筑波大学准教授でアーティスト、起業家の顔も持つ落合陽一氏が10月8日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)に出演した。(文:okei)

落合氏は、著書『日本再興戦略』(幻冬舎)の中で、「日本は間違いなく再興して、明るい未来が待っている」と語っている。大江麻里子アナウンサーが本人の印象を「とてもポジティブ」と聞くと、「僕はネガティブなことは言わないです」ときっぱり。「世の中がポジティブになるかどうかは、(自身が)ポジティブになったかどうかで決まる。そこはやったもん勝負」と言い切った。

高齢化は「目が見えなくなる、耳が聞こえなくなることにテクノロジーで向き合うということ」


落合氏は自身について「僕は自分がやっていないことはしゃべらないのが基本スタンス」と語る。「僕はポジティブに思って頑張って技術開発してるんだから、頑張りゃやれるだろうと思ってるところを積極的に推していきたい」と前向きに語った。ネガティブに考えているだけではなにも生まれないと、自らの行動で示しているように見える。

「人口減少と高齢化はチャンス」とも語る。「人口が減っていくということは、機械化やAIに置き換わるときの物凄い圧力になる」という見方を示した。現在はAI技術を用いた電動車椅子や網膜投影技術を研究中だという落合氏。高齢化は「まさに"目が見えなくなる、耳が聞こえなくなる"ということに対してテクノロジーを使って向き合うということ」と説いた。

後に「テクノロジーを使うことが社会保障と同義」とも話しているが、社会要請として「みんながそうだなと思うこと」であり、それを今やっておくことは大切だと訴える。少子高齢化社会が明るく語られることはない現代に、具体的な方策を示すポジティブな言葉は貴重だ。

「日本はもっと肯定的になっていい。愛国心って言葉はもっとちゃんと使えると良い」

番組では、落合氏への質問をツイッターで募集した(現在は終了)。「20代でやっておいた方がいいことは?」という質問には、 「仕事をガガッとやる癖をつけた方がいいんじゃないですか。体力があるうちに稼いでおいた方がいいと思う」など、矢継ぎ早に回答した。

「日本のいいところはどこですか?」には、「ウナギと鮎がおいしいって言ってます」と大江アナを笑わせたが、「でも文化もなかなか深いし、工業社会以降の綺麗なものっていっぱいあると思うんですよね。それがよく残ってて僕は好きです」と答えていた。

大江アナが「もっと肯定的になっていいですか日本は」と問うと、「もちろん」と力強く答え、

「だって最初からネガティブに入る必要はまるでないと思います。あと愛国心という言葉はもっとちゃんと使えるといいのにね」

と漏らした。「愛国心」は、軍国主義を思わせる言葉として独り歩きすることがあり、使いづらいことがある。生まれ育った国を素朴に愛する気持ちを、普通に表現する言葉として使いたい、ということだろう。

そのほか、「研究で行き詰ったときは?」に「寝る」、「なぜスーツじゃないんですか?」には「楽だから」、「10年後のなりたい職業1位は?」には「Vチューバー」など、淡々と即答していた。落合氏のポジティブさには、「見習いたい」「わたしもポジティブにいこう」などのツイートが相次いだ。励まされた人も少なくないようだ。