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■海外の機関投資家がメリカリに高い関心示す理由

2018年6月、フリーマーケットアプリ国内最大手のメルカリが東証マザーズに上場した。公開価格3000円に対し、初値は5000円。ストップ高の6000円まで上昇する場面もあり、「メルカリ祭り」となった。

特徴的だったのは、海外の機関投資家も高い関心を示していたことだ。メルカリがCtoCの売買を簡単にできるサービスを開発した、いわば新市場開拓への期待感は、CtoCビジネスが未発達の海外で特に大きい。

国内では、フリマアプリ分野では敵なしと言っていい状態だ。もともとはYahoo! JAPANの「ヤフオク!」が強かったが、メルカリのスマホライクに適合したサービスが受け、競合を引き離している。利用者も現在は20〜30代の女性が中心だが、今後は男性や上の年代層も取り込める余地があることを考えれば、まだまだ伸び代も十分にありそうだ。

■米国はガレージセールが一般的、フリマアプリを使う習慣はない

海外展開についても、創業者の山田進太郎会長兼CEOが「米国を制するものは世界を制す」といった発言をするなど、非常に積極的だ。ただ、私は時間がかかると見ている。

まず知名度の問題。米国では日本のテレビCMのようにマスに一斉に働きかける宣伝手段はなく、サービスが知られるには時間が必要だ。次に、米国ではガレージセールが一般的で、フリマアプリを日常的に使う習慣はない。最後に、日本のように至る所にコンビニがあるような物流網は広大な米国には存在せず、メルカリのセールスポイントである「手軽な売買」の実現が難しいことだ。

とはいえ、米国でもAmazonなどの通販サービスが普及しているのは事実。メルカリの競合と言えるサービスも今のところ存在せず、十分に商機はありそうだ。

懸念を1つ挙げるなら、セキュリティ面だろう。写真付きの身分証の提出を義務付けるなど、本人確認はより強化していく必要があるのではないか。

(ITジャーナリスト 三上 洋 構成=衣谷 康 写真=iStock.com)