神戸の新監督就任が決まった“ファンマ”ことファン・マヌエル・リージョ氏。神戸をいかなるチームに再構築してみせるだろうか。(C) Getty Images

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 17日、午後3時過ぎから始まった神戸の新体制会見。電撃的な吉田孝行監督(41)の解任に伴い、新監督として壇上に上がったのが、52歳のスペイン人指導者、ファン・マヌエル・リージョ氏だった。冒頭の挨拶で「こんにちは」と語り始めた指揮官は、新天地での抱負を語った。
 
ヴィッセル神戸、そして日本という国へ来る扉を開けてくれたことに感謝しています。長い期間、プロフェッショナルとして仕事をしてきた中で強調したいのが、まずは私がこのクラブに貢献できる人材として捉えていただいたこと。そして、これから私が考えないといけないのは、ピッチ上のアーティストともいえる選手たちに対してどう貢献できるか、ということです。そのチャンスを与えていただいたことに感謝しています」
 
“ファンマ”(愛称)ことファン・マヌエル・リージョ氏は、29歳の若さでUDサラマンカの監督に就任。スペインだけでなくメキシコやコロンビアなどで監督を務め、チリ代表のアシスタントコーチ、かつて清武弘嗣が在籍したセビージャでは助監督を務めていた。近代サッカーの先駆者で、マンチェスター・シティで指揮を執るジョゼップ・グアルディオラ監督に師匠と仰がれる存在。05年からリージョ氏が2年間にわたって監督を務めたメキシコのドラドス・シナロアで、グアルディオラ氏は現役最後のキャリアを過ごした。新監督とともに登壇した三木谷浩史会長と三浦淳寛スポーツダイレクターは、経験豊富な手腕に期待を寄せた。
 
「世界のサッカー界の人が誰でも知るイノベーターを獲得できる可能性があるということで、私もバルセロナと様々な方々に相談させて頂きながら。我々とのフィット感も見て、この方が来れば我々が目指すものと同じ方向を目指していけるだろうということで、お話をさせて頂いた。ポゼッションサッカーの開拓者。まさか、来てくれるとは思っていなかった」(三木谷会長)
 
「アジアナンバーワンを取るために、ステップアップする時期に来ている。我々の目指す攻撃的なポゼッションサッカーを作り上げてくれる監督。4-2-3-1のシステムを作り上げたのもファンマだし、時代の最先端を行く人」(三浦スポーツダイレクター)
 ファン・マヌエル・リージョ氏に求められているのは、神戸が推し進めるバルセロナのようなポゼッションサッカーの加速化に他ならない。堅守速攻から新たなスタイルに変更して吉田監督のもとで戦ってきた今季、ここまでの成績は10勝6分け10敗の8位。ポドルスキとイニエスタという世界的なタレントを抱えながらも、現在はリーグ3連敗中と厳しい状況に陥っていた。絶対目標に掲げる来季のACL出場権獲得が遠のきつつあったなかで、指揮を託されたのがリージョ氏であり、本人もポゼッションスタイルの浸透へ自信を示した。
 
「日本のサッカーに興味を持っていたし、日本の代表チームを見ることが多かった。日本の選手は技術の高いスタイルによって試合をしている。ゲームが始まる時、そしてゲームが終わる時、常にボールを足もとに置いておきたいと考える監督にとって、日本人のスタイルを前提にチームを作っていけるのは非常に大きなこと。そういったプレーのモデルが存在し、かつ神戸にはクオリティの高い選手たちがいる。その前提があったから、迷うことなく今回のオファーを受けた」
 
 リージョ氏とともに、イニーゴ・ドミンゲス・ドゥランヘッドコーチ(39)、ホルヘ・ムニョス・ディアスアシスタントコーチ(42)の就任も発表。就労ビザの手続きが完了次第、指揮を執ることになり、それまでは暫定体制として林健太郎アシスタントコーチ(46)が昇格する形で監督を務める。