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こちら「社会保険事務所」ですが・・・

2005年12月11日11時35分 / 提供:PJ

pj
こちら「社会保険事務所ですが」と、電話口で名乗られたら、まずはどう応対するだろうか。Aさん宅に「B社会保険事務所のC」と名乗る女性から、「国民年金未納の件で話があるので、Aさんは在宅ですか」と、電話が入ったのは夕方5時を過ぎた頃だった。家族が不在だと伝えると、「本人が帰宅したら折り返し電話連絡が欲しい」と、電話番号も伝えてきた。夕方6時ごろ帰宅したAさんは、B社会保険事務所に電話をかけ、Cさんを呼び出すが、B社会保険事務所からは「Cという名前の職員は在籍していない」という返答だった。「B社会保険事務所のCと名乗っていたのだから、居ないのは変ではないか」。Aさんが再度確認しても「在籍していない」と返されるだけだった。

 電話を切ろうとするとB社会保険事務所の職員が、もしかしたら社会保険事務所からではなく「社会保険・事務局からの電話だったのでは?」と言ってきた。社会保険庁の組織体系として、各都道府県に一カ所「社会保険・事務局」がある。戸惑いながらも某市にある「社会保険事務局」に電話をするが、返ってきた答えは、事務局にもCという職員は存在しないとのことだった。Aさんは、「新手の『詐欺』ではないか?」とも考えたという。

 その後調べてみると、Cという人物は実在した。では、何処に存在していたのか。各社会保険事務局では、年金未納がある期間続いた場合、未納者に対して納付を促すための電話連絡を外部業者に「業務委託」している。そこに「C」は存在し、電話連絡の業務に携わっていた。結果的には一件落着したように見えるが、問題は残る。

 委託業者の責任者は、「電話連絡をしても本人以外には内容を話すことはないし、連絡が欲しいとは絶対に言わない」と説明するが、Aさんには連絡が欲しいと伝えている。また、Aさんが社会保険事務所と事務局に電話確認した際、応対した職員や部署がそのような仕組みがあることを、電話口できちんと説明していないことも問題だろう。そこからことを複雑にしたと思える。B社会保険事務所は「既にその時間は担当者が帰宅しており、対応出来なかった」と言うが、担当者でなければ解らない内容なのか疑問だ。
 
 基本的に年金未納者に対しての徴収方法は、1)「社会保険事務所の職員が自宅に訪問する方法」、2)「電話連絡による方法」、3)「葉書などの送付による方法」の3通りがある。Aさんが振り回された一件は、2)に当たるのだろう。1)の自宅訪問に関しては、正職員による訪問と、非常勤扱いの「国民年金推進員」が訪問する2通りがある。徴収用の機械を持って訪問する職員の殆どは、後者の「国民年金推進員」だ。2)の電話連絡に関しても、「社会保険事務所」からと、「社会保険事務所からの委託業者」の二通りがある。3)の送付は、社会保険事務局により書面のデザインや文面の一部が変更されているという。「工夫を凝らしながらやっている」と、ある社会保険事務局職員は語る。

 ここで疑問に思うことは、このような手段が採られていることを「どれだけ周知されているのだろうか」ということだ。例えば、尋ねてきた社会保険事務所の職員が携帯している「身分証明書」がどのような物か知っているだろうか。少なくともB社会保険事務所内には、徴収方法や注意を促すための掲示物や出版物は無く、社会保険庁、事務局のホームページでも見つけることは出来なかった。初めて聞く名前ならいざ知らず、「社会保険」の名を騙(かた)られた時に防げる人がどれだけ居るだろうか。

 あくまでも想像だが、年金未納者や受給者の自宅を訪れ、社会保険の名を騙り、年金未納者には「支払わなければこうなります」と騙し、年金受給者には「申請書に記入して、それと保証金を頂ければ年金が更に支払われますよ」などと説明され、冷静に聞けば変な話でも、それなりの名前が出れば騙されてしまう危険性はあるように思う。年金未納の理由には様々な背景がある。ありとあらゆるだましの手口がある中で、それを逆手にこのような話が出てこない保証は何処にも無い。このような仮説は大げさすぎるのだろうか。ただ、ことが起きてからことを起こすのではなく、ことが起きる前にことを起こして欲しいと願うだけだ。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 瀬畑 真一

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