一皿ごとではなく、注文した分がまとまって届く仕組みだ

写真拡大

 食の細い人には縁のない場所。それは「食べ放題」の店である。食べ放題に臨むにあたり、もっとも大切にしなければならないこと。それは「元を取る」ということだ。しかし、食の細い人間には食べ放題特有の「絶対に元を取ってやる!」という気概は荷が重すぎる。なにせあまり食べられないのだから。

 筆者は身長180cm、体重58.5kg(原稿執筆時)、朝は食べない、昼はサンドイッチとおにぎり、夜はハイボールと塩辛。そう、少食男子である。

「なぜ量を食べられるというだけで奴らは得をするのだ!我々には食の娯楽を享受する権利はないのか!」

 酷暑も終わりに近づいた秋の夜、突如『熱闘甲子園』ばりに熱くなってしまった私、今なら大阪桐蔭高校のレギュラーになれそうな気がする。そして次の日、筆者は1人で食べ放題の店に突撃するのであった……。

かっぱ寿司の食べ放題に突撃!

 老若男女に愛される「かっぱ寿司」が、「かっぱ寿司の食べホー」なる食べ放題を開催しているらしい。「寿司ならなんとか元は取れるのではないか……」と、早くも若干逃げ腰ではあるが、前日の燃えまくった火が絶えぬうちに都内某店舗を訪れた。ちなみに、かっぱ寿司の食べ放題は事前予約が必要だ。前日にもかかわらずすんなり予約が取れたあたり、おそらくジャイアント白田に似ているであろう“食の神様”が背中を押してくれたに違いない。

 予約した際に発行された予約番号を店員に伝え、すぐに席に案内される。「時間は1時間。食べ残しは追加料金を頂きますのでご注意ください」のアナウンスに肯き、いよいよ食べ放題開始! 注文はすべて席にあるタッチパネル上で行う。一度の注文で4品までしか頼めないが、注文後に再度タッチパネルを操作すればまた頼める仕組みだ。ひとまず4皿分を注文する。

 タッチパネルで注文後、5分ほどで席に寿司が届く。スピードが命の時間制食べ放題、この提供スピードはさすがだ。テンポよく食べたいため、さらに寿司を注文する。そして満腹になった際に備え、味変用にラーメンを頼んでおく。ラーメンは「提供に時間がかかります」との案内があるため、約20分〜30分後に到着予定だろう。寿司に飽きてからラーメンで気分を変え、またお寿司に戻る。少食の筆者だが、脳内では元を取るための必勝シミュレーションが完成した。「元を取るなんて楽勝である」。心中では早くも勝利宣言が飛び出している。ハハハハハハ!

 追加の寿司が到着し食べ始める。が、半分ほど食べ、既にまあまあ満腹状態になってしまう。そう、満腹症状は突如襲ってくるのである! ここは作戦変更。スローペースに切り替え、デザートを頼み少しお腹を休ませよう! と決めた矢先……

◆果たして元は取れるのか!?

 ラーメンが来てしまったのである。早いだろ! 注文してまだ5、6分なのだが! 計算が狂ってしまう。しかしラーメンを後回しにするという選択はない。なぜなら麺が伸びるからである。早く食べなければ…。が、一向に箸が進まない。このまま残してしまおうか……と心が折れかけたが、あの声が蘇る。

「食べ残しは追加料金を頂きますのでご注意ください」

 店内では、かっぱ寿司のテーマソングらしき可愛らしい音楽が流れていたはずだ。しかしなぜか筆者の耳には、「食べ残しは追加料金を頂きますのでご注意ください」という言葉がリフレインしている。「どうしてどうしてわたしは食べ放題に来てしまったのだろう」。語呂はまったく合っていないが、リフレインが叫んでる。ただでさえ元を取れるか微妙なライン、当然追加料金を取られることは避けたい。だがそんな筆者の葛藤を嘲笑うかのように麺が伸び始めるラーメン。「これを食べるのか……」。既にノックアウト寸前なのである。しかし、そんな筆者にさらなる追い討ちをかけるあいつが到着してしまう。