が販売するハンディキューブは、キャップのついた給水袋。キューブ型で座りがよいほか、取っ手が2ヶ所あるため注ぎやすい。また別売りの紐をつかえば背負うこともできる。もちろん繰り返して使うことができる。価格は5リットル用が600円前後、10リットル用が700円前後。

■ 電池の常識を変える「空気発電池」

大型台風や北海道の震災では、長期間に渡る停電が大きな問題となった。その場合、どうしても発電機などが必要になるが、ガソリンなどの燃料を用意したり、そもそもの置き場所が困る。ここで紹介する「エイターナス」は保存袋から取り出し、本体が空気にふれるだけで発電する「空気発電池」。540Wh分の電力容量を取り出すことが可能で、別売りのインバーターと接続してノートパソコンなら15時間、20インチ液晶テレビなら13.5時間、スマホ最大約54回分の充電が可能だという。最長10年の備蓄に対応しており、利用後はアルカリ電池と同じように廃棄可能。価格は「空気発電池」が約6万5000円、インバーターが約2万5000円で、インバーターは再利用可能。

■ 火災時避難用防炎マスク

火災発生現場から避難する際、煙によって視界が奪われたり呼吸ができなくなり逃げ遅れる被害が多いという。火災避難用防炎フード型マスク「ライフキーパーS」は、かぶって紐をひっぱるだけで、視界と呼吸を確保するというフード。火の粉がふりかかっても、難燃素材によって火傷の被害を防げるという。価格は8500円前後。なおあくまで避難用の商品であり救助用ではない。

自宅はもちろんのこと、会社の机に置いておくだけで便利な防災グッズ。今回取り上げた商品は、ほとんどが通信販売などで購入可能だ。この機会に、最新アイテムを取り入れてはいかがだろうか。(東京ウォーカー(全国版)・栗原祥光)