リーグ戦で8戦勝ち星なしのFC東京。清水戦ではCBのチャン・ヒョンス(48番)がPKを献上してしまった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 清水に0-2で敗れた試合後のミックスゾーン、FC東京の選手になかなか声をかけられない自分がいた。記者としては失格なのだろう。しかし、リーグ戦でここまで8戦勝ち星なしという状況では選手に同情してしまうところがあった。
 
 8月10日にG大阪に敗れて以来、4分4敗。勝てなくなった当初は「内容は悪くないので」という選手の言葉には信憑性があったが、さすがにここまでくると不運では片づけられない。それは選手も承知していて、だからミックスゾーンで選手に話を聞いても歯切れが悪い。
 
「メンタル的な問題がある。ここまで勝てないと自信がなくなる」
 
 そう言う東慶悟は「プレーに迷いが出てしまっている……」ともコメント。普段はハキハキと話してくれる東でさえ、どこか答えにくそう。そんな雰囲気さえ感じ取れた。
 一時は優勝争いをしていたFC東京が9月29日時点で5位に転落。同日に鳥栖を下した札幌、神戸に5-0と大勝した鹿島の2チームに抜かれ、ACL出場圏内(3位以内)から脱落したダメージもあるからだろう。田邉草民、室屋成あたりからもポジティブな言葉がなかなか出てこなかった。
 
 清水戦の低調なパフォーマンスから敗因のひとつを探ると、得点源であるディエゴ・オリヴェイラの不調だ。今季の前半戦は面白いようにゴールを量産していたブラジル人FWがなぜか沈黙。8月19日の札幌戦を最後に、5試合続けて無得点に終わっている。
 
 今季のFC東京は崩しや仕掛けの局面でD・オリヴェイラの個人技に頼っている部分が多い。「ディエゴを抑えされると、前にボールを運べる選手がなかなかいない」と橋本拳人が証言するように、このエースを封じられた際の有効手段を見出せていない印象なのだ。
 
 D・オリヴェイラの不調に引きずられたまま、FC東京は中位に甘んじてしまうのか。ここにきて改めてチームとしての総合力が問われる局面に来ている。
 
 それにしても、この日はクラブ創設20周年を記念して「FC東京OB戦」も開催されたが、そのゲームもスコアレスドロー。さらに清水戦も完封負けと、FC東京のゴールをひとつも見ることができなかったファン・サポーターはどういう気持ちでいるのだろうか。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)