CL初戦で一発退場となったC・ロナウド、名将リッピが「VAR導入」の必要性を語った【写真:Getty Images】

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衝撃の一発退場判定に言及「レッドカードに同意しているのは幻覚を見ている人間だけ」

 ユベントスのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドの一発退場劇は、世界中で判定に対する物議を呼んでいる。

 代表とクラブの両シーンで世界一に輝いた名将マルチェロ・リッピも判定を支持せず、さらには「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を導入しないからこんなことになるんだ」と、欧州サッカー連盟(UEFA)の判断を批判した。イタリア紙「トゥット・スポルト」が報じている。

 ユベントスは現地時間19日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ初戦でバレンシアと対戦(2-0)したが、前半29分にロナウドが退場になった。ユベントスが左サイドから攻撃に出た際、ゴール前に入ろうとするロナウドとコロンビア代表DFジェイソン・ムリージョが交錯。オーバーアクション気味に倒れたムリージョにロナウドが怒りを露わにし、倒れ込んだ相手の頭をつかむようなアクションを見せた。ムリージョも激高し、両チームの選手たちが入り乱れる小競り合いに発展した。

 フェリックス・ブリッヒ主審はゴール前を見ていた追加副審に助言を求めて状況を確認。ロナウドにレッドカードを提示したが、リッピ氏は「UEFAを挑発する物言いになるかもしれないが」と前置きしつつ、VAR導入の必要性を説いた。

「今年ワールドカップでVARが導入されたことで、UEFAは世界の重要な組織のなかで唯一のVARを導入していない場所になった。CLはそのなかでも最大級の大会だ。そういう判断をしているから、こんなことになるんだ。バレンシアで起こったことは世界中で議論されているが、ロナウドのレッドカードに同意しているのは幻覚を見ている人間だけだ。何よりも大会を考えれば、2試合出場停止になるリスクは許容できないだろう」

UEFAはTV放映権などを理由にVARを導入していないが…

 UEFAはCLでのVAR導入について、多くの国で横断的に開催されている大会であることや、TV放映権が複雑に絡んだ状態で多くのテレビカメラが各会場にあることを理由に、使用しないことを決めた。しかし、リッピ氏はその判断が「こんなことになる」と厳しい言葉をつないだ。

 試合こそユベントスが10人の状態から2点を奪って勝利。主審が判断に困った判定について、別角度から見ていた審判団にアドバイスを求めて最終判断を下すのは手続きとしては間違っていないが、その精度と判断には世界中から批判の声が大きい。そして、論点は徐々にVARをCLにも導入すべきだという意見に集約されていきそうな気配だ。(Football ZONE web編集部)