WEC富士6時間:10月11日の風景

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世界耐久選手権(WEC)2018/2019シーズン第4戦「富士6時間」がレースウイークを迎えた。走行初日を翌日に控えた11日、富士スピードウェイでは各陣営のピット設営などの準備が進められており、国際大会に向けて“衣替え”の様相となっている。

今年も静岡県小山町の富士スピードウェイが“海外”になるレースウイークがやってきた。パドックには多くの輸送用コンテナが並び、ピットではWEC参戦各チームが走行への準備を進め、カラフルなマシンたちが揃う。あたりまえの話だが、スタッフ間では日本語以外の言語が頻繁に飛び交っている。秋の富士、おなじみの光景だ。

WEC富士戦は7年連続の開催。過去6年は「年=シーズン(季)」だったが、WECは6月のルマン24時間レースを最終戦とする年跨ぎシーズン制へと移行し、現在は移行期の“スーパーシーズン”として都合1.5年の2018/2019シーズンが進んでいる最中だ。今年(18年)のWEC富士戦は、18年と19年のルマン24時間を含むシーズンの第4戦という位置付けになる。

エントリーは全34台。LMP1クラス8台、LMP2クラス7台、LMGTE-Proクラス10台、LMGTE-Amクラス9台という内訳である。ドライバー編成は各車2〜3人。タイヤはLMP2クラスのみミシュランとダンロップが混在、他の3クラスはすべてミシュランを履く。

日本人ドライバーの富士戦へのエントリーは6人。まずは今年のルマンで総合1-2フィニッシュを達成したLMP1クラスのトヨタGAZOOレーシング、中嶋一貴(#8 トヨタTS050)と小林可夢偉(#7 トヨタTS050)。そしてLMP2に久々に復帰する井原慶子(#50 リジェJSP217-ギブソン)、さらにLMGTE-Amの澤圭太(#61 フェラーリ488GTE)、石川資章(#70 フェラーリ488GTE)、星野敏(#88 ポルシェ911RSR)といった面々だ。

ルマン総合優勝という積年の悲願を達成したトヨタ(トヨタGAZOOレーシング)にとっては凱旋レースとなる。富士ではアウディやポルシェといった強敵を相手に過去6年で5勝、トヨタは母国戦で抜群の実績を誇る。

現在のLMP1クラスはハイブリッドマシンでワークス参戦するメーカーがトヨタだけになっており、今季ここまでの3戦、トヨタはすべて1-2でゴールした(第3戦シルバーストンではレース後の再車検で2台とも失格)。ノンハイブリッドのLMP1マシンで走るプライベーターチームとのトータルパフォーマンス差を埋めるためのルール的な措置も継続的に施されてはいるが、トヨタの優位は揺るがぬまま推移してきた。ただし、今回の富士戦を前にさらなる性能接近化策が講じられたということなので、その影響がどの程度出るのか、注目したいところではある。

また、トヨタは2台のマシンに“レースをさせる”方針を原則的に貫いているので、仮に今回もトヨタTS050の2台が圧倒的優勢を保った場合でも、#8 中嶋一貴組と#7 小林可夢偉組の優勝争いは熱いものになると期待される。

今年のWEC富士6時間は、ふたりのF1ワールドチャンピオンの参戦も大きな話題だ。2005、06年のF1王者フェルナンド・アロンソは#8 トヨタで“10年ぶりの富士優勝”を狙う(アロンソは富士開催だった2008年F1日本GPで優勝している)。もうひとりは今季のSUPER GTにフル参戦中の09年F1王者ジェンソン・バトン。彼はLMP1クラスのSMPレーシングから#11 BR1-AERを駆って参戦、自身にとっては年内3回目となる富士での実戦へと臨む。アロンソとバトン、パドックでは彼らの周辺に多くのファンが集まりそうだ。

走行は明日(12日)から始まり、土曜(13日)が予選、そして日曜(14日)が決勝6時間レースとなる。ちなみに今回のオフィシャルスターターはテニスの元トッププレイヤー、伊達公子さんが担当する予定。

この日の富士の天候は曇り時々小雨、といったところだった。週末の予報も現時点では曇りベースのようだが、いずれにせよ、天候の影響も含めた重厚感あるレース展開こそWEC富士戦の魅力ともいえよう。4つのクラス、それぞれでの激闘が期待される。