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住環境研究所が「共働きで子育て中の25~39歳の男女」に調査したところ、休日の理想の過ごし方にパパとママで違いがあることが分かった。ママは「一人で」、パパは「家族と」自宅で過ごしたいというのだが、なぜこうした違いが生じるのだろう?【今週の住活トピック】
「『共働き子育て世帯』の生活・意識に関する実態調査」を発表/住環境研究所

共働きのママは家事に大忙し!!

予想されることだが、住環境研究所の調査でも、共働きのママの家事負担が大きいことが浮き彫りになった。

家事時間を平日でみると、ママは「2〜4時間未満」(45.4%)が最多で、次いで「4時間以上」(38.3%)。一方パパは「10分〜2時間未満」(56.2%)が最多で、次いで「2〜4時間未満」(19.5%)だった。
次に、休日でみると、ママが「4時間以上」(51.6%)、パパは「2〜4時間未満」(38.1%)が最多だった。

共働きだからか、休日を使って家事に集中する家庭が多く、休日はパパの家事参加の頑張りも見られる。しかし、やはりママの家事負担は大きくなっている。

平日と休日の家事時間(出典:住環境研究所「『共働き子育て世帯』の生活・意識に関する実態調査」より転載)

ママが休日は一人で過ごしたいのはなぜ?

休日は、過半数が「4時間以上も家事をしている」というママたち。家事以外の時間を含め、休みの日をどのように過ごしているのだろうか?

どちらも最多となったのは「外出して家族と過ごす」だった。特にママは71.9%が「外出」を選んでいて、パパより10%も多い。休日ごとに外出するわけにもいかないので、「自宅で家族と過ごす」人が2番目に多く、ママ・パパとも6割強とあまり違いがない。となると、ママは、「たまった家事をする」ことになり、ママの6割弱が「家事」を選び、パパより15ポイントも多い回答となっている。

つまり、「家事を忘れて家族で外出したい」→「でもお金もかかるから毎回できないし、自宅で過ごすと家事がたまっているのが気になる」→「家事を済ませないと自分が好きなことをする時間も取れない」→家事を済ませようという構図になっているのではないか? というのが筆者の予想だ。

こんな日々が続くので、「理想の休日の過ごし方」を聞くと、ママは「自宅で一人でゆっくりしたい」(42.8%)、「一切家事をせずくつろいで過ごしたい」(31.2%)、「外出して一人で過ごしたい」(20.2%)がパパと比べて高くなっている。「一人で」や「家事をしない」がキーワードになっている。

一方パパでは、「自宅で家族とゆっくりしたい」(44.7%)が最多で、「自宅で一人でゆっくりしたい」(35.0%)、「外出して家族と過ごしたい」(34.7%)、「自宅で子どもと遊んで過ごしたい」(32.5%)の順に多くなっている。ママに比べると、「一人もいいけど、家族や子どもともいたい」ということか。

現実と理想の休日の過ごし方(出典:住環境研究所「『共働き子育て世帯』の生活・意識に関する実態調査」より転載)

ママが欲しい空間、持ち家では「ママコーナー」、賃貸では「ぐっすり眠れる寝室」

この調査では、「住まいにどんなスペースがあるといいか」について聞いている。住宅事情の違いによるのか、持ち家と賃貸では人気の場所が違った。

持ち家でも賃貸でも、一人でのんびり過ごすことができる「ママコーナー」のニーズが高いのだが、特に持ち家で高い。一方、賃貸では「ぐっすり眠れる寝室」のほうがニーズは高い。

共働きママが住まいにあると良いと思うスペース(出典:住環境研究所「『共働き子育て世帯』の生活・意識に関する実態調査」より転載)

筆者が思うに、今の住宅事情では、ママが一人でのんびりできる専用空間を取りづらいので、何かに集中できる「ママコーナー」のニーズが高くなるのだろう。
一方、一般的に賃貸住宅と比べると、永住が求められる注文・分譲住宅のほうが面積は広くなり、住宅の性能は高くなると言われている。賃貸の方が、部屋数や遮音性・省エネ性の問題で寝室の快適性に課題が生じると推測できる。

所得の伸び悩みや労働人口の減少などの要因から、今後も共働き世帯が増えると考えられる。共働きでは、ママだけに家事負担が大きくならないように、家族の家事参加や働き方の柔軟性などの改善が求められる。
とはいえ、当面の解決策として、家事負担を軽減したり家事参加しやすくしたりする、間取りや設備などの住まいの工夫でカバーすることも考えてほしい。加えて、くつろげる場所の確保ができれば、共働きママも頑張れることだろう。


(山本 久美子)