ずいぶん前から言われている「若者のテレビ離れ」。確かに一昔前は視聴率が20%以上のドラマやバラエティー番組がたくさんありましたが、最近はその数も激減。日本全国が話題にするような国民的テレビ番組は、数年に1度のスポーツ中継くらいしかないような気がします。

ところが今回「スカパーJSAT株式会社」が行なったテレビに関するアンケート調査によると、全体の22.1%が「1年前と比べてテレビ番組を見る頻度や時間(録画・配信サービスでの視聴を含める)が増えた」と回答していることが分かったのです。

全体の8割以上は観たい番組がなくてもテレビをつけている

そもそも日常生活でテレビをつけるのはどんな時でしょうか?同調査では日ごろ「テレビをつけることがある」、または「ついていることがある」シーンについて質問。結果は以下の通りとなっています。

日ごろ「テレビをつけることがある」または「ついていることがある」シーン

1位 地震など災害が起きたときにすぐテレビをつけること……94.1%

2位 食事中にテレビがついていること……93.1%

3位 見たい番組がなくてもテレビがついていること……82.0%

4位 帰宅後すぐにテレビをつけること……81.4%

5位 朝起きたらすぐにテレビをつけること……76.6%

一番多いのは「地震など災害がおきたとき」。確かにテレビだとスイッチをつければすぐに知りたい情報が分かるので、停電さえしていなければ心強い存在でしょう。特に今年は多くの災害に見舞われたので、そういったニーズも高かったと想像できます。続いて1位とほぼ変わらない割合で多かったのは「食事中」。現在食事をしながらスマホを見るのはマナー違反という風潮がありますが、テレビは別。ほとんどの人が食事中に見ているのです。

SNSによりテレビを離れ、SNSに疲れてまた戻る

テレビが生活と一体化している人は想像以上に多いようですが、なぜその一方で「テレビ離れ」と言われているのでしょうか?

よく指摘されるのはスマホやゲーム、動画といったツールの台頭。同調査では「日頃どのくらいの頻度でインターネットを利用していますか?」と尋ねたところ、全体の97.4%が「ほぼ毎日」と回答しています。さらに同調査ではSNSについて「日頃どのくらいの頻度で利用していますか?」と質問。その結果「ほぼ毎日」が最も多く(46.7%)、世代別に見ると10代が81.9%で20代71.1%と、若い世代がより高くなっているそうです。

しかし同調査では、そのSNSこそが「テレビ回帰の要因になる」と分析。「1年前と比べてテレビ番組を見る頻度や時間(録画・配信サービスでの視聴を含める)が増えた」と回答している人と、SNSでのコミュニケーションに疲れている“SNS疲れ”の人との関連性について調査しているのです。その結果は次のとおりです。

全体で一番多いのは「どちらともいえない」という意見。テレビへの回帰は当たらずと遠からず、というところでしょうか?

「1年前と比べてテレビ番組を見る頻度や時間(録画・配信サービスでの視聴を含める)が増えた」ことについて「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた人の合計が22.1%。それに対して「SNS疲れを感じている」と答えた人はその合計が、42.2%と約2倍に増えているのです。つまりSNS疲れを感じている人の割合とテレビを見る頻度や機会が増えた割合は、ほぼ正比例しているのです。

また同調査では買い物(ネットショッピング含む)などで情報や選択肢が多すぎて、何を選べばいいのか選択に疲れてしまうという“選択疲れ”の人についても調査。「1年前と比べてテレビ番組を見る頻度や時間(録画・配信サービスでの視聴を含める)が増えた」ことについて「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた人の合計は38.1%なっています。全体で増えた割合の22.1%と比較すると、こういった人もテレビを見る機会が増えていると言えそうです。

スマホを見ているけど、なんとなくテレビをつけているというスタイルも、現代人にはありがちです。

つまり近年のテレビはSNSを含むネットの台頭により離れる人が増え、その後SNSに疲れる人がまた戻っている。なんとも皮肉な展開となっているようです。確かに現代社会は価値観の多様化や情報化社会によって、さまざまな選択の自由が与えられています。それはもちろんいい面もたくさんありますが、のめり込みすぎると“疲れる”ことに。そんな人たちは、何も考えなくてもスイッチさえ押せば気軽に娯楽を提供してくれるテレビに癒されるのかもしれません。

昔は「テレビを見すぎちゃダメ!」と親や先生に怒られたものですが、その親や先生もテレビ世代。いまやテレビは現代社会の疲弊した人を癒すオアシスなのかもしれません。

【調査概要】
調査主体:スカパーJSAT株式会社
調査対象…ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とするテレビを見ることがある15歳〜69歳の男女
調査期間…2018年8月29日〜8月30日の2日間
有効回答数…1,000サンプル(男性500サンプル/女性500サンプル ※各年代で概ね均等になるように抽出)