ゲームで借金をして夫婦仲が悪くなるケースも。離婚は避けられるのか(写真:mits/PIXTA)

FP(ファイナンシャルプランナー)と夫婦問題カウンセラーの二刀流で仕事をしている寺門美和子です。前回のコラム「『財布は別』共働き夫婦が離婚しやすい理由」では、夫婦とお金をめぐる問題では以下の3つの傾向があるとお話ししました。

1 お金が貯まらない
2 夫の収入がわからず、妻が不安を抱える
3 夫の借金問題(浪費など)で経済不安を抱える

今回は、このうち最も深刻なについてお話ししたいと思います。「お金との付き合い方」は、その人の性格や考えが反映されやすいものの一つです。恋愛期間中には見えなかったパートナーのお金の使い方に、悩んでいる人も少なくありません。「なぜ、そこに大金をつぎ込むの?」と、あまりの価値観の違いに驚きを隠せない人もいます。

なぜ男性は女性よりも高額の借金をしがちなのか

男性からすると、女性の洋服、化粧品がそれに該当するようです。しかし、女性には「いつも美しくありたい」という願望があります。最近では、美容院やエステに加えて、ネイルやマツエクなどを施す人もいるので、そのメンテに費用がかかります。女性にとって、こうした時間は決して無駄ではありません。ネイルやエステに行って話を聞いてもらったり、情報を仕入れたりして、上手にストレス発散をしているからです。高額なブランド物やホストクラブなどにお金をつぎ込まない限り、女性が多額の借金を負うことはさほどありません。

一方、男性は女性よりも高額の借金をしやすい状況にあります。ひと昔前なら、起業・開業の失敗や借金の連帯保証人といったものが多かったのが、今はパチンコ、ゲームなどのギャンブル系だけでなく、株や為替、仮想通貨などへの投資によるものも増えています。初めは微々たるものだったのがいつの間にか額が膨らんでいき、消費者金融から借り入れをしたり、家族の預貯金に手をつけたりすることが多いようです。

こうした傾向は30〜50代の既婚者に多く、初めは隠していたものの、金額が膨らみ隠しきれなくなって、いつしか妻の知るところになる。この世代は、会社でのストレスが大きく、子育てで忙しい妻に甘えられず、こうした行動に走りやすいのです。その結果、喧嘩が絶えなくなり、開き直った夫は「俺が稼いだ金なんだから、どう使おうが勝手だろう」という捨てセリフを吐き、疲弊した妻は精神的不安と経済的不安を抱え苦しみます。

私が相談を受ける中で、こうした問題を抱えている夫婦にはいくつかの共通点が見えてきました。どんな問題も、始まりはほんの些細なことです。最近は共働きの夫婦が増えていますが、妻の負担は重くなる一方です。夫と同じように仕事をし、帰宅してからも家事や育児をこなし、休みは普段できない家事をしたり、子供と過ごしたりと、自分の時間がほぼない状態の人も少なくありません。一方、夫も家事を手伝い、休日も家族サービスをしていますが、どうしても「してやっている感」が出やすいのです。妻は「やって当たり前」だけど、自分は「してやっている」という温度差が生じやすいのです。

そのため、妻は、夫をある程度自由にさせる傾向にありますが、今度は「私は我慢しているのに、夫は好きなことばかりしている」という新たな不満が起こります。

「ギスギス夫婦」の「5つの特徴」とは?

そうすると、日々の生活の中で、妻が夫に対して無意識に嫌味を言ったり、不満な態度をとったりしやすくなり、そこから夫が浮気やギャンブルに走る傾向があるようです。こうした夫婦には、以下の「5つの特徴」があります。

1 夫より妻の方が高学歴

妻が夫よりも高学歴な夫婦にこの傾向があります。妻に話を聞くと、出会った当時、自分の周りにいなかったヤンチャな夫に魅力を感じたといいます。この場合、夫は妻に引け目を感じているのでしょう。

2 妻に弱みを見せられない

仕事でのストレスなど、妻に弱みを見せたくないプライドが高い夫は、ギャンブルに走りやすいようです。こうなってしまう理由に、「妻が忙しい」、「冷たい」「賢しこすぎる」ということがある一方、逆に「優し過ぎる」というものもあります。結局、男性というのは、少しおバカで愛嬌がある女性のほうがほっとするのかもしれません。

3 妻が甘え下手

悩んでいる女性の多くは、がんばり屋で非の打ちどころがないような人ばかりです。でも、夫に甘えるのは下手で、甘えるくらいなら自分で考えて処理しようとする人が多い。こうした場合、妻が頑張らずに弱い部分を見せた途端、状況が変わるケースもあります。

4 夫に、人に言えない暗い過去がある

まだ夫婦が知り合う前、成人前の生い立ちの中で、夫には人に言えない挫折や孤独を味わったことがあるようです。ご主人の職業を伺うと、エンジニア系が多い傾向があります。

5 妻の親はもとから結婚に渋い顔をしていた

親は冷静に物事を見ています。両家の温度差に気がついていたのでしょう。しかし、反対されればされるほど、燃え上がるのが恋愛期です。「あのとき、親の言うことを聞いていれば……」と後悔する妻の声は絶えません。

ゲームと仮想通貨は要注意

またギャンブルなどに依存しやすい人が注意しなくてはいけないのが、ゲームと仮想通貨です。今の30、40代は子供の頃からゲームに慣れ親しんでいます。仕事では日々パソコンを使っていて、その延長で、気軽にゲーム感覚で仮想通貨や株式投資に手を出してしまうのです。また、50代前後以上になると、パチンコに多額のお金をつぎ込む人も少なからずいます。

最近は無料でできるゲームでも、ステージやアイテムによって有料になる場合があります。有料の壁はやすやすと超えてしまいます。なぜなら、「ワンクリック」するだけだからです。

ある男性の話を聞くと、正月休みに実家へ帰り、何もすることがなかったのでスマホでゲームに没頭。あっという間に、10万円も使ってしまったそうです。パチンコや麻省などのギャンブルは、そこまで費やすにはもっと時間がかかりますが、ゲームの場合はほんのわずかです。非現実的な世界で熱くなると、金銭感覚までおかしくなるので非常に恐ろしいのです。

こうした問題はお金の知識うんぬんではなく、心理的なものなので簡単には解決しません。解決の糸口を見つけるには、まずカウンセリングで「こんなこと、考えたこともなかった」という質問を次々としていきます。その中で、育った環境や価値観の違いに気づくことですが、気づいた結果、妻は「夫に寄り添う人」と「別れる人」に大きく別れます。

ただ、離婚は最終手段であり、言ってみればいつでもできます。せめて離婚を決断する前にもう一度相手の本当の気持ちをくみとり、温かく接してはいかがでしょうか。そこまで突き詰められれば、仮に離婚しても後悔はしないでしょう。ここで「ギャンブルは全部ダメ」というのもよくないと思います。度を超えない範囲で、ストレス発散ができるなら、利用するのも手です。ここは冷静な目で向き合うべきです。

例えば、4人の子供がいるある夫婦は、10年ほど前に自宅を建てました。「夫に万が一のことがあったら」と、多額の死亡保険金を掛けたのです。そのため月々の保険料は7万円超でした。パソコンを使い自宅で仕事をしていた夫の趣味はバイク。しかしそこにお金をかけると、妻にガミガミ言われるので、近所で気楽にできるパチンコが趣味になっていったといいます。通う頻度が増えるとともに、毎月のパチンコ代が膨れ上がっていきました。

夫は妻に文句を言われても一向に辞めず、妻に内緒で数十万円の借金をしていたことが露見。妻の不安と怒りはついに爆発し、離婚を決断したと言います。

しかし、お話をよく伺うと子供たち4人のうち3人は成人し、末っ子はすでに大学2年生。また保険を見直して月々の保険料を下げれば、家計への圧迫が減ることも判明しました。結局、保険料を見直した結果、家計の支出も減り、それだけで妻の精神的な負担が軽くなりました。こうして余裕ができると不思議です。その後の夫婦の話し合いで「毎月使うパチンコ代の減額交渉」が成立。夫婦問題は無事解決しました。妻も夫への態度を反省し、お互いの気持ちを確認し合えたのです。

「ライフプランニング」で互いの将来を見据える

また別のある夫婦はFPにライフプランニングをしてもらい、今後の収支を客観的に見たところ、ある一定額以上を使うと、10年後の家計が苦しくなるのがわかりました。

実は、ここが分岐点です。多くのケースではここで冷静になり、話し合いをすることで問題は解決していきます。それまで感情的に「お金遣いが荒い」と妻が怒り、「うるさい、俺が稼いだ金だ。何に使おうが俺の勝手だ」という感情論だけで走っていましたが、冷静に「10年後子供にお金がかかるころ家計は赤字です」という話をすると、ほとんどの夫婦は「はっ」と気がつくものです。

そして、夫婦それぞれがどんなストレスを抱え、日々生活をしているのかをシェアすることで心が軽くなり、夫婦仲がいい方向に変わってきます。人間関係においてお互いをよく理解することは、とても大切なことです。さらに、貯金傾向だった家計は投資体質に変わることでiDeCo(個人型確定拠出年金)などに興味を持つ方もいます。夫婦で投資について会話ができると、目先のお金だけでなく、長期・中期の家計の収支を予測できます。そうなれば、無駄な喧嘩をしなくなり、不安は解消されていきます。

近い将来、教育費の無償化が実施される可能性も高いのですが、こうした浮いたお金を消費するのではなく、将来のためにお金を増やし、増やしたお金でさらに人生を楽しもうという心構えに切り替えられると、不安の少ない豊かな人生になります。