毎回、繁盛するためのアドバイスを提供している無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさん。今回佐藤さんが紹介するのは、大阪にあるという繁盛店づくりのお手本のような演出をおこなっているというパン屋さん。これを真似すれば即繁盛するかも、とまで語るそのユニークなアイデアとは?

ニワトリのパン屋さん

大阪のあるパン屋さんは、お洒落でユニークで美味しいお店として、いつもお客さまで賑わっています。人気の秘密は、徹底して作り込まれた“演出方法”にあります。お客さまがパン屋さんに求める理想像を事細かく実像化しているのです。

お客さまの理想は、次のようなもの。

洗練されたお洒落なお店、というイメージ。こだわりを持って丁寧に作っている、というイメージ。常に新しいことに挑戦している、というイメージ。メッセージ性のある革新的なお店、というイメージ。

お店に対し、こうしたイメージを一度持ってしまうと、お客さまはお店からの提案を無条件で受け入れるようになります。悪く言えば洗脳、よく言えば信頼しきっている状態になっています。相手を信じていれば、そのすべてが魅力的に見えるものです。そこでこのお店ですが、先の“イメージ”を見事なまでに作り上げているのです。

具体的には……、

早朝から開店し、美味しそうな匂いの焼きたてパンがたくさん並び、しかもイートインで美味しい珈琲も飲めます。パンはハード系から総菜ものまで、約60種類もあり、米粉パンも。時には、バターチキンカレーを包んだ「カレーライスパン」やベトナムのサンドイッチ「バインミー」をアレンジしたものなど、ひとひねりした商品も提供しています。

珈琲豆は、知る人ぞ知る専門店で焙煎してもらい、熟練のバリスタが丁寧に淹れてくれます。また、店舗へのこだわりも強く、表に立つ看板は、チョークアートのプロに依頼し、店内壁面のペイントは、美術作家の手によるものです。さらに、ケータリングや料理教室、ワークショップも開催し、お客さまとのコミュニティづくりも積極的に行っています。

加えて、このお店にはメッセージ性もあります。素材・食材の出所をオープンにすることで、安全・安心をアピールしています。産品販売所などでよく見掛ける、「○○さんのキャベツ」などという表示です。

○○農園のレモン○○酒造の酒粕○○養鶏場の鶏肉と卵○○ファームの伝統野菜

などと表示しています。これを見たお客さまは、作っている人がどんな人かを知らなくても、その存在を示すことで、安心するものです。このお店では、こうした情報を店頭だけではなく、SNSでも流しています。

○○農園から、玉ねぎが届きました○○農園のレモンを使った新作パンです

実に上手いアピールです。

最後にもうひとつ。このお店では、実験的にニワトリを飼っています。毎日生む新鮮な卵を使うためです。数が少ないので限定数となりますが、それがまたお客さまの感動を生んでいるのです。いずれは養鶏場も作ってしまうのかもしれません。

このお店がやっていることのすべてが、ユニークで驚きのあるものです。繁盛店づくりのお手本のようなお店だと言えます。このお店をマネすれば、即、繁盛するのではないかとさえ思えます。行列を作るためのアイデアのすべてを実践しているのではないでしょうか。

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