9月23日、阪神競馬場では3歳馬によるGI菊花賞(10月21日)のトライアルレース、GII神戸新聞杯(芝2400m)が行われる。

 GIオークスの上位3頭が出走しなかった牝馬のGIIローズSに比べ、こちらはGI日本ダービー馬のワグネリアンと、GI皐月賞馬で日本ダービー2着のエポカドーロという、”トップ2”の2頭が出走してくる。


5月の日本ダービーを制したワグネリアン

 皐月賞馬と日本ダービー馬がこの神戸新聞杯で対決するのは、エアシャカールとアグネスフライトが出走した2000年以来。この時は日本ダービー馬アグネスフライトが2着、皐月賞馬エアシャカールが3着に敗れ、3番人気のフサイチソニックが勝利した。その後、エアシャカールは続く菊花賞を制している。

 果たして、今年はどのような結果になるだろうか。菊花賞まで念頭に置きつつ、今回はこの2頭の比較を中心に分析していこう。

 まずは日本ダービー馬ワグネリアン(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)。昨年のデビューから3連勝でGIII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)を勝利したものの、今年はGII弥生賞(中山・芝2000m)2着、GI皐月賞(中山・芝2000m)7着と連敗。日本ダービー(東京・芝2400m)では単勝12.5倍の5番人気と評価を落としたが、外枠17番から好位4〜5番手につける積極的な競馬で、見事に3歳馬の頂点に立った。今回はそれ以来4カ月ぶりの出走となる。

 神戸新聞杯が芝2400mに変更(それまでは2000m)された2007年以降の11回で、ダービー馬は5頭が出走。2008年ディープスカイ、2011年オルフェーヴル、2014年ワンアンドオンリー、2017年レイデオロの4頭が勝利している。また、2010年エイシンフラッシュが2着で、4勝、2着1回の勝率80%、連対率100%を誇っている。

 これを”ダービー最先着馬(※)“まで条件を広げても、上記5頭に加え、2016年サトノダイヤモンド(日本ダービー2着)1着、2015年リアルスティール(同4着)2着、2013年エピファネイア(同2着)1着、2012年ゴールドシップ(同5着)1着、2009年リーチザクラウン(同2着)2着、2007年アサクサキングス(同2着)2着と、11頭が7勝、2着4回で、勝率64%、連対率100%という、これもまた高い数字を保っている。データ上、このレースにおける日本ダービー馬の連対率は100%と、極めて高い信頼度を誇っている。
(※ 神戸新聞杯に出走した中で、日本ダービーの着順がもっともよかった馬)

 ワグネリアンは、皐月賞では後方からの競馬で7着と大きく敗れているが、それ以外では中団より前につけて末脚を伸ばすという安定感ある競馬を見せており、今回も大崩れはなさそうだ。今回のレースに向けての調整も順調のようで、勝利に最も近い馬といっていい。

 ただ、ちょっと気になるのは父ディープインパクト産駒の神戸新聞杯成績だ。過去20頭が出走し、1勝、2着2回と、それほどいい数字ではない。1番人気馬は前述のリアルスティール、サトノダイヤモンドがともに連対しているが、あえて不安点を挙げればここか。

 一方のエポカドーロ(牡3歳/栗東・藤原英昭厩舎)は、今年1月21日の2戦目(京都・芝1600m)で初勝利を挙げると、続くあすなろ賞(小倉・芝2000m)を勝利して臨んだGIIスプリングS(中山・芝1800m)でハナ差の2着。そして7番人気(単勝14.5倍)だった皐月賞を、好位4番手から抜け出して2馬身差で快勝している。続く日本ダービーはハナを奪いながら、ワグネリアンと1/2馬身差の2着に敗れた。今回はそれ以来の出走となる。

 神戸新聞杯に出走した皐月賞馬は2007年以降4頭。2007年ヴィクトリーが3着、2009年アンライバルドが4着、2011年オルフェーヴルが1着、2012年ゴールドシップが1着で、2勝、3着1回というまずまずの成績だが、日本ダービー馬の安定感と比べると大きく劣っている。エポカドーロの脚質的にも、1600mを逃げ切るスピードがあるくらいの馬なので日本ダービーでは逃げて粘ったが、他馬の目標になりプレッシャーをかけられる展開になってしまうと、やや心配ではある。

 父オルフェーヴルの産駒はこの世代が初年度産駒だが、オルフェーヴルが神戸新聞杯を勝利していて、その父ステイゴールド産駒も3勝しているため、血統的に不安が少ないのは好材料だ。

 ここまでの2頭の力が抜けている感はあるが、それ以外に注目馬を挙げるとすれば、ステイゴールド産駒の2頭、エタリオウ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)とステイフーリッシュ(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)だろう。

 ステイゴールド産駒は、前述したように過去に8頭が走り、2007年ドリームジャーニー、2011年オルフェーヴル、2012年ゴールドシップの3頭が勝利している。他の5頭はいずれも6着以下で、勝つか着外の極端な成績となっているが、2強を破るとすればこの2頭かもしれない。エタリオウは日本ダービーでワグネリアンから0秒2差の4着、ステイフーリッシュはGII京都新聞杯(京都・芝2200m)を勝っており、実力的にも申し分ない。

 以上、2頭のクラシックホースを中心に4頭を挙げてみた。ワグネリアンの軸は固く、エポカドーロの好走の可能性も高いが、大物食いがあるとすればエタリオウ、ステイフーリッシュのステイゴールド産駒2頭という見解だ。