高校時代のパーティで酒を飲んだブレット・カバノー判事と彼の友人から暴行を受けたと告発したパロアルト大学のクリスティーン・ブレイジー・フォード教授。その後カバノー判事の性的暴行を他にも2人の女性が告発、1人は大学時代にカバノー判事から体の一部を見せられたと、1人はカバノー判事が大学時代のパーティで度々女性たちに薬物を飲ませ仲間と集団暴行していたと訴えている。

カバノー判事が最高裁判事に任命される前には上院の承認が必要。その投票前にフォード教授が告発した事件の調査を求める声が議員たちの間から浮上した。現地時間9月27日(木)にフォード教授とカバノー判事を上院司法委員会に召喚して人事指名公聴会が行われた。フォード教授が証言するかどうかに注目が集まっていたけれど、彼女はカバノー判事が同じ部屋に在席しないことを条件に出席。議員とカメラの前で当時の様子を赤裸々に語った。上院司法委員会はフォード教授の質問者にアリゾナ州検事のレイチェル・ミッチェルを指名。これは性的暴行の被害者である女性に対して、男性議員が質疑することに反発が起きるのを防ぐためとみられている。ミッチェル検事は性犯罪の告発で経験を持つ女性。彼女を指名したことについて司法委員会委員長は民主党と共和党の両方の議員から勧めがあったことを明かし「この公聴会は政治的なものにせず、真実を得ることが目標」だとコメントしている。

でも議員たちの多くは男性。その中で2時間にも渡ってフォード教授は証言、カバノー判事が「体を触り、私の服を脱がそうとした」と当時を振り返った。「彼はとても酔っていました。それに私が服の下にワンピースの水着を着ていたので、うまく服が脱がせなかった。私は彼が私をレイプしようとしているのだと思いました。助けを求めるために叫びました。すると彼は叫ぶのをやめさせようと私の口を押さえました。この行為が一番怖かった。このこと以上に私の人生に長い影響を及ぼしたものはありません」。この事件で最も記憶に残っていることを尋ねられるとフォード教授は「脳の海馬から消すことができないのは笑い声です」と心理学の教授らしい言葉も交えて回答。カバノー判事と友人の「上げた笑い声です。そして私を犠牲にして彼らが楽しんでいたことです」と語った。

一方のカバノー判事は一貫して告発を否定。フォード教授の次に公聴会に出席した判事は「フォード教授にも他の女性にも性的暴行を働いたことはない」と証言している。フォード教授を含む3人の女性はFBIがそれぞれの事件を捜査することを要望している。FBIの動き、そしてカバノー判事を承認するのか議員たちの判断に注目したい。

text: Yoko Nagasaka