シャープが「AQUOSポータブル」でポータブルテレビ市場に再参入、パナソニックの牙城を崩す

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シャープは8月27日、ディスプレイとチューナーが分離した持ち運べるテレビ「AQUOSポータブル」を9月20日に発売することを発表した。

モデルと価格設定は、
・タッチパネルを搭載したAPラインの16型「2T-C16AP」が8万円台
・12型「2T-C12AP」が6万5千円前後
・リモコンモデルのAFライン12型「2T-C12AF」が4万5千円前後

2018年12月1日からは、いよいよBSで4K放送が始まる。
とはいえ4K放送が一般層に浸透するには、東京オリンピックなど、大きなイベントがない限りまだまだ時間がかかりそうである。そこで、別の切り口で新たな顧客層を獲得することも重要なのである。




シャープは、今回のポータブルテレビ市場の参入について、市場規模が、
・17年度には約17万台の実績があった
・18年には22万台に成長する
と見込んでいる。

さらに東京オリンピックの20年には33〜35万台の規模に成長すると予想している。
シャープは。この市場でシェアの半分獲得を狙うという。

大画面TVは、
・地上波やBS/CS
・動画のネット配信コンテンツの再生
までも取り込んでいる。
ハード面では
・有機ELによる薄型
・狭ベゼルデザイン
など大きな進化をしている。

しかしこうした変化が、TVの視聴スタイルを家庭のリビングだけでなく、自室やバスルームから、外出先、移動中での視聴など、多様化を生み出した。

つまり、映像コンテンツの視聴は、大画面が必ずしも必要であるとは限らない時代になっているのだ。

寝室やお風呂などプライベートな場所でゆっくり視聴するというニーズが増え、そうした市場をパナソニックの「プライベートVIERA」などが開拓している。




ポータブルテレビは、
観たい場所にテレビを持ち運び、地上波やハードディスクに録画した番組を空いた時間で視聴できる。

つまり録画などで録り溜めたコンテンツや、動画配信などでの一気見コンテンツが、時間と場所を選ばずに消費できるという視聴スタイルを実現するのだ。

そのためには、持ち運びできるサイズと重さ、そしてどこにでも設置できるデザインが必要となる。従来のTVにおいて一番の悩みは、アンテナケーブルや外付けHDDなどテレビに繋がっているケーブルが多いことだ。もちろん、電源ケーブルもそれにあたる。

そこで、チューナーを切り離しディスプレイにバッテリーを搭載することでこれらの問題を解決している。さらにDisplayとチューナーが無線で接続できるエリアであれば、例えば放送波が届かないバスルームなどでも番組視聴ができるというわけである。

実は、シャープは2011年にディスプレイとチューナーを分離した「フリースタイルAQUOS」を製品化している。大画面テレビをアンテナケーブルなどの取り回しを気にすることなく、自由に設置できることを特徴としたもので、20型から60型までラインアップしていた。

しかしながら、このプロダクトは大きな成功を収めることなく5年前に市場から撤退している。今では、チューナーを分けることなく、テレビの薄型化や狭ベゼル化が可能となり、壁掛けなど好きな場所に設置ができるようになった。プライベートAQUOSは、早すぎたコンセプトであったのかも知れない。

発表会ではこのプロダクトについて「市場ニーズに合わなかった」と振り返り、AQUOSポータブルは“用途提案型“として再チャレンジするという。




シャープが語る用途提案型のポータブルテレビは、背面にスタンドを兼ねた持ち運び用のハンドルを取り付けて取り回しの良さを特徴としている。
重さは、16型のモデルで1.36kg、12型は1kgを切る軽さである。
ライバルであるプライベートVIERAより、一回り大きな画面サイズでありながら、軽量化をすることで使い勝手の良さをアピールしている。




防水機能は、お風呂での視聴だけではなく、キッチンでのテレビ視聴や内蔵するWebブラウザを使ったレシピの確認などを想定している。
さらに、シャープの調理家電である「ヘルシオ」や人気の「ヘルシオホットクック」と連携したAI + IoTを組み合わせたAIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」を内蔵しており、大画面でレシピを確認し調理設定をAQUOSポータブルからヘルシオへ転送するといったことも可能だ。




COCORO KITCHENはスマートフォンアプリもあるので、食材の買物にはスマートフォンで確認し、キッチンではAQUOSポータブルでと言う連携を提案している。

一方で、動画のネット配信サービスには非対応と、テレビとしては割り切った仕様である。こうしたニーズには従来通り、スマートフォンやタブレットをそのまま使用した方が便利ということなのかも知れない。
なお、内蔵のWebブラウザを使ったYouTube視聴は可能である。

AQUOSポータブルは、視野角の広いTV画面とタッチ操作の使い勝手が良く、室内で持ち歩くこと前提としたデザインやプロテクション機能など、気配りが行き届いたポータブルテレビである。

プライベートな時間を過ごすテレビは、パナソニックが開拓した市場だ。
シャープはユーザーニーズに合わせ、さらに、AIoT機器との連携など新機軸を打ち出してきた。

ポータブルTVは、まだニッチな市場ではあるが、本当に必要なテレビというのは何なのかを考えさせられた。

4Kや8Kよりも生活に密着したテレビも必要なであり、その個性が今後より強くなっていくのではないだろうか。


執筆  mi2_303