話題のビジネス書を月に何十冊も読む経営者が、実際の経営のこととなるとしどろもどろになる…。このような現象はなぜ起こってしまうのでしょうか。無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者・梅本泰則さんは、「経営の基礎が身についていないのでは」として、どうすれば経営の基礎を学ぶことができるのかを自身の経験も交えながら記してくださっています。

基本を学ぶ

若い勉強家の経営者を知っています。月に何十冊もビジネス書を読むそうです。すごいですね。

どんな類のビジネス書を読んでいるか、尋ねてみました。どうも、最近話題になった本が多いようです。どうりで、流行のマーケティング手法や、社会動向についてすらすらと話してくれます。ところが、実際の経営の話となると、考えがまとまりません。ああでもない、こうでもないと、迷走します。どうしてなのでしょうか。

おそらく、この若い経営者は経営について体系的に学んだことがないのでしょう。経営に必要な基礎的知識が不足しているのかもしれません。

話題のビジネス書の多くは、経営やマーケティングの応用書です。基礎理論が書かれてはいません。応用は、基礎があってこそ、その意味があります。ですから、ビジネス書から応用事例や考え方を学んでも基礎が分かっていないと、経営に活かすのは難しいのです。結局のところ、表面的なマネにしかなりません。

例えば、ウェブマーケティングで成功した会社の例を知って、フェイスブックやツイッターで情報発信をします。それはそれで良いことです。しかし、次にユーチューブやインスタグラムが流行るとすぐにそちらにも手を出して、やることばかりが増えて何が何だか分からなくなってしまうといったこともあります。

こうしたことは、経営の基礎が分かっていると、どんな考えに基づいてマーケティングが行われているかが理解しやすいのです。

では、どんなことをすれば、経営の基礎が学べるのでしょう。

私の勉強

その前に、私自身の話です。私も若いころにはビジネス書を読みあさりましたが、経営の基礎について学んだことはありませんでした。ところが、経営コンサルタントを目指して勉強をし始めてから、昔読んだビジネス書に書いてあることが、より一層分かるようになったのです。

例えば、ドラッカーの名著に『現代の経営』という本があります。私は、これを経営の基本的な教科書だと思っていました。ところが、基礎的な勉強をしたあとでは、この本も応用編だということが分かったのです。そのうえ、以前とは全く理解度も違ってきました。

これと同じように、基礎を学ぶことは、経営者にとっても大切なことだと思うのです。そして、世の中には効果的に経営の基礎が学べる場所があります。もちろん、経営基礎講座のようなセミナーも見受けられますが体系的に学ぶには、その専門機関を頼ると良いでしょう。

例えば、MBA取得学校のようなものです。ある有名な大手スポーツショップ経営者は、大学主催の「MBA講座」に数年間通ったと聞きます。忙しい経営の合間をぬって勉強したのですから、大したものです。やはり、経験や独学だけによる経営に、ある種の限界を感じられたのでしょう。

学校によって内容は違いますが、あるMBA講座では、「経営戦略、人事組織、リーダーシップ、マーケティング、会計、財務、思考法」といった科目が並んでいます。どれも、経営者に必要な知識です。これらを学べば、経営の基礎が学べることでしょう。

そして、私が学んだのは中小企業診断士の資格を取るための講座でした。

経営の基礎を学ぶ

これは、MBAとは少し内容が違います。学科は

企業経営理論経済学、経済政策運営管理(生産管理、店舗管理)経営法務経営情報システム財務、会計中小企業経営、中小企業政策

の7つです。どれも基礎の基礎を学びますが、これが私の役に立ちました。それまで、経済学も生産管理も情報も学んだことはありません。財務や会計だってあやふやな知識です。これを何年もみっちり勉強したことが、今の仕事に役立っています。つまり、経営の全体像が見えるようになったのです。

これらのことを学ぶには、独学では難しいでしょう。やはり専門機関の力を借りることです。ですから、あの若い勉強家の経営者にも、経営の基礎を体系的に学ぶことを勧めてみようと思います。

実は、このことはあなたにも必要なことではないでしょうか。スポーツショップの経営者の中で、勉強好きな人はそうはいません。しかも、座学よりは実学の方が確かだと言う人もいます。間違ってはいませんが、やはり座学があってこその実学です。そのことを、もう一度考えてください。

そして、基礎を学ぶと応用がききます。逆に、応用事例をみても、その基本的な意味が分かるようになるのです。ぜひ、基礎を体系的に学びましょう。それがお店をより発展させることにつながると信じます。

■今日のツボ■

経営の基礎を体系的に学ぶと良い基礎を学べば、応用ができる基礎は専門機関で学ぶと効果的である

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