約100年の歴史を持つ「碧雲禅寺」

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(彰化 25日 中央社)中部・彰化県二水郷にある約100年の歴史を持つ「碧雲禅寺」が中国との統一を支持する人々によって占領されていることに注目が集まり、波紋を呼んでいる。県政府は同寺が地域住民に迷惑をかけているとし、21日に水道、電気を供給停止にする措置を実施。26日には違法建築部分の一部を強制撤去する。

19日付の米ニューヨーク・タイムズ紙で同寺をめぐる問題が取り上げられたのをきっかけに、台湾内で同寺への関心が高まった。

同寺は日本統治時代の1922年に創建。同紙の報道によれば、寺は地域住民の出資で建てられ、地域の信仰の中心となっていた。だが、数年前に拡張工事を請け負っていた建築業者の魏明仁氏と寺側の間で金銭トラブルが勃発。裁判では魏氏に有利な判決が下され、公売の末に所有権が魏氏に渡った。

魏氏は2012年、僧侶を寺から追い出し、後に同寺を「中華人民共和国台湾省社会主義民族思想愛国教育基地」と改称。寺にあった仏具や書などは撤去され、代わりに中国共産党を象徴する物や宣伝ポスター、毛沢東氏や周恩来氏など中国のかつての指導者の肖像などが飾られた。建物の外には中国の五星紅旗が掲げられている。

同県の魏明谷県長は21日、魏明仁氏は国家の尊厳と人々の感情を傷つけ、地域住民を困らせているとし、「強く非難する」と表明。県は同寺を歴史建築に指定する方針で、今月11日に登録範囲を確認。一部は違法に建てられており、歴史建築の登録範囲外の違法部分を撤去することを決めた。

撤去の措置が決まったことを受け、魏明仁氏は「二水基地は倒れても必ずまた再起する」と強調。魏県長を「不法な手段で侵犯、破壊している」と批判した。

(呉哲豪、蕭博陽/編集:名切千絵)