ハートムット・シック社長

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 三菱ふそうトラック・バスの次世代トラックの動きが活発だ。ハンドル操作や加減速をシステムが担う「レベル2」の自動運転が可能な大型トラックや、電気トラックの投入を進める。自動運転や電動化は運転者の負担軽減など新たな価値を生むとみられ、商用車業界に変化を起こしそうだ。ハートムット・シック社長に次世代技術への対応策や展望を聞いた。

 ―2019年に自動運転レベル2を実現する大型トラック「スーパーグレート」を発売します。
 「レベル2は半自動運転で、今よりも安全に特化している。安全は私たちのブランドで重要な点だ。技術的に優れ、日本のユーザーに利益をもたらす。正しい自動運転のステップアップだと確信している」

 ―次は自動運転のレベル4を目指すとしています。
 「レベル3はユーザーにあまりメリットがないため、飛び越えてレベル4にいくと独ダイムラートラックグループとして話している。グループとして乗用車の部門とも協力できるのが強みだ。同じセンサーやレーダーを使うなど乗用車とトラックで多くの技術は似ているし、自動運転の進化で得る利点は多い。(レベル4は)競合より早く出したいが、安全を第一に考え実現したい」

 ―20年に小型電気トラック「eキャンター」を量産予定です。電気トラックの展開は。
 「eキャンターの量産はディーゼルエンジンのキャンターと同じ生産ラインで行う。大型電気トラックのコンセプトモデル『ビジョンワン』はメルセデス・ベンツの『eアクトロス』などと同じプラットフォーム(車台)で開発する。ダイムラートラックの全ての力を三菱ふそうに採り入れて開発スピードを上げる」

 ―日本やアジアの商用車市場をどう見ますか。
 「アジア全体で見ると成長している。日本は安定し、インドネシアやベトナムなどは成長が著しい。そのアジア市場に川崎工場(川崎市中原区)から製品を送っていることが日本に良い影響を与えると考える。20年にダイムラー・トラック・アジア(DTA)として日本とアジアで年間20万台の販売を目指していく」