とび職、自動車整備士を経て、現在は友人が経営する会社で電気工事士として勤務。ダイビングなど仕事以外の資格も多数所有

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 大学を出て名のある会社でホワイトカラーやるのが高給取りへの道ーーと思っている人が多いが、現実はそうとは限らない。手に技をつけて現場仕事をする人で、相場よりずっと高い収入を得ているケースもある。高収入の理由は、「人柄」のようなアナログな理由だったりもするのだ。

◆社長の信頼に応え続け唯一無二の信頼を見事に獲得

「20歳で自動車整備士養成の専門学校に入り、卒業後は自動車ディーラーの整備工場に就職、その後、26歳のときに現在の電気工事会社に勤める友人に誘われました」

 電気工事会社で課長として働く花沢快さん(仮名・44歳・電気工事・年収780万円)はそう自らの過去を振り返る。

「その友人の親父さんが興した会社で、今は後を継いでそいつが社長をやっているんですが、頭を下げて頼んできたもんだから二つ返事でOKしちゃった。整備士はディーラー系で福利厚生もしっかりしていたから、転職したことを後悔したこともありましたけどね(笑)」

 会社は入社当時、社員が15人しかいなかったが、今は50人近くと規模も拡大。社長となった友人からは昇進の話もあったそうだが、「いくら友達でも一人の社員として評価してほしい」と固辞し、いまだ課長にとどまっている。

「業績好調で年収も780万円もあるし、収入的な不満もありません。そのうち100万円近くが時間外手当で、残業や休日出勤も多いですけど、仕事が好きなので」

 設備工事関連の業界平均年収は540万円(※マイナビ転職調査)。平均の1.5倍近い年収を得ている要因を、プロ経営者の出口知史氏は資格以上に社長を含む職場の信頼関係ではないかと指摘する。

「職場での信頼関係は重要で社外の人脈も大切ですが、経営層から現場まで社内の人脈も必要不可欠なので、自らの価値を上げるためには大切なポイントです」

 人事コンサルタントの曽和利光氏も花沢さんが今の会社で成功できたのは、自分を信頼してもらえるネットワークの存在を最大の要因に挙げる。

「就職には学歴や資格、肩書などのスペックをマーケットで売るのか、人間的魅力や信頼感を買うネットワークで自分を売るのかの2種類があります。この方は完全に後者での採用で、一本釣り的に市場価格を上げている。特に社長は信頼できる人をそばに置きたいため、花沢さんのように裏切らない人になることは有効です」

 自分の値段の上げ方は何も王道だけとは限らないようである。

●花沢さんの値段が高いワケ
通常業務で期待に応え続けることが前提だが、社内の有力者にとって必要不可欠な存在になれば「自分の必要性」は自然と高まる

― 自分の値段を査定せよ ―