ロジャー・フェデラー【写真:Getty Images】

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豪テレビ局の発言を英紙が紹介「起こってしまったことは明らかに過ちがあった」

 テニスの4大大会、全米オープン女子シングルス決勝で世界ランク7位の大坂なおみ(日清食品)に敗れたセリーナ・ウィリアムズ(米国)。試合中に審判への暴言などの行動が波紋を広げていたが、グランドスラム20勝の男子シングルス世界ランク2位、ロジャー・フェデラー(スイス)がオーストラリアテレビ局「KVUE」に登場し、一連の騒動に初めて言及。「明らかに過ちがあった」と発言し、騒動の原因検証の必要性を訴えている。英メディアが伝えている。

 女子テニス界を賑わせた騒動に男子テニス界の王者がついに口を開いた。「ロジャー・フェデラーセリーナ・ウィリアムズ騒動に意見 過ちがなされた」と特集したのは、英地元紙「デイリー・エクスプレス」だった。記事によると、フェデラーは豪州のテレビ局に登場し、今回の騒動について初めて語ったことを紹介している。

「興味深い。しかし、大事なことはしっかりと検証することだ。アンパイアにはそれぞれのスタイルというものがある。どのスポーツでも同じことだけどね」

 試合ではセリーナが第1セットを落として迎えた第2セットで客席からコーチに指導を受けたとしてカルロス・ラモス主審に警告を受け、自制心を失った。ラケット破壊、主審への度重なる暴言に加え、「盗人」呼ばわりなどでペナルティを受けていた。しかし、記事ではフェデラーが冷静な指摘を行っている。

テニスの世界にはコーチングバイオレーションをより言い渡す主審もいれば、タイムバイオレーションをよく取る人もいる。その選手に対しては素行が良くないとみなしている主審と当たることもある。そういう時は、早めに警告を出すこともあるし、彼は本当にいいヤツなんだけど、ただ自制心が足りないだけだから、寛大に対応しようということもある。状況次第だと考えている」

セリーナ、審判に対して公平な視点「今回のケースは性差別ではないと願う」

 コーチング違反を取られたセリーナは試合後、会見で男子ツアーなら警告は取られないという性差別を主張した。だが、フェデラーは指導の違反を多く取る審判もいるとし、選手側も審判の傾向に応じた対策も必要であるとの考えを示している。

「今回のケースは性差別ではないと願っているけど、実際に起こってしまったことには明らかに過ちが存在した。他の選択肢もあったと思う。それと同時に、彼ら(審判)は自分の仕事をしなければいけない。それこそ私たちが望んでいることなんだ」

 フェデラーはこう話したといい、セリーナ、審判に対して公平な視点で、世界中が注目する頂上決戦で起こった騒動に「過ちがあった」と表現。さらに「扱いづらい問題だけど、この事例は研究対象としてすごく興味深いのではないか」とも話し、フェデラーはテニス界の今後にとっても大きな教訓にすべきと提言している。

 フェデラー自身、若い時代はラケット破壊などの行動を起こすこともあったが、キャリアを積み、今や紳士的なプレーと振る舞いで尊敬を集めている。日本では大坂の動向に集まっているが、テニス界のレジェンドも発言するなど、世界では未だ今回の一連の騒動の関心は収まっていない様子だ。(THE ANSWER編集部)