米国在住の黄万青さんは豪で開催中の人体標本展に出された死体のうち「弟の遺体がある」として、地元警察当局に通報しDNA鑑定を求めている(周東/大紀元)

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オーストラリアのシドニー市で現在開催されている、実際の人体を使った標本展をめぐって、欧州や米国など各国の人権団体から、身元不明者の身体利用や倫理問題があるとして非難の声が上がっている。

中国出身で米国在住の男性は、今回展示されている人体のうち、警察に思想犯として連行されその後、行方が分からなくなっている弟の遺体があるのではないかと主張し、主催側に人体標本のDNA鑑定を求めている。

シドニーで開催されている人体標本の展示「リアル・バディ」を主催したのは、米ジョージア州アトランタに拠点をおくイマジン・エキシビジョン社。会期は4月14日〜10月14日まで。生物を半永久保存できるプラスティネーション処理された人体20体と、200の解剖標本が展示されている。

豪メディアNews.com.au4月9日付によると、同社のトム・ザラー最高経営責任者は、遺体が献体であることを証明できないが、明らかに(遺体は)中国からきていると語った。

生命倫理の問題が懸念される人体標本展示会に反対するウェスタン・シドニー大学医学部教授ボーガン・マスフィールド氏は、通常、医科大学に提供される献体は年配者だが、展示会の人体標本は「若い男性が多い」と指摘した。

2006年、米ニューヨーク・タイムズには、中国には当時、「少なくとも10カ所の人体加工工場があり、簡単に死体や臓器が入手できた。政府の監督も甘い」と報じた。人権団体は、大量の人体は精神病患者や死刑囚の可能性があると指摘している。

法輪功迫害情報を伝える明慧ネットによると、大連市は法輪功弾圧が厳しく、連行された学習者が多い市の一つに挙げている。2012年、情報筋が大紀元にリークした内容によると、当時の大連市には死体加工工場が2つ存在した。当時の市長・薄熙来(政治犯で死刑確定)と妻の谷開来(殺人罪で服役中)は公安、裁判所、刑務所と連携して、収監中の法輪功学習者の人体を死体加工工場に大量に売っていたという。

在米の兄、弾圧され行方不明になった弟を探す

こうした背景の中、思想犯として警察に連行され、行方の分からなくなっている弟を探し続ける男性がシドニーで9月16日に記者会見を開いた。人体標本展で展示されている可能性が否定できないと訴え、標本のDNA鑑定を求めている。

米国から駆けつけた黄万青さんは、2003年に中国当局が弾圧する気功法・法輪功の学習者だった弟の黄雄さん(当時25歳)が警察に連行されて以降、コンタクトが取れなくなっている。中国大陸の家族によると、黄雄さんの身分証番号(日本の戸籍に相当)は2005年までに抹消されているという。

中国では一般的に、国民が死亡した場合、当局が身分証の番号や関連記録を破棄する。黄万青さんを含む家族は、身分証番号が抹消された理由を尋ねているが、明確な回答はこれまで得られていない。

黄万青さんは弁護士を通じて、ニューサウスウェールズ州警察当局に、身元の分からない人物の遺体を展示している人体標本展に違法性がないかどうか、調査を求めた。黄さんによると、警察当局は同日に立件し、展示人体の身元について捜査するという。

人体標本展示会の主催側はこれまで、遺体の入手ルートについて「合法」と主張し、「引き取り手のない遺体」であり、中国の死刑囚や政治犯などではないと説明している。

黄さんの会見に同席した人権団体は、警察当局が捜査のなかで、人体標本のDNAデータベースを作成することを望んでいる。「私のように、中国国内にいる親族が突然消息不明になったという中国人は、世界各地にいるだろう」と黄さんは付け加えた。

長年、中国当局が主に法輪功学習者を対象にした強制臓器摘出問題を調査してきたカナダ人権弁護士のデービット・マタス氏も16日の記者会見に出席した。同氏は、人体標本展主催側が死体の身元・出所、生前献体同意書の有無など法的情報を開示すべきだとした。

16日の記者会見には在豪ウィグル人協会、臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)オーストラリア支部、中国での臓器移植乱用停止国際ネットワーク(ETAC)、人体標本展示会に反対する豪州人権団体などの関係者が出席した。

国連人種差別撤廃委員会は8月末、中国当局が新疆ウイグル自治地区のウイグル人住民約100万人を、「再教育」として強制収容所に拘束していると指摘した。出席した在豪ウイグル人協会のMamtimin Ala会長は、収容所内で一部のウィグル人が当局から迫害を受け死亡したとの情報があると述べた。「親族らの話では、遺体に臓器を抜き取られた痕があった」という。

Ala会長は、人体標本にはウイグル人がいるのではと推測し、調査するとの豪州警察の動きを支持した。

(記者・燕楠、翻訳編集・張哲)