麻生太郎

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安倍首相は続投にこだわり

 安倍晋三首相(64)は、2日に内閣改造を行う。既に麻生太郎財務相(78)の続投は決まっているのだが、これが“内閣の火薬庫”となる懸念があるのだという。

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 まずは時計の針を戻し、安倍首相が留任を明言した場面を振り返ってみよう。時事通信は9月27日、「来月2日に内閣改造=麻生、菅氏留任を明言―安倍首相」と報じた。

《首相は26日午後(日本時間27日午前)、ニューヨーク市内で内外記者会見に臨み、内閣改造・自民党役員人事を10月2日に行うと表明した。麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官、西村康稔、野上浩太郎両官房副長官を留任させることも明言した》

 これに対し、複数のメディアが批判的な報道を行った。その見出しをご紹介しよう。いずれも9月に掲載されたものだ。

麻生太郎

【朝日新聞】
「麻生氏続投、両刃の剣 政権の「土台」/不祥事責任論再燃も 2日に内閣改造」(28日朝刊)
「(社説)麻生氏の続投 こんな土台でいいのか」(同前)
【毎日新聞】
「社説:麻生財務相の処遇 再任の理由が理解できぬ」(28日朝刊)
【東京新聞】
「改ざんやセクハラ… 麻生氏 引責せず続投」(28日朝刊)
【時事通信】
「麻生氏続投、火種に=安倍首相こだわり、野党は照準―内閣改造」(29日)

 この中から、時事通信の記事をご紹介しよう。まずは冒頭部分だ。

《首相は10月2日の内閣改造で、盟友の麻生太郎副総理兼財務相を続投させる。連携して長期政権を築いてきたとして、内閣の中枢にとどめ置くことに首相は強いこだわりを持つ。ただ、財務省不祥事で責任を問われた麻生氏に世論の風当たりはなお強く、野党は国会論戦で攻勢をかける構えだ》

 麻生財相に世論が批判的な理由を、時事通信は以下のように指摘する。

《財務省では、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐり決裁文書の改ざんが3月に発覚し、佐川宣寿前国税庁長官が引責辞任。近畿財務局の担当部署の職員に自殺者が出た。福田淳一前事務次官のセクハラ問題による辞任もあった。
 麻生氏は佐川氏の国税庁長官起用を「適材適所」だったと強弁。セクハラ問題では「(被害女性に)はめられて訴えられたのではないか、などの意見はいっぱいある」と主張し、批判を浴びた。与党内にも麻生氏辞任論が出たが、首相は一貫してかばい続けた》

沖縄県知事選で敗北し、来年の夏は参院選

 さる政治担当記者も「麻生財相の続投は、やはり問題だと思います。私が重視するのは、自殺者が出た点です」と指摘する。

「森友学園問題では3月、学園側との交渉を担当した部署に所属していた近畿財務局の男性職員が兵庫県内で自殺しました。決裁文書の書き換えを担当させられ、遺書は『勝手にやったのではなく、財務省からの指示があった』との内容だったとも報じられました。財務省は公文書改ざんという大問題を引き起こし、そのために人命が失われたも同然です」

 それでも続投の理由は、「安倍さんにとって、麻生さんは自分の後ろ盾」だからだ。

「総裁でも支援してもらったし、論功行賞で続投させる気持ちもわかります。しかし、森友問題の責任の一端は、安倍さんの昭恵夫人にもあるというのは衆目の一致した見方です。自分の妻が引き起こした問題で、自殺者が出てしまった。にもかかわらず、安倍さんは麻生さんに留任を依頼する。麻生さんも辞退せず、留任を受け入れる。どう考えてもおかしな話です。一般国民の感覚とはあまりにもズレていると言わざるをえません」(同・政治担当記者)

 自民党のベテラン議員もこう本音を語る。

「普通なら当然、責任をとって辞めるべきだろう。だいたい、永田町でだけでなく一般社会でも、組織におけるトップとは何か不祥事が起きた際に、責任を取るために存在するもだ。安倍さんは、その点をどう考えているんだろうね。自民党内でも、よほどの“安倍シンパ”を除けば、今回の麻生続投は本音を言わせてもらうと皆、ありえない人事だと思っている。“安倍一強”で総裁選も終ったばかりだし、誰も口に出して言わないだけですよ」

 こうした状況の中、9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選では、前衆院議員(自由党・沖縄3区)の玉城(たまき)デニー氏(58)が当選。自民、公明、維新、希望が推薦した前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏(54)が落選した。

「安倍首相が『安倍1強』と呼ばれる権勢を確立した理由の一つに、選挙に勝ち続けてきたことが挙げられます。自民党総裁選で3選を果たし、いよいよ内閣改造という直前に届いた敗北の報は、幸先が悪いことは言うまでもありません。麻生大臣に対する批判がくすぶり続け、来年の夏に行われる参院選で野党の伸長を許すというのが、自民党にとっての最悪のシナリオとなります」(同・政治担当記者)

 安倍首相は第1次政権時、2007年の参院選で大敗して「衆参ねじれ」に直面。辞任に追い込まれたという苦い過去を持っている。

 だが12年に首相に返り咲くと、13年の参院選を「6年前に参院選で惨敗した。親のかたきのようなものだ。取り戻さなければ、私は死んでも死に切れない」と発言して話題となった。実際に参院選で自民党は大勝を収め、「衆参ねじれ」の解消に成功している。

 そして来年、再び参院選がやって来る。「選挙に強い安倍」の本領を発揮すれば何の問題もない。だが麻生財務相が原因で議席を減らすようなことになれば、それこそ自業自得という他ないだろう。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月2日 掲載