危険度を増してしまう間違ったテクニックも

 クルマは燃料がなければ走らない(EV車を除く)が、最近またじわじわとガソリン価格がアップしており、なるべく燃料消費を抑えるためにアレコレテクニックを駆使しているユーザーも多いことだろう。しかし、中には燃費向上に効果がないばかりか、危険度を増してしまう間違ったテクニックも存在している。そこで今回はそんな効果のないテクニックをご紹介しよう。

1)頻繁にアイドリングストップをする(アイドリングストップ機能のない車種で)

 現在販売されている車種の多くに装着されているアイドリングストップ機能。信号待ちなどクルマが動かない状況でのアイドリングを減らすことで相対的に燃料消費量を減らすという機能だ。もちろん、標準で搭載されている車種であれば問題ないのだが、その機能がない車種で手動でアイドリングストップをするとなると、場合によってはエコにつながらない場合もある。

 じつは、エンジンを始動させるときには通常よりも多く燃料を噴射しており、車種にもよるがその量はアイドリングの5秒から10秒に匹敵する量となる。つまり、それ以下のアイドリングであれば、いちいちエンジンを切るほうが効率は悪いということになる。また、アイドリングストップ機能を持つ車種はスターターモーターやバッテリーなどが強化されているものもあり、そうでない車種で行うことはそれらの部分に負担をかけることにもなってしまう。

2)下り坂でギヤをニュートラルに入れる

 下り坂では重力によってクルマに速度が乗るためニュートラルに入れてしまえばアイドリングの燃料消費で加速ができる……と思っている人もいるのではないだろうか。しかし、実は下り坂でエンジンブレーキが効いている状況であれば、燃料の供給がカットされるシーンもあり、アイドリングよりも燃料を消費しないのである。

 燃費に効果がないどころか、エンジンブレーキが効かないのでどんどん速度は上がってしまうし、車輪に駆動力が行っていないので、予期しない挙動でスピン状態などに陥る恐れもあるのだ。

 当サイトの読者にはいないとは思うが、エンジンOFFなどは愚の骨頂で、ステアリングはロックされる可能性があるし、ブレーキの倍力装置も効かなくなるので、待っているのは事故のみだ。

3)早めすぎるシフトアップ

 エンジンの回転数が高い=燃料消費量が多いという固定概念があるのか、MT車で速すぎるシフトアップをするユーザーもいる。しかし、エンジンにはトルクバンドというものがあり、それに入る前にシフトアップしてしまうと結果的に充分な出力を得ることができず、無意識にアクセルを踏み込んでしまうことで結局燃料消費量が抑えられないという悪循環に陥ってしまうのだ。

 最近のカタログではなかなかお目にかかることがないが、昔のカタログには燃料消費率(1馬力当りの燃料消費量)が掲載されており、その車種で一番効率のいいエンジン回転数を読み取ることができていた。できればメーカーには、再びこのグラフを掲載していただけるとよりエコ走行に活用できると思うのだが……。