東芝レグザのGoogle Home対応が進化、番組名や出演者名を話して再生・ 録画予約に対応
スマートスピーカー連携にいち早く対応した東芝のテレビREGZAが、「声で操作」をさらに強化しました。

10月2日のアップデート以降、「先週の進撃の巨人が見たい」「明日のゴルフを予約して」のように、見たいものを話すだけで番組の再生や予約ができるようになります。

録画番組のほか、YouTubeの動画も同時に検索が可能。正確な番組名が分からなくても出演者名などのキーワードから探すため、とりあえず見たいものを見せてといえば再生が始まり、気に入らなければ「次へ」と言って送る、新しいハンズフリー視聴スタイルが誕生しました。



Google Home (Googleアシスタント)や アマゾン Echo (Alexa)といったスマートスピーカー、デジタルアシスタントの普及とともに、声で操作できるスマート家電が着々と増えています。

しかしリモコンをなくして困る家電の代表、ながらで声だけ操作できると便利な家電の代表ともいえるテレビの対応は、なかなか進まない状況が続いてきました。

スマート赤外線リモコンを経由する方法もありますが、やはりリモコンの置き換えなので、テレビ側のネイティブ対応ではないもどかしさがあります。

こうした状況の今年3月、東芝の4KレグザはGoogle Homeを使った操作にいち早く対応。チャンネルを放送局名で変更したり、ボリュームを数値で直接指定したり、番組の最初に戻る・10秒送り・戻し、字幕オンオフや入力切り替えなど、細かな操作に自然な呼びかけでネイティブ対応しました。

東芝レグザがGoogle Home本格対応。声で選局や字幕操作、「ちょっと戻して」など (音声コマンド一覧)2018年3月



レグザの本領発揮、膨大な録画から声で再生



今回のアップデートでは、このスマートスピーカー対応をさらに強化。番組名やキーワードを使ったダイレクトな録画番組再生・録画予約に遂に対応しました。

たとえば「先週の進撃の巨人を見せて」といえば、「分かりました」で即再生。複数の候補がある場合はそう告げられるので、出だしを見て「次へ」で送ってザッピングできます。

録画についても、局や正確な日時が分からないまま「『映画名』を予約して」と言えば、「何月何日何時から[放送局]で放送の『[番組名]』〜を予約しますか?」と確認があり、「はい」で予約可能。「週末のサッカー」のようなざっくり指定も可能です。

従来のスマートスピーカー対応は、原則的には見たい番組を選んで視聴が始まってから、リモコン操作の一部を声に置き換えるものでした。

しかしアップデート後はついにリモコンの置き換えを超えて、見たいものを声に出せば観られる真の「声で使えるテレビ」が誕生。テレビの前でまず見たい番組を再生する、本質的な使い方からハンズフリーになります。

レグザスマートスピーカー対応以前から、強力な録画機能が売りのひとつ。ジャンルや人名はもちろん、単純なキーワードでは網羅が難しい「J-POP歌番組全部」から「京都アニメーションの番組」など、細かな嗜好に合わせて見たい番組が見つかりおまかせ録画もできる「みるコレ」や、上位機種ではいわゆる全録の「タイムシフトマシン」に対応してきました。

膨大な録画番組から声で気楽に再生できるのは、遂にレグザの真の力が解放された感があります。



ネット動画(YouTube)の同時検索も


一方で、最近のレグザは放送番組の録画再生機に止まらず、ネット動画配信時代の「家にある一番大きくて良い画面」としての役割を模索してきた製品でもあります。



最近のテレビはネット動画の視聴に対応するのが当たり前になってきましたが、クラウド対応レグザはNetflixやYouTubeはもちろん、アマゾンPrime Videoやニコニコ、dTVにTSUTAYA、DAZN、DMMなど、対応度に差はあれひと通り観られます。

さらに独自機能の「みるコレ」は、放送番組のキュレーションに使えるだけでなく、興味がある分野なら放送もネットもプロバイダも区別なくまとめる点が野心的。

あくまで「うまく機能する場合」の例ではありますが、放送と連動したネット限定おまけコンテンツもキャッチしてくれたり、見逃したドラマはサービスを切り替えながら何度も検索することなく配信版を案内するなど。

今回のGoogle Home対応強化でも、漠然と[キーワード]が見たいと言った場合、録画番組に見つからなければ、YouTubeで関連度の高い動画を再生します。

見たい特定のコンテンツが決まっていた場合、YouTube検索なので正直「違う、そうじゃない」にヒットすることも多数ですが、「次へ」で送ってハンズフリーザッピングも可能。

逆に漠然と興味を持ったトピックスはあっても、どんなコンテンツがあるか知らない場合などに活きてくる機能です。

両方に候補がある場合は録画が優先される仕組み。反対にYouTubeの動画だけを見たい場合は「YouTubeで〜が見たい」と発音すればソースを限定して調べられます。

具体的な録画再生・予約コマンドの例




今回のアップデートで加わった連携コマンドは、基本的には「録画番組・YouTube動画の検索・再生」と、「将来番組の予約」の2種類。

現状の会話型アプリでは程度の差こそあれすべてに言えることですが、自由な自然言語が使えるようでいて、実際にはわずかな言い回しの違いでOKとNGが分かれるため、現時点では人間がある程度まで機械にあわせた方が楽です。

うまく行った代表的な言い方の例は、

再生操作

・[番組名、出演者名、ジャンルなどキーワード]が見たい。(見せて、再生して)

・ 特定の録画番組などが見たい場合、日付指定を付けて「[昨日・今日・先週・先月・先週何曜日・朝何時・何時何分]の〜を見せて」

・YouTube限定の場合は「YouTubeで」

予約操作

・[番組名、出演者名、ジャンルなどキーワード]を予約して。

・BSで、地デジで、のような区別も可能

・日付指定、時間指定。「明日の、来週の、今週末の、何曜日の、何時の」

基本的にはこれだけです。

音声アシスタントの機能は逐次アップデートされるため、今後も追加で対応するコマンドやオプションが増えると思われますが、まずは定型文に答えるものと考えた方が幸せになれます。声で受け答えができるからといって、急に賢く察してくれるロボットになったわけではありません。

そのほか、従来からの基本的なコマンドはこちら。

まだまだこれから。ながら果敢な第一歩



待望の機能が実装された喜びのあまり、レグザすげえ最高!的なテンションでお伝えしてきましたが、上記のコマンドの例で分かるように、現状ではできないことの方が圧倒的に多く、できるはずのことでも謎の挙動がまだあり、キーワードからの探索も完璧ではありません。

たとえば番組名のよく使われる通称を「〜が見たい」と指定した場合、録画番組に含まれていてもキーワードとして認識できずスルーされて、YouTube動画の再生が始まる場合があるなど。

会話で操作できるようになると、「これができるなら当然これもできるだろう」と色々試したくなるものですが、できないことの確認そのものが目的でないかぎり、期待を込めて色々話しかけても徒労に終わります。

最初から対応を謳っていないといえばそれまでですが、例えばザッピング中に面白い番組を見つけても、「これ録って」や「この番組を録画して」のような、使い方すれば自明のような機能にも非対応です。また、リモコンのボタンにはある機能、たとえば番組表や録画リストの表示もできません。

新たに番組名を発音しての指定ができるようになった以上、番組表を見ながら声で局変更や録画予約、リストを眺めて声で再生は対応して欲しかったところです。

画面から選ぶ系の機能に非対応なのは、もしかすると「表示された分からリモコンでカーソルを動かす、次の画面に移動する」といったパラダイムと、全体からマッチできる音声検索の考え方の違いによるものかもしれません。あるいは、スマートスピーカーの音声操作アプリとして提供する制約上、音声で完結するためとも考えられます。

(実際、声で予約機能はテレビの画面を見なくても、テレビから離れていても使えます。出先でスマートスピーカーがなくても、スマホのGoogleアシスタントに話しかけて予約録画も可能。

Googleアシスタントアプリでは、見つかった番組の読み上げではなく候補からタップして選択ができます)

さらにいえば、クラウド対応レグザの大きな魅力であるクラウドメニュー、TimeOn、みるコレ周りの音声操作も未開拓です。

いずれにせよ、リモコンで項目選択を前提としていた従来の使い方と、音声検索で次々と候補をブラウズするような動画との付き合いかたのあいだで、これというモデルを模索中という印象を受けます。

テレビに限らず、新しい機能が増えれば新しい使い方が生まれるものですが、現時点では従来のスタイルを続けたいときは無理せずリモコンのほうが楽。リモコンを捨てられるわけではありません。

一方で、ふんわりと見たいコンテンツを探す気分の時、あるいは録画したことが分かっている番組を再生するとき、放送されることが分かっている番組の予約は声でショートカットできると割り切ると幸せになれました。

今後のさらなる進化には、たとえばネット動画サービス各社との連携など難しい問題が山積していると思われますが、テレビの前に座って見たい番組を再生、が声だけでできるのはやっと来たか未来!と思わされます。

実をいえばGoogleアシスタントは、Chromecastと連携することで声でYouTube動画の再生や、Netflix / Huluの番組再生に以前から対応しています。しかしそちらはあくまで各サービスに完結した機能のため、録画番組に触れないのはもちろん、テレビのごく一部の機能しか操作できません。

GoogleにはChromecastや、各社に提供するAndroid TVで独自の遠大な戦略があり(たぶん)、ソニーもマイクロソフトもアップルも、いまや巨大なプレーヤーとなったNetflixやAmazonなど動画配信サービスの企業も、ネット時代にも変わらずリビングに鎮座ましますテレビを利用する戦いを続けています。

それぞれに画期的なサービスやデバイスを投入していますが、グローバルなプレーヤーであるだけに、ことに放送との融合については、特有の事情がある日本置いてけぼりの状況も少なくありません。

「こんなこともできます!ただし日本で使えるのは一部」ではなく、放送コンテンツが豊富で独自の視聴文化がある日本にあわせた新機能の進化が楽しめるのはレグザの魅力のひとつです。

REGZAのスマートスピーカー関連セットアップはこちらを参照
スマートスピーカー連携|よくあるご質問|レグザクラウドサービス「TimeOn」