私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。

しかし、やっとの思いでLINEやデートに漕ぎ着けても、失敗の可能性は常につきまとうのだ。

あんなに盛り上がったはずなのに、突然の既読スルーに予期せぬ別れ。 恋人同士になれたかと思ったのに、いつまでたっても一進後退を繰り返す関係性。そんな経験、無いだろうか?

男女の関係を次に繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。

さて、今週の宿題は?




里穂と出会ったのは、行きつけの店だった。

中目黒にあるバーで偶然隣に座っていた里穂に、気がつけば僕から話しかけていたのだ。

頻繁にこの店に来ているが、これまでに里穂を見かけた記憶はない。

「このバー、よく来るの?」

聞く前から答えはわかっていたけれど、会話のキッカケを探すためにありきたりな質問を投げかけてみた。

「初めて来ました!友達に連れてきてもらったんです。常連さんですか?」
「そうそう、家が近くて。よく来るんだよね」

突然話しかけたにも関わらず、里穂は感じよく対応してくれる。しかも可愛い。今日このバーに来た自分を褒めたくなった。

「良平って、里穂ちゃん結構タイプなんじゃない?連絡先交換しちゃえば?」

マスターの粋な計らいで連絡先を交換できる事になり、しかも驚くことに食事の約束までこぎつけられた。

「本当に大丈夫?無理しなくてもいいからね」

強制していたら申し訳ないと思い、気を遣ってみたが、里穂はなんとも可愛らしい笑顔でこう答えてくれたのだ。

「いえ、私が良平さんとご飯に行きたいんです♡楽しみにしていますね」

出会った日は、確かに全てが順調だった。

だがその後のデートで、僕は間違いを犯していたようだ。


出会いは完璧。けれども良平が放っていた嫌なフレーズとは


宿題1:以下の会話の中で、里穂が気になって仕方なかった点はどこか答えよ


里穂とのデートの店は 、恵比寿にある『ダンヴィーヴァ』にした。




浮き足立ちながらオンタイムで店に着く。それと同時くらいに、里穂から一通のLINEが入った。

-里穂:ごめんなさい!タクシーが捕まらなくて、5分遅刻です(汗)


女性の遅刻、しかもたったの5分なんて、全くの許容範囲内である。僕は“気をつけてきてね”と返信を打ち、里穂を待っていた。

「遅くなってごめんなさい!!」

きっかり5分後に里穂は登場した。

前回は暗いバーだったのでよく分からなかったが、改めて彼女を見ると、肌も脚も綺麗で、一瞬天使が登場したのかと思ったほどだ。

「全然待ってないから大丈夫だよ。急いでコケなかった?大丈夫?」

危うげなピンヒールを履いている里穂を気遣いながら、ディナーが始まる。

「なんで私がよくコケるって知っているんですか?(笑)」
「いや、なんとなく」

僕たちはお互い顔を見て笑いあった。

「里穂ちゃんって、家が広尾って言っていたよね?近所かなと思ってこの店予約したんだけど、近かった?」

この店に決めたのは、前回彼女が広尾に住んでいると話していたことを覚えていたからだった。

「はい、タクシーで10分弱くらいでした!お気遣いありがとうございます」
「そしたら歩いても来られる距離?」
「そうですね〜でも歩くとちょっと遠いかな。しかもヒールですし」
「そっか、タクシーでその距離はもったいないよね。」

もっと家から近い場所にしてあげるべきだったのだろうか、と気が付いて申し訳ない気持ちになる。

その後は、いつのまにか僕たちはすっかり話に夢中になった。お互いの家や仕事など、知らないことは沢山ある。

食事だけでは全く時間が足りず、2軒目へ移動した。

「良平さんのタイプは、どんな人ですか?」
「明るくて華やかな子かなぁ。里穂ちゃんは?」

そんなことを話しているうちにあっという間に時間は過ぎ、気がつけば12時近くなっていた。

「あ、ごめん!もうこんな時間だ。電車で帰る?それともまたタクシー乗る?」
「いえ、電車だと逆に遠回りになるので、タクシーで帰ります!」

そうして颯爽と去っていく里穂を見送り、僕たちの初デートは無事に終了したのだ。

-あぁ、楽しい夜だった。

幸せを噛みしめながら、僕は帰路に着いたのだった。


里穂がこのデートの後に抱いた感想は・・・?


宿題2:2度目のデートを終え、里穂が心の中で強く感じていたこととは何か


そして迎えた二度目のデート。今度は、中目黒の『RODEO(ロデオ)』を予約した。

待ち合わせを中目黒駅にしたのだが、人の多い駅前でも里穂は抜群に目立っており、遠くからでも彼女だとすぐに分かった。

今日も里穂は可愛くて、ファッションも華やかだ。そんな彼女を見ていると、思わず誉め言葉を口にしてしまう。

「里穂ちゃんって、いつもオシャレだし、いい鞄持っているよね」

たしか最初に会った時も前回も、高価そうな鞄を持っていた記憶がある。自立している証なのだろう。

「そうですか??エディターという職業柄、必要だし色々と持っているんですよね。鞄だけじゃなくて洋服の数も、普通よりは多い方かもしれませんね!」

そう言われてから改めて洋服を見てみると、たしかに毎回全然違うアイテムを組み合わせていると気が付いた。

「そっか、さすがだね!」

そんなことを話しながら、店へ向かった。モダンでシックな内装を見るなり、里穂は歓喜の声をあげている。

「わぁ〜このお店、来たかったんです♡本当に、良平さんってお店選びのセンスがいいんですね」

里穂に褒められて、僕は満面の笑顔になる。どうやら店選びは、合格のようだ。




「そう言えば里穂ちゃんって、普段電車とか乗るの?」

まずは乾杯し、落ち着いたところで里穂に素朴な疑問をぶつけてみる。今日も彼女は、駅前までタクシーで来たようなのだ。

広尾から中目黒までは日比谷線で一本なはずなのに、どうしてタクシーなのだろうか。

「え〜もちろん乗りますよ!今日はちょっと出るのがギリギリになっちゃって」
「そうなんだ!良かった、タクシーでしか移動しない人かと思った。里穂ちゃんって結構、パァッと使う人?」
「どんなイメージなんですか(笑)」

その後、お酒も入って気がついたらお互いの恋愛について深く語り合っていた。

「彼女はいたんだけど、いきなりふられちゃってさ。いつもそのパターンなんだよね。どうしてだろう」

僕がそう言うと、里穂は驚いた顔をする。

「良平さん、みんなに優しそうだから…。彼女が不安になっちゃうのかなあ?」

急に里穂に真っ直ぐ見つめられ、不意にドキッとしてしまう。

「え?優しい?のかな…ただ小さいことにはよく気がつくのかもしれないけど」

優しいと言われることは多いが、自分の中で特別なことをしているつもりはない。細かいことについ気がついてしまう性格もあるが、好きな子に優しくするのは当たり前のことだ。

「前も遅れてきても怒らなかったし、今日も会った瞬間に褒めてくれますし。優しいんだろうなぁと思って!」

里穂の発言に、僕は本日の勝利を確信する。

「そう言えば、この後、最初に出会ったバーに飲みに行かない?ここから歩いていける距離だし、せっかくだからどう?」

もちろん、答えはYESだと思っていた。だが意外にも、里穂はわかりやすい断り方をしてきたのだ。

「すみません、明日朝が早くて…」

そしてあっさり一軒目で解散し、それ以来僕が里穂に会えるチャンスは訪れていない。

店選びも良かったし、会話だって盛り上がっていた。里穂は僕のどこを見てNGだと判断したのだろうか?

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里穂が無理だと思ったのは何故!?