お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指すこの連載。先週に引き続き、田町りょう子さん(仮名・32歳 ・IT関連会社勤務)からの相談をもとに、「夫の小遣い制」について森井じゅんさんにお伺いします。

田町さんの質問:「結婚します。子供ができるまでは共働きする予定です。そのあとのことはまだ考えていませんが、私が働けなくなる場合もあると思っています。共働きの間は、お互いに生活費をひとつの通帳に同額入れて、家計をやりくりしていこうと思っています。残った分は、お互いのお小遣いというわけです。でも、旦那さんの給与だけで家計を賄うことになった場合のことが心配です。旦那さんのお小遣いは、いくらにすればいいんでしょうか」

日本の家庭に多い夫の小遣い制。これまで、夫の小遣い額の相場とメリットについて紹介してきました。今回は夫を小遣い制にするデメリットと、「夫婦のお金」を管理するときのポイントを教えていただきます。前回はコチラ

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夫の小遣い制のデメリット3つ
1.夫と妻が対立してしまう。

夫が働いて妻がお金を管理し、妻が夫にお小遣いを渡す形の場合、妻が管理する側となり夫が管理される側といった形での対立が起きがちです。そして、夫は家計への意識が薄くなり、単純にもっとお金を自由に使いたいと思ってしまう。一方、妻は夫にお金を守それを阻む側、といった軸での生産性のないバトルに終始してしまう事も。

2.お金が貯まらない

これしかない、足りないという渇望感やストレスから、逆に浪費をしてしまう人もいます。そもそも、相手(この場合は夫となりますね)のお金の使い方を信用していないから、お小遣い制にしているという家庭が少なくありません。こうした中、もうお金があと少ししかない・使ってはいけない、という締め付けがマイナス効果になってしまうことがあるのです。実際、お小遣い制をやめたら夫の浪費癖がなくなったという方もいるくらいです。

3.将来の可能性を狭めてしまう

お金の使い方は生き方です。人とのつながりが将来に生きてきたり、今ワクワクすることにお金を使うことで道が拓けたりもします。今、他の人から見たら無駄に見えるお金の使い方も、本人の人生にとっては重要だったり、将来の出世につながることもあります。何より、自分自身に裁量がある、という状態が自信につながることもあるのです。

一方、「お小遣いの範囲内でやりくりしなければ」という制約があると、目の前の金額にしか目がいかなくなりがちです。その結果、目先の損得ばかり考えてしまい、身動きがしにくくなることがあります。これは、人生の可能性を狭めてしまいかねません。

「夫婦のお金」の管理には、お互いの信頼と納得感が大切

ところで、相談者さんがある日突然、「今日からお小遣い制にします。手取り全てを出してください。代わりにお小遣いを3万円あげます」と言われたらどう感じるでしょうか。違和感や疑念など全くなく、すべてを差し出すことができるでしょうか。

お小遣い制にする・しないに関わらず、夫婦のお金に関することは、何より信頼と納得感が大切です。信頼は、目的や将来設計を十分に共有していて、お金の使い方や優先順位についてお互いの納得があってこそ生まれるものですよね。

夫をお小遣い制にして収入をすべて家庭に入れ、相手に管理してもらうのであれば、なおさらです。お小遣いの金額についての不満があったり、しっかり管理されているのか疑心暗鬼になるような状況では、よかれと思って始めたお小遣い制も長続きしないでしょう。

結婚後すぐに収入を一本化するのもひとつの手段

また、相談者さんは、「結婚後、共働きの間は、お互いに生活費をひとつの通帳に同額入れて、家計をやりくり」「残った分はそれぞれのお小遣い」の予定との事。そして、子供が生まれてからお小遣い制を、と考えていらっしゃるのですよね。

共働きでそれぞれ収入があり、お互い残った分は自分で好きに使えるという状況から、収入源が一本になったから全て差し出してくださいというのは、違和感・抵抗感が生まれてしまうこともあります。相談者さんが、「子供が生まれた後は夫をお小遣い制にして、全てのお金の管理を自分がしたい」と思っているのであれば、結婚後すぐに収入を一本化し、二人ともお小遣い制にする、というのもひとつです。

「お互いが家庭に全てお金を入れる」ということに慣れておくことで、不公平感も和らぎますし、月のお小遣いの金額やお小遣いで何をカバーするのか、といった課題もクリアにしていくことができます。また、相談者さんもお小遣い制にされる気持ちや、そのときに起こりやすい不満を前もって知ることができるでしょう。

お小遣い制だけがお金を管理する方法ではありません。信頼と納得感が得られる方法を、しっかり話し合って決めて下さい。お互いに裁量を持たせることで、心に余裕ができることもあります。繰り返しになりますが、お金の使い方は生き方であり、その管理方法は夫婦の関係性に影響します。つまり、管理方法次第でプラスにもマイナスにも働くということ。片方に任せきりにせず情報をしっかり共有し、一緒に考えていくことが大切です。

 

夫のお小遣いの額設定が原因で夫婦の関係が悪くなるほど残念なことはありません。



■賢人のまとめ
小遣い制には、家計を管理しやすいというメリットはあります。しかし、それも「どこまでをお小遣いでまかなうのか」を決めず、足りない分を補填するパターンに陥ってしまえば、支出は増える一方です。さらに、夫が小遣い額や妻の家計管理に不満を持つようになれば、夫婦の関係性も悪くなってしまいます。「夫婦のお金」の管理に最も重要なのは、お互いへの信頼と納得感です。家計について、しっかり話し合い、「夫婦で」「お互いが」納得できるお金の管理法を見つけましょう。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。