フィギュアスケートの「4回転ジャンプ」を今後どう表記すべきか真剣に検討した結果、「6回転問題」の存在が発覚した件。
コレを書いている今、リアルタイムでは羽生結弦氏の今季初演技となるオータムクラシック・男子シングルショートプログラムが行なわれています。その話をすべきなのかもしれませんが、平日の疲れも残っており、個人的にもお出掛けの予定があるため「見て、書いて、寝て、すぐ起きる」の4連続コンボは無理であると判断しました。せっかくの新プログラムお披露目ですし、勝った負けたにこだわらないでいい時期ですので、そちらはじっくりとCSテレ朝の放送を見てから感想など述べようかと思います。
しかし、内心はずっと気持ち悪かったのです。何で3回転までは「シングル」「ダブル」「トリプル」なのに、4回転から「4回転」になるのやと。ワン、ツー、スリー、ヨンかと。サンデー、マンデー、チューズデー、水曜日かと。それでも、たまーに誰かが跳ぶくらいなら例外的な処理として飲み込めたのですが、いまやフィギュアスケートも真・4回転時代となり、女子選手ですら4回転ジャンプを跳んでくるようになってきています。
「もういい加減、英語で言ってもええやろ…」
それは僕だけでなくメディアも含めた自然な流れだと思います。ということで、シレッと昨日の記事で「クワッド」表記を導入したのですが、これがなかなか評判がよろしくない。不慣れな人もいれば、クワッドはイヤというこだわりがある人もいる模様。なるほど、これは一度ゼロベースで考える必要があるかもしれないと思った次第です。
↓界隈の人々はどう考えているのか、まずはアンケートをとってみました!
フィギュアスケートの4回転を何と記すべきか。個人的には3回転が「トリプル」なのに4回転は「4回転」というのは不揃いだと思います。前から気になっていましたが、伝わることが前提なので知らない言葉は避けたまで。そろそろ慣れた?という浸透度も含めてご意見募集です。もしあれば理由もリプライで。
- フモフモ編集長 (@fumofumocolumn) 2018年9月21日
【9月22日0時30分集計/投票数5627票時点での結果】
●4回転:14%
●クワッド:11%
●クワド:71%
●1440:4%
アンケートでは圧倒的にクワドが優勢!
界隈の意見が「クワド」であるのは察することができましたが、それが妥当なのかどうかは別問題。意見を見ていくと「クワド」勢は「昔からそう呼んでいた」という声が多く聞こえます。そして何故かクワッドへの反対意見が多く寄せられており「ッが意味不明」「何となく恥ずかしい」「ドナルドダックかよ」といった、ドナルドへのとばっちりまで。リプライ欄には「ドナルドかよ」のご意見は2件でしたが、リプライじゃないところで同じことを考えている人はほかにもいるようで、僕もだんだんドナルドへの熱い風評被害がわきあがってきました。「お前のセリフだけ字幕つけとけ!」と。
ドナルドはさておき、まずはクワド・クワッド論争を考えていきます。そもそもの単語「quadruple」は、発音記号で「kwɑdruːpl」と記されています。実際の発音をウェブ辞書(https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/quadruple/#ej-68375)で聞くと「クワドルーポー」といった感じに聞こえます。この短縮版の形容詞であるところの単語「quad」は、発音記号で「kwɑ'd/kwɔ'd」とされており、ワの母音アに対してアクセントがつけられています。実際の発音をウェブ辞書(https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/quad/#ej-68339)で聞くと「クワード」と聞こえます。
「ここにきてクワード第三勢力の登場かよ…」
綴りから一定数の「クアド」「クァド」勢もいたようですが、それはまず消してもよいでしょう。ワのほうが実際の発音に近い表現となっていますので。問題は日本語でどう書くかですが、先行した導入例について、リプライ欄で「スキー場のリフトは昔からクワッド」「スノーボードではクワッド」というご意見をいただきました。こちら検索などしてみると、確かにスキー・スノボ界は「クワッド」が主流派である様子が見てとれました。
↓4人乗りリフトはクワッドリフトと呼んでいるようです!
今朝からまたまた雪が降って圧雪バーンの上に新雪が少し積もっていい感じです!! ハチ北中央クワッドリフト乗り場前で #iDone 試乗会3日4日開催中 #ハチ北 https://t.co/ZmujSwHqi2 pic.twitter.com/6alFdZI96Y
- ハチハチ北スキー場 (@hachi_hachikita) 2018年2月3日
クワッドリフトって言われると、パートナーの女性を4回ぶん回して持ち上げるみたいなのを想像してしまうけど、違います!
4人乗りリフトのことです!
ほかの競技も見ていくとセパタクロー4人制は「クワッド」と日本語表記されていたり、モータースポーツの世界では「クワッドターボエンジン」「クワッドエキゾーストパイプ」などの表記が見られ、クワドは少数派のようです。むしろ、「クワド」を積極的に用いているのは、フィギュアスケート界隈くらいなのではないかという印象さえ。「クワッド」で検索するとさまざまなジャンルのウェブが引っ掛かりますが、「クワド」だとフィギュアスケート関連が際立って多くなり、わずかにゴルフ界で4打オーバーを「クワドラプルボギー」と記す例が見られるくらい。
【ボート競技】その3
- いきいき茨城ゆめ国体潮来市実行委員会 (@kokutai_itako) 2018年7月8日
舵手付きクオドルプル
クオドルプル艇は、4人の漕手と、COXと呼ばれる舵手1人の選手が乗艇し、漕手は左右の2本のオールを漕ぎます。
写真は、潮来高等学校、潮来選抜チームです。#ボート競技 #舵手付きクオドルプル #茨城国体 #潮来高等学校 #潮来選抜 #潮来市 pic.twitter.com/8L14NxkX5Y
では、メディアはどうなっているのでしょうか。主要な新聞が4回転ジャンプをどう呼んでいるのか、最近の記事を探ってみました。すると意外なことが判明しました。確かに最近、「クワッド」は記事中にも使われる単語として登場しているのですが、それはクワッドアクセルと呼ぶための登場であり、ほかのジャンプについては4回転と従来どおりに書いているのです。
↓「クワッドアクセル」って言いたいだけで、「クワッドトゥループ」とか呼びたいわけではないっぽい!
<アクセルはクワッドアクセルと書くが、総称は4回転ジャンプ>羽生、皇帝になる!新プログラム発表 プルシェンコ氏伝説的作品アレンジ https://t.co/rgMxZURYRk
- スポニチアネックス (@sponichiannex) 2018年8月31日
<アクセルはクワッドアクセルと書くが、4回転トーループという表記も併用>羽生結弦「質を意識する」 平昌五輪以来の実戦へ フィギュアスケートのオータム・クラシック公式練習 https://t.co/VApg9q3CCU
- 産経ニュース (@Sankei_news) 2018年9月21日
<クワッドアクセルという表記も使うが、4回転半であることを前もって説明>【 #羽生結弦 #フィギュア に向き合う姿勢に出てきた変化とは?】
- NHKスポーツ (@nhk_sports) 2018年9月18日
#羽生 結弦選手がいよいよ今月20日に開幕するカナダの大会で今シーズンの初戦を迎えます。フィギュアスケートに向き合う姿勢について出てきた変化とは?https://t.co/Si3YzP8moL
<娘の名前は「ひまわり」だが、トーマストゲオアガマの名前は「クワド」>安藤美姫 ブログで「新しい家族」発表「ちなみに男の子です」 https://t.co/4ZZGbpyQNe
- スポニチ記者ツイート スポーツ (@sponichisports) 2018年1月26日
新聞界隈はまだ全然「クワッド」にも「クワド」にも舵を切っていませんでした!
要するに「クワッドアクセル」って言いたいだけ!
ふむふむ、最近のクワッドブームは表記を変えようということではなく、羽生氏が提示したキャッチーな目標であるところの「クワッドアクセル」という単語の使用頻度が増しているだけのようですね。クワッドルッツなどと言うつもりはさらさらなく、「クワッドアクセル」って言いたいだけなのである、と。なるほど、そういうことか。羽生氏が「クワッドアクセル跳びたい」って言うんなら、僕もそう呼ぶしかないですよね。わかりました、羽生氏の発音に託しましょう。羽生氏がクワドなら僕もクワドにするし、羽生氏がクワッドならみなさんも黙ってクワッドに鞍替え、それでいきましょう!
↓だがしかし、羽生氏本人はクワッドとかではなく「4回転」と言っていた…!
挑戦を続ける #羽生結弦 選手。世界でまだ誰も飛んでいない4回転半ジャンプ「クワッドアクセル」を成功させ、今シーズンのプログラムに取り込むことが目標です。
- ニュースウオッチ9 (@nhk_nw9) 2018年9月18日
今月20日に開幕するカナダの大会で、今シーズン初戦を迎える羽生選手の思い、ショート動画でご覧ください。 #nhk #NW9 #ニュースウオッチ9 pic.twitter.com/Ke3LG6MNcB
羽生氏クワッとかクェーとか全然言ってないやん…。
最近のインタビュー見返しても「4回転アクセル」ってずっと言ってるやん…。
お子様からお年寄りまで優しい言いかたやん…。
長々と書いてきましたが、結論としては「まだ4回転でいいや」ということでおさめようと思います。じょじょに僕もquadな気持ちが強まっていますので、勢いで「クワドループ」とか「クワッドループ」とか書くこともあるかもしれませんが、世間に広く伝えたいなら「4回転」と書くべし、それが羽生氏が教えてくれた「優しさ」です。
もしかしたら羽生氏には5回転、そして6回転という未来が見えていて、あらかじめそこにある危機を察知しているのかもしれませんね。5回転の場合は「Quintuple(クインテュープル)」なのでクインアクセルとかクイントアクセルとかカッコいい感じにできそうですが、6回転がいけません。6回転の「Sextuple」は、どう読んでもアレじゃないですか!
●●●●トゥループ!(※トオルがお相手の印象)
●●●●サルコウ!(※猿はこうする的な印象)
●●●●ループ!(※一晩で6回戦の印象)
●●●●フリップ!(※不倫プレイの印象)
●●●●ルッツ!(※今晩スルッ!の印象)
●●●●アクセル!(※最後の追い込みの印象)
羽生氏が5回転、6回転するかはわかりませんし、たぶんしないのでしょうが、将来の心配の子種を今生む必要はありません。「ひとつの演技に3種類3本の6回転」という状況を「3種3●●●●」とか書けないのに、そっちに舵を切ってどうするというのか。「前、後ろ、騎乗かな?」と受け入れられるわけがないでしょう。クイントアクセルまでやっておいてから、急に「6回転は6回転と呼ぼう…」と言い出すのは、あからさまにオカシイですよね。日本人なら日本語でいきましょう!クワドでもクワッドでも、全国的にひとつに集約するその日まで!
トリプルは日本語になったがクワッドはまだ!もう少し様子見します!
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