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魅力度ランキング最下位の名古屋市、「トイレットペーパー」で汚名返上となるかーー。

名古屋市は2019年度から、一部の公園で試験的にトイレットペーパーを設置することを決めた。まずは利用者の多い大きな公園を対象とし、効果を検証する。「トイレにペーパーがあるのは当たり前」と思う人も多いだろうが、これまで市内の591公園にあるトイレ826棟のほとんどでペーパーは置かれていなかったという。いったい、なぜなのだろうか。

●過去にペーパー設置、トラブル相次ぐ

名古屋市緑地維持課によると、1994年ごろに一度トイレのペーパーを導入したことがある。しかし、ペーパーが盗まれたり、便器に突っ込まれてトイレが詰まったり、ペーパーホルダーが壊されたりするなどトラブルが相次ぎ「継続しての導入に踏み切れなかった」という。

加えて、費用も安くはなかった。名古屋市の試算では、ペーパーと補充作業の委託代を含めると1つの個室につき年間で3万円がかかり、年間だと約5千万円近くになる。これに鍵付きのペーパーホルダーをつけるとなると、金額はさらに膨らむ。

こうして、20年近くの間公衆トイレにペーパーが設置されていなかったわけだが、意外にも市民からの要望は「ほとんどなかった」という。名古屋市民には「公園にはペーパーはないもの」という共通認識があったのかもしれない。

●「最も魅力に乏しい都市」挽回なるか

名古屋市は自ら行った「2018年度都市ブランドイメージ調査」で、全国8都市中「最も魅力的に感じる都市」で最下位、「最も魅力に欠ける都市」で最上位となり、最も魅力に乏しい都市となってしまった。(8都市=札幌市、東京23区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市)

緑地維持課の担当者は「ペーパーを置くことで観光に劇的な効果があるかは分かりませんが…」とした上で「トイレについては快く使ってもらうために様々な努力をしていますが、ペーパー設置が観光の一助にもなればいいですね」と話していた。

ペーパー設置に伴う費用は発生するが、名古屋市の魅力向上につながれば高い費用負担ではないーー。そんな思惑があるのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)