“軽バン”と呼ばれる軽自動車の商用車に興味を持ったことがある人は少ないだろうが、この夏新たに登場したホンダの『N-VAN』は、このジャンルのクルマに新しい流れを呼び込むことになるかもしれない。

【詳細】他の写真はこちら

商用車らしく、スペース効率に優れているのはもちろん、乗り心地や使い勝手にも配慮されているので、仕事だけでなく車中泊やキャンプでも使えそうな完成度。アウトドアや趣味にクルマを使いたい人たちから熱い期待を集めている。そんな『N-VAN』の魅力を、“車中泊や趣味のクルマに使い倒したくなる”5つの理由をもとに紐解いてみよう。

理由1:

N-BOXベースで商用車の中では乗り心地がいい



『N-VAN』のベースとなっているのは2016、2017年の2年連続で“最も売れた乗用車”の座に輝いているホンダの『N-BOX』。昨年、フルモデルチェンジを受け、エンジンや車体などを一新しており、走行性能や乗りやすさは折り紙付き。一般的な軽バンが積載性を優先して乗り心地などを犠牲にしているのに対し、『N-VAN』は普段使いでの快適性もカバーされている点が大きな違いだ。ミニバンに勝るとも劣らない積載性を持ちながら、乗り心地の面で我慢を強いられることがない。

ベースとなっているのは昨年モデルチェンジされたばかりの『N-BOX』。デザインも「N」シリーズ共通のテイストが感じられる。

乗り心地は快適だが、後席のシートは床下に収納できるダイブダウン構造を採用するため、かなり薄くなっている。リクライニング機能もないので注意が必要だ。

理由2:

駆動方式がFFなので低床で荷物が積みやすい



一般的な軽バンは、荷室の長さを確保するため、床下にエンジンを搭載する構造を採用しているが、『N-BOX』ベースの『N-VAN』はフロントにエンジンを搭載するFFの駆動方式。運転のしやすさも、この構造によるところが大きいが、もう1つのメリットは床下にエンジンがないため、床面を低くすることができ、バイクや自転車など趣味の道具が積みやすいことだ。助手席や後席も床面と同じ高さに収納できるため、バイクやサーフボードなど長さのあるものも問題なく積めるのも大きなメリット。

エンジンはフロントに搭載。前輪を駆動するFF方式のため、居住スペースに余裕が生まれる。

助手席を倒すことで自転車なども車輪を付けたままで積み込むことが可能。バイクも同様に積み込むことができる。

理由3:

サイドから大きな荷物を積み下ろせるピラーレス構造



『N-VAN』の構造上の大きな特徴が、助手席側のドアと後部のスライドドアの間をピラーレスとした「ダブルビッグ開口部」。自転車などの大きな荷物を助手席側からでも積み下ろしできるので、後部ハッチを開けるスペースがない時や、歩道側に荷物を降ろしたいときに重宝する。また、この開口部を活かして移動店舗などに活用できるのも『N-VAN』ならではの魅力と言える。

写真のように車体左側には広大な開口部を実現。荷物の積み下ろしだけでなく、乗り降りもしやすい。

助手席と後席は床面とフラットにすることができるので、バイクなど大きな荷物も楽に積める。

大きな開口部を活かした移動式の店舗など、活用のイメージが広がる構造だ。

理由4:

仕事や遊びに使える工夫が満載の車内構造



スペース効率を高めるための工夫はピラーレス構造やダイブダウンするシートだけではない。荷室の両サイドの壁面は商用車でも珍しい垂直に保たれている。そのため、この面を利用して写真などを貼り付けるパネルを装着したり、車内に棚を設置することも可能。また、助手席にはダッシュボードにはめ込む構造のテーブルも設置できるので、車内で食事や仕事をする際にも活用できる。ほかにも高さのある天井に小物入れやハンガーを引っ掛けるポールを設置できるなど、趣味や仕事の空間として活用できる工夫が満載なのだ。

サイドの壁面が垂直になっているので、パネルや棚の設置などカスタマイズがしやすい。

助手席側にはオプションのテーブルを設置可能。はめ込むだけの簡単な構造だが、しっかりと固定できる。

天井の高さを利用して、荷物を積めるラックなども設置できる。キャンプなどの際に重宝しそう。

理由5:

車中泊やアウトドアで使えるオプションが豊富



そして『N-VAN』の最大の魅力と言えるのが、車中泊やキャンプなどに活用できるオプションが豊富に用意されていること。車中泊をより快適にするために後席に設置できるマルチボードをはじめ、電源を備えたキャンプサイトなどで活用できる外部電源入力キットなどまで用意されている。加えて、専用設計のサードパーティ製グッズもラインナップ。車中泊に欠かせない専用のエアマットや車体に接続できるテントなどが用意され、「Circle-h」というHonda Access運営のショッピングサイトで購入できる。

オプションの「マルチボード」を設置すれば、大人2人が楽に寝られるスペースを作り、床下に荷物を収納することも。エアマットなども用意されているので、簡単に車中泊仕様にすることが可能。

外部から電源を供給できるキットもオプションで用意する。

発表会の際に展示されていた車中泊仕様のオプションを装着したモデル。写真の『クロスカブ110』ももちろん積み込むことができる。

「キャンピングカーショー2018」に出展されていたキャンプ仕様の『N-VAN』。オプションのテントなどを装着しており、多くの人が足を止めていた。

サイドと後部にテントを装着した姿は、もはや軽自動車とは思えないもの。クルマでキャンプする新しいカタチを提案している。

これだけの魅力を備えながら、価格は126万7920円〜と軽バンらしくリーズナブル。商用車然としたスタイルに抵抗がある人には「+STYLE」というカラーリングやフロントマスクをスタイリッシュにした仕様も用意されており、こちらも156万600円と買いやすい価格となっている。駆動方式もFFだけではく、4WDも用意されているので、雪道などを走る人も心配ご無用。

しかも、軽の商用車は年間の自動車税が4000円。通常の軽自動車よりも格安だ。キャンピングカーや車中泊できるクルマには興味があるけれど、予算はあまり用意できなくて……という人や、自転車やバイクなど趣味の道具を積んで出かけられるクルマを探している人にはぜひ選択肢に加えてほしいクルマである。

関連サイト



製品情報

Circle-h

text増谷茂樹