TOEIC900点超えを達成できる人の共通点

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多くの企業で社員の英語力を測る基準として使われているTOEIC。短期間で点数をアップさせるには、自分の能力に応じた勉強方法を知ることが大切だ。5つのレベル別にポイントを解説しよう。第5回は「800点〜」――。

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年4月16日号)の特集「英語の学び方」の記事を再編集したものです。

■勉強風景を投稿する、世界中の同志たち

900点の大台に乗るには、リスニングは満点近く取れることが前提。そのうえで、時間的に厳しいリーディングのスコアをどこまで伸ばせるかがカギとなる。

「900点を超えていても、リーディングは8割5分ぐらいしかできていない人も多い。残りは間に合わないんです。まずは時間内に200問を完走することを目指したい」

と濱崎潤之輔氏は力を込める。それには公式問題集をひたすら繰り返すのが王道だ。

「あれこれ手を広げず、まずは一冊でも構いません。最新の『公式問題集3』が本番の試験に一番近い難易度なので、これを完全制覇しましょう。私もいまだに一冊の問題集を10回、20回と繰り返します。TOEICは筋トレやダイエットと同じ。自分から逃げてはいけません。少しでもサボると読む速度が落ち、聞き取る精度も落ちますから」

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(左)『TOEIC L&R テスト 文法問題 でる1000問』TEX加藤著/アスク 2300円+税
「文法対策はこの1冊を制覇すれば間違いないはず。帰国子女など英語をペラペラ話せる人でも文法対策なしに満点を狙うのはなかなか難しいでしょう」
(中)『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』TEX加藤著/朝日新聞出版 890円+税
目指すスコア別に頻出単語を凝縮。「990点を本気で狙うならハイスコア帯の単語300語もキッチリ押さえるべきです」。
(右)知らない単語はアプリでつぶす! アプリ「キクタンTOEIC
600、800、990とレベル別にリリース。価格は720円。「間違えた単語はリスト化されて集中的につぶせます。公式問題集A4コピーと併せて通勤時間のお供に」。

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完全制覇とは、リスニングなら音声をすべて英語のままで理解できる状況だ。聞き取りが曖昧でも、テクニックで正答を導き出せることもあるが、さすがに全問正答はムリ。900点を突破するには、すべてを完璧に聞き漏らさない力が求められる。

ハイレベルな力をつけるには「1日3時間は勉強に充てたい」と濱崎氏は言うが、多忙なビジネスパーソンにとっては至難の業だ。

「5分とか10分単位のコマ切れの合計で構いません。まとまった時間を取ろうという発想は捨てたほうがいいですね」

コマ切れの時間をうまく活用するコツは、5分でできることや15分でできることを予め決めておくことだ。

「たとえば『キクタンTOEIC』などアプリの単語集を使えば、サッとスマホを取り出すだけですから、電車を待つ5分ほどの時間も無駄になりません。電車が来たら途中でやめておき、また次のコマ切れの時間ができたときに続きをやればいい」

公式問題集はかさばるうえに重いが、濱崎氏はA4判に縮小コピーして持ち歩いているという。

「こうすれば混んだ電車の中でもなんとか立ったままで勉強できます」

平日はかようにコマ切れ時間をフル活用し、一通り終わったテストを週末に2時間ノンストップで解く。

「コマ切れ時間の勉強はいわば短距離走の訓練です。でも本番はマラソン。2時間の集中力をうまく維持するという練習も必要です」

濱崎氏の話を聞いていると、900点を超えるには、ストイックな努力が求められるようにも思えてくる。あえて楽しみながら勉強を続けるコツについても聞いてみた。すると、「独学のモチベーション維持にはインスタ(Instagram)がいいですよ」という意外なアドバイス。

「大勢の人が参考書やノートなど、勉強風景を投稿しています。TOEICのハッシュタグ(#)には17万件以上の投稿があります(2018年3月16日現在)。私が満点を目指していた頃は、よく人のブログを見てやる気を出していましたが、今はインスタがお勧めです。『自分も頑張ろう』と刺激をもらうのでもいいし、投稿して己を奮い立たせるのでもいい。やっぱりTOEICは筋トレやダイエットと同じなんです」

■これだけ上がった! 870点→925点

瀬良和弘 スマートニュース ヴァイス・プレジデント エンジニアリング担当

英語が好きで、以前からSEの仕事で必要な英語の資料は難なく読めていました。前職でも5年前、TOEICスコアアップを目指して勉強に取り組んだことがあります。でも仕事で英語を使うという緊急性もなく、あまり勉強に身が入りませんでした。

2年前に今の会社に転職し、マネジャーのポジションに就くと、日本語を母国語としないメンバーとのコミュニケーションや面接などでワンランク上の英語力が求められるように。必要に迫られて、スキルアップのチェックツールとしてTOEICの勉強に本腰を入れるようになったのです。

弱点の会話とリスニングを克服するため、会社が法人契約していたオンライン英会話「レアジョブ」のビジネスコースを受講しました。まずは90回の受講を目標にして、習慣化を図りました。継続のコツは、レッスン終了と同時に次回の予約を入れること。500回を超えたいまでは、朝と夜の1日2回の受講が日課になっています。

通勤時間には、英単語アプリ「リングビスト」、エンジニア向けユーチューブチャンネル、ポッドキャストなどを活用。1日平均1時間半を英語の勉強に充てる生活です。実務で聞き取りのスキルが上がったなと感じると、それがスコアにも表れるので自信につながります。17年10月には925点を獲得しました。

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濱崎潤之輔
大学・企業研修講師
書籍編集者。愛称は「HUMMER(ハマー)」。TOEICで990点を60回以上取得。プロレスや筋トレ愛好家としても知られている。著書に『TOEIC L&Rテスト 本番そのまま プラチナボキャブラリー』など。
 

瀬良和弘
スマートニュース ヴァイス・プレジデント エンジニアリング担当
 

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(大学・企業研修講師 濱崎 潤之輔、スマートニュース ヴァイス・プレジデント エンジニアリング担当 瀬良 和弘 撮影=大槻純一)