数々の映画主題歌が大ヒットしたケニー・ロギンス

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 楽曲「フットルース」「デンジャー・ゾーン」などの映画主題歌の世界的大ヒットで注目を浴びたケニー・ロギンスが、9月17日(現地時間)、ニューヨークの3 West Clubで行われたハドソン・ユニオンのイベントで、自身の人生を振り返った。

 ケニーは、1948年にワシントン州エベレットで生まれ、旧友ジム・メッシーナとデュオ、ロギンス&メッシーナを結成。「シンキング・オブ・ユー」「ママはダンスを踊らない」などのヒット曲を生む。1977年にソロデビューした後は、スティーヴィー・ニックス、スティーヴ・ペリーなどのアーティストと組む中、マイケル・マクドナルドとのコンビで「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」「ディス・イズ・イット」などの楽曲を共作。1980年代に入ると「フットルース」「デンジャー・ゾーン」「心の夜明け」などの映画主題歌で大ヒットを飛ばした。その後も、子供向けのアルバムを制作するなど、独自の活動を続けている。
 
 最初に手掛けた映画のサントラは、バーブラ・ストライサンド、クリス・クリストファーソン共演の映画『スター誕生』。バーブラと映画プロデューサーのジョン・ピーターズがカップルだった当時、二人が手掛けた作品だという。「バーブラは、この映画のサントラを手掛けるために、自分が好きなミュージシャンたちに連絡を取っていたんだ。彼女から、『わたしの映画のために、作曲してくれない?』と言われてね。バーブラのような歌手から電話を受けるなんて光栄なことで、とてもクールだと思ったよ。その後、自宅に呼ばれ、彼女と2、3日共に過ごし、いくつか楽曲を聴いてもらったんだ。彼女は、その中から『愛を信じて』(原題『I Believe In Love』)を選んでくれたよ」。

 「フットルース」については、初めて脚本に合わせて作曲したそうだ。「僕の友人でもある音楽家ディーン・ピッチフォードは、作詞だけでなく、あの映画の脚本も書いていたんだ。彼が脚本を送ってくれて、そのとき初めて映像ではなく、脚本に合わせて作曲したよ。通常は、製作陣は音楽を後回しにするから、僕らミュージシャンは、出来上がった映像に沿って作曲をする。けれど、あの映画では脚本に合わせて書いたから、完成した映像を観るまで全くわからなかったんだ」。ちなみに、これ以降は脚本に合わせた作曲をしていないそうだ。

 映画『トップガン』に関わったことについては、幸運が重なったとケニーは語る。「あの映画は当時、音楽界でも話題になっていたんだ。製作陣は、当時活躍していたポップアーティストたちをテスト試写に呼んで、鑑賞させていたからね。ほとんどのミュージシャンは、あのオープニングシーンに驚いていたよ。ある日、劇中音楽を担当したジョルジオ・モロダーのアシスタントから連絡があって、『ジョルジオが作曲した「デンジャー・ゾーン」という楽曲のレコーディングをあと2日でしなければならないが、歌うアーティストがいない。スタジオに来て、楽曲のチェックをしてくれないか』と言われたんだ」。ケニーは、楽曲に多少手を加えて歌い、結果的に、それが今残されているあの曲になったのだそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)