巨人の高橋由伸監督(43)が3日、辞任を決断した。山口寿一オーナー(61)が東京・大手町の球団事務所で明らかにした。

 就任から3年間、一度もリーグ優勝できなかった。1年目は71勝69敗で2位、2年目は72勝68敗で4位、今季は65勝71敗で2試合を残し、借金6の3位となっている。まだ3位でのクライマックスシリーズ進出の可能性はあるものの、公式戦終了を待たずに異例の発表となった。

 かねて「結果が全て」と語っていた高橋監督は遠征先の広島で取材に応じ、「監督を引き受けた時点からチームの勝敗は監督が背負うと思ってやってきた。その思いはこの3年間変わっていない。責任を取って辞めますということを山口オーナーに直接伝えました」とし、「(オーナーに続投と言われた?)そう言っていただいたこともあったり、いろいろとお話しさせていただいた。ありがたい部分もあったけど、責任を取るところは取らなくてはいけない。けじめをつけるところはつけないといけない、というところ」と、はっきりとした口調で言葉をつないだ。

 先月まで「続投」が既定路線だった。同オーナーは9月12日に高橋監督の岡本ら若手育成の手腕を評価した上で「まだペナントレース途中だからこの先のことはあれこれ言える時期ではないけれど(来季は)十分にチームを整えて、監督には腕を振るってもらいたいと私は考えている」と続投を要請する考えを示していた。それが9月11日からの7連戦で1勝5敗1分けとチームは失速。球団ワーストに並ぶ4年連続V逸となり、2006年以来となる12年ぶりの負け越しも決まった。もし2年連続Bクラスとなれば、球団史上2度目となる窮状に、自ら決断した格好である。

■逃げ出した前例

 同オーナーは後任について「現役の時に重たいものを背負って苦しんだ人が監督にふさわしいのではないか。難しい状況で引き受けてもらうことになるので、やはり経験、実績といったことが必要」と説明。「経験、実績」のある原辰徳前監督(60)が務めることが確実となった。実現すれば3度目の就任となる。

 確かに実績はある。巨人監督12年間でリーグ優勝7回、日本一3回。09年の第2回WBCでは侍ジャパンを世界一に導いた。一方で球団はあのスキャンダルを忘れたわけではないはずだ。12年に発覚した「1億円不倫問題」だ。自らの醜聞をもみ消すため、原前監督が1億円もの大金を素性の怪しい人間に支払った件である。

 15年には巨人の複数の選手が野球賭博に関与していたことが明るみに出て、球界を揺るがす大騒動に発展。辞任の引き金となった。15年の退任会見で原前監督は「ここ3年間、成績が上がらなかった。そろそろ潮時ではないかということ。そろそろ新陳代謝することの方が、新監督のもとチームを託す方が、巨人にとってもプロ野球にとっても正しいと思った」と、もっともらしく理由を説明していた。

 チームには野球賭博以外にも、裏カジノや麻雀、ポーカーなど、あらゆるギャンブル行為が蔓延。全て原政権下で起きた未曽有の不祥事にもかかわらず、その責任には一切触れずにさっさと辞めた。当時はチーム内にも「逃げ出した」という声があったほど。頼む方も頼む方だ。

 巨人OBで評論家の高橋善正氏は「球団はどうかしていますね」とこう言った。

「3年前、球団に半ば強制的に現役を引退させられ、就任した由伸監督は、その経緯からすれば気の毒ではあります。しかし、結果が全ての世界。ベンチに緊張感がないように映ったし、チームがこの体たらくでは辞任は仕方ないでしょう。しかし、次が原前監督とは一体どういうことなのか。全く新鮮味はないし、せっかく若返った流れから逆行しますよね。3年前にグラウンド外でいろいろあって身を引いたのではなかったのか。コンプライアンス重視の時代。巨人は最近も多くの問題が頻発し、その点でも原前監督が復帰するのであれば疑問です」

■補強に次ぐ補強

 そもそも今の巨人がこれだけ弱体化したのは誰のせいなのか。高橋善正氏が続ける。

「実績はあるが、12年からリーグV3をしている間に原前監督が手を打たなかった。要するに、勝っている間に次の世代の選手を育てなかったことに大きな問題がある。それをせずに由伸監督に放り投げたから、今こうなっている。来年V逸すれば、5年連続となり、球団ワーストになってしまう。球団としては何としても勝たなければいけない。そうなると、このオフは補強に次ぐ補強となっていくことは目に見えている。4番として頭角を現した岡本らの若手が出てきたのに、いつか来た道へ折り返して行きそうです」

 原前監督は在任12年の間、12人もの選手をFAで獲得した。これは9年間で7人の長嶋元監督以上。高橋善正氏が言うように、カネと補強に頼ったチームづくりのツケを今のチームが払わされている。電撃監督交代劇は、巨人の長く続く暗黒時代の入り口になるかもしれない。