「残業は嫌ですし、会社での立場がよくなることはないと諦めていますが、もう少し給料があれば……とは思います」と語る田中さん

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 転職市場で、自分のキャリアなら年収いくらが相場なのか?  今の年収が相場以下なら、なにが原因なのか? 働く人のケースをもとに、人事の専門家に査定してもらった。
◆地方在住は割安になりがち?人気業種SEの市場価格

「毎日朝から深夜まで働くブラックな待遇で、常に『早く辞めたい』と考えています」と呟くのは、北関東のシステム会社で勤続10年目を迎える田中待雄さん(仮名・41歳・SE・年収500万円)。自らを自嘲気味に“社畜”と呼ぶ。

「今の会社は忙しすぎるし、働かない同僚が多いしで、かなりの不公平感はあります。でも、年齢的に考えて、仮に転職したとしても、他社では到底受け入れてもらえるとは思えません。そんな僕に対して、年収500万円という金額は悪くはないかなと一応は受け入れています」

 40代を迎えた頃から、会社側からは「管理職にならないか」と声をかけられているものの、かたくなに断り続けているという。

「管理職になっても、給料は数万円しか上がらないのに責任ばかり増える。もともと人と話すのが苦手で、一人でコツコツ作業するのが性に合っているんです。煩わしい人間関係に巻き込まれるのなら、このままでいいかな……と」

 これに対して、人事コンサルタントの曽和利光氏は「東京に行けば、市場価値アップを狙えるかも」と提言する。

「今、都心ではエンジニア不足が深刻です。現在の業界の平均年収は529万円なので場所を移るだけで伸ばせる余地はあると思います。専門分野にもよりますが、もし地方から都心に移れば、賃金はすぐにアップするでしょう」

 働く場所だけでなく、働き方を変えることでも自分の値段を上げるチャンスはあるよう。

「ご本人の性格もあるのかもしれませんが、そもそもせっかく見込まれて管理職登用の相談があるのを断るのはあまりにもったいないですね。現在、エンジニアとしての現場の知識と経験を持ちつつ、マネジメント経験がある人材が強く求められています。この2つが両立した業務について経験を積めれば、たとえ今の会社では管理職の利点がなくとも、どこかに転職した場合、そのスキルが重宝され、より高給で迎えられるかもしれません」

 人手不足が叫ばれる人気業種ゆえ、売り場と売り方を変えるだけで、市場価格は変化するのだ。

●田中さんの値段が低いワケ
人材不足のSE業界。マネジメント力の欠如や「働く場所」の選択を間違うと自身の価値を損なう可能性が高い。

― 自分の値段を査定せよ ―