「敗退が決まったとき訪れたのは、安堵感だった」海城高校が見た俳句甲子園

約400年の歴史を持つ世界最短の定型詩「俳句」とは? 俳句の魅力と上達法に全5回で迫る企画、「俳句hike」。特集企画第1回は、「俳句甲子園(全国高等学校俳句選手権大会)」にフォーカス。
俳句甲子園は1998年にスタートし、現在では俳句愛好家が一年で最も盛り上がるイベントのひとつともなっている高校生対象のコンクール。今年(2018年)、強豪ぞろいの東京予選を勝ち上がり、全国大会では敗者復活劇で注目を集めた海城高校俳句部に、俳句甲子園出場経験者の俳人・佐藤文香さんがお話を伺いました。

部を横断して結集した仲間たち

皆さん、他の部活動をしながら俳句甲子園にも出場したんですよね。
青木 はい。ぼくは野球部と兼部です。
石原 水泳部と文芸部と文実(文化祭実行委員)です。
大熊 水泳部と文芸部です。
櫻井 バドミントン部です。
山本 弓道部と文実です。
松本 柔道部と文芸部です。
菊地 ぼくは鉄道研究部、文芸部、演劇部、クイズ研究同好会、あとは文実、図書委員。
すごい多趣味ですね! 海城高校独自の取り組みである「KSプロジェクト」を通して集まったメンバーとのことですが、担当教員の本間純一先生、KSプロジェクトとは何ですか?
本間 各教科のカリキュラムを超えた生徒の主体的な学びの場で、生徒の多様な関心を掘り起こす講座、通常の授業の枠に収まりきらない「とがった」興味に応える講座、学外の活動に積極的にチャレンジする講座など、生徒自身がワクワクしながら学べる場を提供しています。俳句甲子園以外に「模擬裁判」「生物・化学実験の動画撮影」「プログラミング講座」などがあります。
たくさんあるなかでなぜ俳句を選んだの? 多趣味の菊地くんは?
菊地 昔から、俳句や短歌をときどき作っていました。中3のときに、俳句甲子園の存在を知って興味を持ちました。
野球部の青木くんは?
青木 偶然「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」に入選して、あーおもしれーって。
俳句イケるかもーって?
青木 そうです(笑)。

海城A対海城Bのぶつかりあい

で、10人が集まり、AとBの2チームに分かれて、まずは地方大会に出場したと。

※俳句甲子園の仕組み
野球の甲子園と同様、地方大会と全国大会があり、1試合は3回戦。5人1組のチームで出場し、試合は赤チーム対白チームで行われる。まずはそれぞれのチームが1句を読み上げる(披講)。続いての質疑応答では、赤チームの句について白チームが質問、その後白チームの句について赤チームが質問をして、クロストークをする。審査員(プロの俳人、試合によって5~13人)は、句に10点満点で作品点を付ける他、鑑賞力が高い(=議論の内容が良い)と思ったチームにだけ、相対評価で鑑賞点を2点まで入れられる。作品点と鑑賞点を足して合計点数が高いチームの色の旗を、審査委員が一斉に揚げ、勝敗を決定。これを3回繰り返す(決勝では5回)。
大会全体の流れ

▲決勝戦の様子
▲実際の試合の様子
石原 海城Aと海城Bが地方大会のブロックが同じで、いきなり当たってしまったんです。結果、Bチームが勝って、Aチームだった山本、松本は負けてしまった。
松本 正直悔しかった…。
山本 悔しかったけど、1日のなかでその試合がいちばん盛り上がったので。それはよかった。
Bチーム(青木・石原・大熊・菊地・櫻井)は、地方大会を無事に通過しましたね。兼題「桜の実」の句が特によかったです。

※兼題…事前に出題される課題の語。これを詠み込んで句を作る。
山本くん、松本くんはBチームの補欠として参加することになりました。

練習で先生にボコボコにされる

全国大会に向けての練習で、苦労したことはある?
大熊 とにかく人数が集まらない(笑)。出欠管理ツールで聞いてみても、ほとんどの日はぼくと菊地だけ。ふたりで袋回しをやり続けるっていう。あと、(山本)遼太郎と(青木)暢也は遅刻が多かった。遼太郎がいつも、遅刻のおわびってドン・キホーテでお菓子を買ってくるんですよ。
青木 僕、野球部の副キャプテンをやってるんです。野球部を休んでこっちに来ることはできなくて…。で、来れるはずの日も寝坊してしまい。
大熊 昼ぐらいに「いま起きたー」って返信が来たり(笑)。

※袋回し…即吟の句会の一種。封筒などの袋に句を記した短冊を入れて回す形式。
▲チームリーダーの大熊くん
海城高校には、俳句甲子園の全国大会経験者である安里恒佑先生もいます。安里先生のディベート練習が、石原くん櫻井くんを中心に行われたそうですが。
櫻井 うちのチームは、大熊先輩がメインでディベートをしていて、ぼくや石原先輩はあまり喋ってなかったんです。安里先生とディベートで勝負をすることになって…ボコボコにされました。
石原 安里先生えぐかった…。
櫻井 慈悲ない。
石原 慈悲はないね。
▲笑顔で厳しい指導を繰り出す安里先生(右)、ケバブの買い食いで仲を深めた柳元コーチ(左奥)
安里先生は即興?
石原 ニヤニヤしながら即興で作ってました。
櫻井 そして、句に欠点が見当たらない。突きたくても突きどころがないんです。
うんうん。安里先生は若手でも端正な句を書く俳人・安里琉太さん(俳号)。確かに突きどころないかもね。
櫻井 あの練習がいちばんきつかったです……。2日連続で4時間ずつぐらいやりました。
大熊 でもあれでほんとに喋れるようになったよね。二人とも。

ゲストコーチが空気を変えた

他にも、若手俳人の福田若之さん、柳元佑太さんがゲストコーチとして来ました。どうでしたか?
大熊 地方大会や夏もお世話になりました。ぼくらの句を見て、親身にいろいろ言ってくださった。そのときの語彙力がぼくらと別次元でした。そんな言葉もあるのか、そういう使い方もできるのかって、毎日驚きの連続でした。先生がぼくらの句に丁寧に向き合ってくださったおかげで、言葉の引き出しが増えました。
▲福田コーチが題詠のコツをレクチャー
ちょっと年上の気さくなお兄さん、みたいな感覚もありました?
大熊 そうですね。学校からの帰りの方面が同じだったので一緒にケバブを食べたり、電車で俳句以外のことを話したりして仲良くなりました。そのおかげでチーム全体の雰囲気もよくなったし、先生にもいろいろ質問しやすくなりました。
菊地 あれは言わないの?「あさとん」
大熊 いやいや言っちゃダメ。怒られる(笑)。
「あさとん」って何ですか?
大熊 安里先生の愛称です(あっさり)。可愛くないですか? 
可愛いですね。
大熊 2月を俳句で「二ン月」と言うのと同じノリであさと「ん」です。

ギリギリ綱渡りの予選リーグ

さて、全国大会。ちなみに去年の全国経験者は?
大熊 櫻井は高1なんで、今年初参加です。残りは全員地方大会には出ていて、松山で行われる全国大会に行ったのは、ぼくと、石原、青木です。まあ、ぼくは去年、補欠だったんですけど。
▲松山・大街道商店街での入場行進
全国大会には、地方大会に優勝した26チームと、投句審査で選ばれた6チームの計32チームが出場しました。まずは予選リーグがあって、A〜Hの各ブロックから1チームの8チームに絞られます。海城高校はEブロック。岩手県立水沢高等学校B、福岡県立筑紫丘高等学校、愛知県名古屋高等学校の3校との総当たり。混戦でしたね。
菊地 ギリギリの戦いの繰り返しでした。
海城高校は1勝2敗で敗退してしまいましたが、実は、総得点だけを見てみると、Eブロックのなかでいちばん高かった。水沢357点、筑紫丘351点、名古屋362点、海城364点。作品を見ていきましょう。私が好きなのが、
草笛や胸板厚く無所属・新   青木暢也
審査員も5人全員が旗を上げました。この句はどう作ったんですか?
青木 「草笛や」が最初にできて。で、胸板が厚い人物を描こうと思って、いいのないかなーって探しながら歩いていたら、「無所属・新」を謳う政治家が街頭演説をしているのが目に入ったんです。「あ、無所属・新、5音だ!」って。
▲青木くん(左から2人目)
「草笛や胸板厚く」が先にできていて、下五を探していたんですね。メンバーはどう思った?
櫻井 まだ句歴が浅くて、いろいろな句を見て勉強していたんですけど、この句はぱっと見たときに、明らかに他とオーラが違いました。
この句も好きです。
くちなはの頭は己が身に眠る   大熊光汰
大熊 子どものころ福島県に住んでました。あぜ道を歩いてたら、蛇がとぐろを巻いていた。食べるかなあと思って蛙を投げ込んでみたんです。でも、蛇、蛙食べないで寝てた(笑)。なんだ、なんも起きねえなーって。そのときに、とぐろを巻いた蛇って、頭と体が別みたいだなーって思ったのを覚えていて。あの感じを俳句にしてみたかった。
菊地 ぼくも好きな句です。「くちなわ」って言葉の使い方がうまいし、「己が身に眠る」っていうのも情景を描き切れていて、しっかりした作りだと感じました。
あと、問題句だったのが、
川ガキの乾かぬうちに胡瓜食ふ  菊地彪流
川ガキって何だ? とみんなが困惑したという。
菊地 どうも、問題作を作ってしまいました! 想像で作った句なんです。沈下橋がある川の風景と胡瓜を取り合わせて読みたかったんですね。調べていて、川ガキという言葉を知りました。
▲菊地くん(左手前)
最初に見たとき、食べ物の牡蠣のことかと思いました。このガキって子どものことなんですよね。川で遊ぶ子どものことを、「日本の川に棲息する川ガキ」と珍種の動物のように表現している人がいた。それを使ったと。これはチーム内ではどんな評価だったんですか?
菊地 提出の2分前くらいに句ができました。
大熊 ディベートで「川ガキという言葉が分からない」と相手チームに突っ込まれる前に、「これは川で遊んでる子どものことなんですけど」ってこっちから喋り始めてしまおうと。そうすれば既成事実になる。そういう戦略を立てた気がする。
でも、自分のチームの句の自発的な解説は禁じられています(笑)。
菊地 しかも誤植だったんです……。
青木 そうそうそうそう。
菊地 試合では、自分の句が白紙に隠されて吊り下げられているんですけど、その白紙がめくられて、句が見えた瞬間。
大熊 「あっー! あっー! あっー!」って。
菊地 大熊の血の気が引いて。
大熊 いや違う、いちばん取り乱してたのおまえだよ(笑)。
青木 菊地、動揺すると指動くよね。ぴろぴろぴろーって。
大熊 披講のあと「句が違うんだよー」って指ぴろぴろしながら言ってきたよね。
どう違ったの?
▲菊地くんの「指ぴろぴろ」
大熊 「川ガキの乾かぬ“まま”に胡瓜食ふ」だと思ってずっとディベート練習をやってたんです。ギリギリの提出で焦ってたんでしょうね。誤認したまま本番まで来て。「うち」と「まま」、2文字の違いですけど、かなり動揺しちゃって。
菊地 あそこからペースが崩れたよね。

敗者復活戦に追い込まれ…

敗退した海城は敗者復活戦に進みます。大会当日に兼題が発表され、40分以内に1句作って提出なんですよね。出した句が、
水鉄砲みずでっぽうの味の水
これは、みんなで作ったの? 誰かの案があったの?
櫻井 最初の20分でそれぞれ作って、それからみんなの句を見て、良さそうなのを選びました。最終的に3句残ったなかに、ぼくの作った「水鉄砲すこしだけあまい味のして」があって。
▲櫻井くん(右から2人目)
大熊 選ぶときに、句のクオリティよりも、発想のよさに着目したんです。水鉄砲と味で面白いのできるんじゃない? とみんなで話がまとまった。
石原 最初、あの味に名前をつけようとしたよね。でもぜんぜん浮かばなくて。
大熊 水鉄砲の水の味は水鉄砲の味だろうって話になって。
青木 「真ん中も水鉄砲でよくね?」と。リフレインにしようと。
最初に出てくる水鉄砲は漢字で、味のほうはひらがな表記にしたのは?
青木 まず水鉄砲水鉄砲よりも、水鉄砲みずでっぽうのほうが、単純に読みやすいというみんなの意見がありました。ひらがなに開くことによって得られる効果は、ディベートのときに大熊が語ってくれた。
大熊 水鉄砲って誰にとっても懐かしいものだと思うんです。ひらがなに開くことで、柔らかさや郷愁が生まれるかな、と。
敗者復活戦では、9チームに発表する機会が与えられます。さらにそのなかから選ばれるのは、たった2校。選ばれたのは、
青空に満ち干ありけり水鉄砲   名古屋高校

水鉄砲みずでっぽうの味の水   海城高校
松本 喜びのあまり叫んじゃって、周囲が引いてました(笑)
名古屋の句は、海城とは対照的な作りの句ですね。青空を満ち干という水に使う言葉で表現しているのがうまいです。
菊地 ほんといい句ですね。遠くの大空の動きと、自分の手元にあるだろう小さな水鉄砲。このふたつを取り合わせたのはさすが名古屋高校だなあー。

決勝リーグでの話題作

決勝リーグでは、予選突破の4チームに敗者復活の海城・名古屋の2チームをくわえた6チームがAとBのブロックに分かれて総当たり戦をしました。1試合は5人チームによる5回戦です。海城はBブロック。開成高等学校と岡山県立岡山朝日高等学校との戦いになりました。1試合めで、強豪として知られる開成高校と対戦し、1対4で敗北。このとき問題作となったのが、
猫水の揺れつづきたる残暑かな  石原尚昌
「猫水」という分かりづらい表現をあえて使った理由は何ですか?
▲石原くん(中央)
石原 猫水=猫避けのペットボトルと伝わると強く思い込んでました。チームでも「あーはいはいあれのことでしょー」って当然のことのように話が進んでしまって。猫が飲んでいる水だと想像する人がいるとは、思いつきもしなかった。
大熊 自分たちチームと世間一般の間に認識の違いがあったと実感しました。(青木)暢也が「え、わかんない」って言ってたのに。あのとき暢也の意見に耳を傾けておけば…。反省しています。
菊地 披講のとき、すごかったね。開成チームがばーっと電子辞書調べだして、「そんな言葉ない」って。
石原 よりにもよってディベートが苛烈な開成と、この句で戦うことになるとは…。
2試合目は岡山朝日高校と。5対0の圧勝でした。ここで出た句が、
草の花サラダ油と姉の言ふ  櫻井陽輝
 
審査員の関悦史先生が、「草の花のイメージと姉のイメージが重なっている。おそらく清楚で綺麗な人だろう。そんな姉がいきなりサラダ油と口走る。何を考えているかわからない姉の魅力的なキャラクターを伝える上で、草の花という季語が役に立っている」と評していましたね。
松本 道を歩いていたら、姉が突然「サラダ油」ってつぶやいたっていう、そこからどんな姉なのかが見えてくる句だと思います。
サラダ油と姉の関係が不可解であればあるほど読みとして面白いかなって思いました。

決勝戦に出られるか出られないかギリギリ

決勝リーグも混戦でしたね。3チームとも1勝1敗になって、総勝数での判定になりました。しかし海城も開成も総勝数は6で同じ。この場合、総旗数が最も多いチームが勝ちになります。結局、僅差で開成に決まってしまった。そのときの気持ちはどうでした?
青木 3試合めで、開成と岡山朝日の戦いになって、次鋒戦に岡山が勝ったあたりで、こちらは正直こう……ざわざわし始めました。このまま開成が負けたら、ぼくらが決勝リーグに進んでしまう可能性がある。決勝戦用にどの俳句を提出したかすら把握してない状態だったので。ディベート練習もやってなかったし、「やべーやべー」と。まあ、開成は負けちゃったんですけど、それでも決勝戦に進むのは開成だと分かってほっとした(笑)。
それ面白いですね。高校生の大会って、だいたい「一所懸命やった、負けて悔しい」っていう青春物語に回収されがちですからね。
青木 悔しいって気持ちは、前日の予選リーグで負けたときや、直接開成高校に負けたときのほうが大きかった。最後に来たのは、実は安心感だった。その後の決勝で開成は負けて、3連覇を果たせなかったけど、渡辺光くんの最後のスピーチには圧倒された。
菊地 なんかもう、熱量が違いすぎてすごかった。
石原 間違っても僕らが出る場所じゃなかった。
大熊 いや、来年はあそこに行けるよ。
菊地 うん。
大熊 徹底的に準備もする。
菊地 次は誤植もないようにする。

チームリーダーの大熊くんが個人入選

他のメンバーの句で大好きなものを教えてくださいと聞いたところ、大熊くん以外の全員が、大熊くんの句を挙げました。すごいね。
石原 おおー!
菊地 やっぱさすがだ。
松本 モテモテやん。
そんな大熊くんは、俳句甲子園で個人入選も果たしました。
骸なほ翼あたらし草の花  大熊光汰
大熊 もともとは「鳥の死の翼腐らじ草の花」でした。(福田)若之さんに「これ、推敲すればもっとよくなるんじゃない?」と言われて。翼がどうなっているか説明するより、見たときにどうなっているかをそのまんま言ったほうがいいんじゃないかなって思って。じゃあ、新鮮な翼ってことなのかなー? と考えて作りました。
▲大熊くん(右)
菊地くんが好きな句として挙げてましたね。
菊地 はい。鳥は死んでも翼は腐らないという発見があって、それをどう伝えるかを考えたときに、「むくろ」を頭に持ってきて、翼を新しいと表現したのは、やっぱりすごいなあって思いました。
「あたらし」からの「草の花」だから、この草の花の生命感も感じられます。
菊地 生と死のコントラストになっている。この取り合わせも目新しく感じられていいですね。

一生作れなさそうな句

他校の俳句で、すごいぞ! と思った句も聞きました。青木くん、山本くん、松本くんが挙げていた人気句が開成高校の、
旧姓で呼ばれ残暑の母美し  関口 玲
どのへんがよかったですか?
松本 自分の母親を美しいって感じることって、あんまりないじゃないですか。残暑の感じといい、旧姓で呼ばれるシチュエーションといい、すごいなーと。俗な言葉ですけど、エモい。
山本 「残暑の母美し」がカッコいい。残暑のきらきらとした光のイメージがまず広がって、そこに「母」が見えてきて、最後に美しいという実感が来る。いいなー。ぼくには一生作れなさそう。
▲松本くん(中央)、山本くん(右)
お母さん、もしかしたら同窓会とかがあっていつもより綺麗にしてるのかもしれないですね。もともとの苗字で呼ばれた母親がなんだか違う人のように見えた。いつも属しているお父さんや自分たちの側とは違うところにいる人のような。それがうまく出ている句でした。

吟行での話題作

そういえば、全国大会のあった松山での、楽しかった思い出はありますか? 大会翌日に吟行をしたそうですね。

※吟行…外を歩きながら句を作ること。
大熊 そうです。安里先生やOBも参加して。
松本 句会でみんなが笑った句があって。
青木 「おれは笑わねーぞ」つって見て、やっぱり笑っちゃった。OBの中山先輩の句です。
右ちくび左のちくび秋高し
秋高しが効いてますねえ。これは道後温泉に入ったからこそなのかな?
菊地 あの人はもともと、そういうことしか考えてない(笑)。
大熊 いちおう吟行の句だし、意識はしてるのかも?

先生から見た俳句甲子園

先生方にも話を聞いてみましょう。かつての俳句甲子園出場者から見て、どうでしたか?
▲(左から)福田コーチ、柳元コーチ、安里先生
福田 何年かぶりに現地で俳句甲子園を見て、ずいぶん変わったなーと思いました。高校生たちがお互いの句を高め合う場として、質がどんどん上がっている。どうしたらこの句をよりよく読めるか、どう書き換えたらもっと良くなるか、議論がより活発になっていると感じました。海城高校のみんなも、そのなかでよくがんばっていたと思います。
安里 みんな忙しくて練習の時間が取れず、不安を残しての出場でした。でも全国大会に行ってみて、実戦のなかで学び取っていくものが大きいんだなと強く感じました。彼ら自身がディベートを通して句と真摯に向き合い、面白く読んでいた。すごくよかったな。
柳元 4年続けて海城高校の子を知っているんですけど、代によって雰囲気がだいぶ違う。去年とはがらっと句柄の違う子が集まっています。ひとりひとりを見ていて面白かったです。
▲本間先生
本間 毎年違うなかで共通するのは、謙虚さと誠実さが根っこにあるところです。去年、大熊を補欠で連れて行ったのは正解だったなって思ってるんです。彼は、先輩たちが言われたことを自分の事として捉え、「実感のこもった句を作らねば」「たくさん作らなくちゃ」と言って、しかも言葉だけじゃなくてすぐに行動した。「ちゃんとやりたいので、教えてくれる人を紹介してください」という要望は、彼らのほうから出てきた。「場」を与えると、こっちが思っている以上にいろんなものを見せてくれる。教師の醍醐味です。
では大熊くん、先生方のお話を受けて、今年のまとめをお願いします。
大熊 今年は、ぼく自身いろんな出会いに恵まれた俳句甲子園でした。先生方と出会い、後輩もできた。それに全国の、自分よりもレベルの高い俳句を作り丁寧なディベートをしている同年代と顔を合わせるのは、いい勉強になります。ほんとうに楽しかった!

今のメンバーでいるのが楽しい

俳句甲子園は終わりましたけど、いま何か活動はしてるんですか?
大熊 他校に招待されて、交流試合をしたりしています。
これからも俳句を続けますか? という事前アンケートの答えで面白かったのが、松本くんの回答。「今の仲間で結社とか同人誌を持てたら最高かなぁと」。
松本 今のメンバーでいるのが楽しいんで。大人になっても何かやりたい。
エモいなー。みんな、どんな形であれ、これからも俳句を続けていきたい?
全員 はい!


全国から集結したチームが火花を散らす「俳句甲子園」は、多くの中高生が俳句と出合うきっかけの場でもあります。第2回 [ 10月19日(金)公開 ] 〜第4回では、いざ俳句に巡り合ったあとの楽しみ方・句の磨き方について各所に取材していきます。お楽しみに!

撮影/尾藤能暢 取材・文/与儀明子 インタビュー・監修/佐藤文香 デザイン/桜庭侑紀
協力/海城中学高等学校 文芸部 俳句班の皆さん

「俳句hike」特集一覧

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「俳句hike」第5話(最終回)に登場予定の岸本尚毅さんが、
『「型」で学ぶ はじめての俳句ドリル』(岸本尚毅, 夏井いつき著 祥伝社)の発売を記念して
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応募方法
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問題
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受付期間
2018年10月17日(水)12:00〜10月24日(水)23:00
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  • 発表方法/応募受付終了後、岸本尚毅さんの選句を経て、「俳句hike第5話」記事内にて発表。
    『「型」で学ぶ はじめての俳句ドリル』の賞品当選者には編集部から直接DMにてご連絡を差し上げます。
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