『寝ても覚めても』の北米プレミアに濱口監督が登壇!/[c]2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

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9月12日、トロント国際映画祭において濱口竜介監督の『寝ても覚めても』(公開中)の北米プレミア上映が行われた。濱口監督のトロント国際映画祭への出品は今作が初めてとなったが、映画祭海外作品ディレクターからは「独自のスタイルを持った作品で、濱口監督はこれから映画祭の常連となりえる監督」と紹介され、会場を埋めた大勢の観客から拍手で迎えられた。

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映画上映後には客席から「ブラボー!」の声が響き、質疑応答がスタート。柴崎友香の原作小説を映画化したことについて聞かれた濱口監督は「大筋は全く同じで、朝子が麦という男性に一目惚れして出会い、そっくりの顔を持つ亮平という男性と恋をしなおす流れ、そして最後の朝子の行動は一緒です」とコメント。

続けて濱口監督は「この原作に惹かれたのは2つの要素です。すごく古典的な、全く同じ顔をした2人の男性という、シェイクスピアや『トリスタンとイゾルデ』といったよう昔から神話などにある物語であること、そして日常を細かく描写した小説のスタイルで、すごく突拍子もないフィクションなのにすごくリアルに描かれているところに惹かれました。その2つの要素が同居しており、今の時代でも現代的なやり方で古典的な物語を語り直せると思いました。また、朝子の行動に小説を読んでびっくりしたのですが、朝子というキャラクターはこういうことをやる人だと小説を読みながら納得しました。“ありえないけれど説得力がある”というのもこの小説を映画化した理由です」と語った。

さらに麦のキャラクターについて、監督自身も行動原理に疑問に感じていたところ、原作者の柴崎友香から裏設定を聞いて納得したことを明かした。「麦は宇宙人であり、彼は地球に感情を学びに来て、学んでいる途中なのだという裏設定で小説を書いていたと柴崎さんから聞いて、とても腑に落ちました」と濱口監督が回答すると、劇場からは大きな笑いが起きていた。

質疑応答後にも、濱口監督を囲み感想を伝えようとする観客が列を作る様子をみると『寝ても覚めても』の飄々としたストーリーテリングと劇的な展開は、トロントの目の肥えた観客をすっかり魅了したようだ。(Movie Walker・取材・文/平井伊都子)