ニコンが40万円超えの「Z7/Z6」でフルサイズミラーレスに参入 市場シェアNo1は取れるのか

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ミラーレスカメラ市場が大きく変わろうとしている。
ついにミラーレスでも、35mm判フルサイズイメージセンサー搭載カメラが本格的に展開される時代にはいったからだ。

フルサイズミラーレス市場では、これまでソニー「α7」シリーズが、今やグローバル市場で成功している。それもニコンやキヤノンが得意とするデジタル一眼レフ市場を超える勢いで成長しているのだ。

こうしたグローバル市場での状況から、ニコンは8月23日、同社初となるフルサイズミラーレスカメラ「Nikon Z7」、「Nikon Z6」を発表した。

Z7は9月下旬発売予定で、家電量販店での販売価格は44万円前後。
Z6は11月下旬発売予定で27万円前後。
ニコンは、この2機種でソニーの牙城を崩しにかかる。

さらに9月5日、デジタル一眼レフのトップメーカーであるキヤノンも、これまでの沈黙を破り、フルサイズミラーレスカメラ「EOS R」を10月下旬に発売することを発表した。
販売価格は237,500円(税抜)で、ニコンよりは安く、ソニーの最新モデル「α7 III」に近い価格設定である。

これで、ソニー、ニコン、キヤノンと、フルサイズミラーレス市場で三社による三つ巴の闘いがスタートする。

ニコンは新製品発表会で、フルサイズミラーレスのマーケットシェアナンバーワンを目指すと発言している。

なぜニコンはそこまでしてミラーレス市場に参戦するのか?
そして新製品は、トップを走るソニーのαシリーズとどう違うのか?
カメラ好きなら誰しも気になるところだろう。

デジタル一眼レフは、
レンズを通した“見たまま”が見える光学式ファインダーをはじめ、これまでカメラという歴史のある道具が培ってきた技術の集大成とも言える作り込みなどから、根強いファンが多い。

ニコンは今後もデジタル一眼レフを継続する構えだ。
しかし年9%ダウンしているとのことで、冷静に見れば今後の大きな成長は難しいカテゴリーでもある。
一方で、ミラーレスカメラは現在でも着実に成長している。
このことから、ニコンも本格的にフルサイズミラーレス市場へ参入したというわけである。




ミラーレスカメラの最大の特徴は、スマートフォンと同じように背面の液晶モニターで撮影できることだ。
この大型画面で確認しながらコンパクトなカメラボディで快適に撮影するスタイルにより、スマートフォンのカメラに慣れ親しんだ世代を取り込むことが容易になる。

これによってデジタル一眼レフでは為し得なかった市場の開拓が見込めるわけだ。
とはいえ、フルサイズミラーレスはカメラ本体とレンズなど必要なものを合わせると40万円を軽く超える。
このため、スマートフォン世代がすぐに飛びつくとは思えない。

フルサイズミラーレスのターゲットとして現状で見えてくるのは、
性能だけではなく、高級品であるというブランディングだ。

というのも、過去をみれば、
スマートフォンよりも安い2万円以下で買えるコンパクトデジカメですら売れずに市場は衰退している。
本体を安くしも顧客が少なければ市場は成長しないのだ。

すでに世界市場でも成功を収めているフルサイズミラーレスの先駆者であるソニーも、価値を下げないよう高級路線を貫いている。
高価格ながら、価格に見合う価値を生み出して、販売数を伸ばしている。

つまり、「カメラとは高級品である」という世界感を確立する。
これが、コンパクトデジカメの衰退で得た解答なのだ。

スマートフォン世代は、いつでも持ち歩けて簡単に写真が撮影でき、いつでもネットにシェアするという、限りなくコストのかからない便利さを享受している。

一方で、フルサイズミラーレスは、小型化されているとはいえ、持ち運ぶ手間や撮影知識も必要で、価格も高く、ある意味不便を強いられながら使う道具だ。
こうしたフルミラーレスカメラの魅力を、どれだけ訴求できるのか?
それがカメラメーカーの腕の見せ所ともなるだろう。

フルサイズミラーレスカメラには、
・高画質
・望遠レンズ
・プロカメラマンが撮影していた動体撮影ができる
・所有者の満足度を実現する質感
・高級品としてのカメラを所有する満足度
など、スマートフォンでは実現できない写真体験や満足度の提供といった様々なアプローチがあるだろう。

ニコンのフルサイズミラーレスにおける切り口は、ソニーとは異なる。
ソニーはデジタル技術で世界最高のフルサイズミラーレスを作ろうとしている。

一方ニコンは、次の100年につながるカメラシステム作ることである。

これまでニコンは、
1959年から始まるニコンFマウントシステムを、最新のデジタル一眼レフカメラ「D850」や「D5」でも継承している。

しかし、今回のフルサイズミラーレスで「Zマウント」を採用することで、その継承を一度切ったのだ。

これは、ニコンが未来に繋がるレンズマウントシステムを開発し、提供を始めることを意味する。




ミラーレス化に際して新設計されたZマウントの内径は55mm、一眼レフでは不可能だったイメージセンサーに近いフランジバック16mmを実現している。

これは、レンズ設計の自由度を高めることが狙いだ。
これによってニコンFマウントでは実現できなかったF0.95という明るさの
「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」
このレンズをラインナップに加えることができているのである。

もちろん、光学的なものだけではなく、カメラボディとレンズを制御するための通信にも最新の技術を導入している。今後、静止画だけではなく動画の需要が高まったときにその制御技術が真価を発揮するであろう。

ニコンのこうした未来を見据えたレンズマウントは、中長期においてソニーやキヤノンに対してアドバンテージとなることは確かだ。

しかし問題は、中長期での勝負に持ち込むためには、直近での成功が必要となる。
つまり、新製品の「Z7」および「Z6」が他社との勝負においてどれだけ勝てるか?
魅力的なカメラとして訴求できるかである。




フルサイズミラーレスのラインナップは、
4,575万画素の高画素機Z7
2,450万画素で秒間12コマの連写が可能なZ6
この2モデル構成で、ソニーに近い形でユーザーニーズに対応する。

この2モデルは、ニコンらしい堅牢さと実用的な性能を実現することで、誰でもが安心して使えるクオリティに仕上げている。




一方で、α7シリーズや連写に強いα9と比較すると、それを超えるニコンならではの魅力が少ない。
このため慎重に動向を見ているユーザーも多いだろう。

キヤノンのフルサイズミラーレス市場への電撃参戦によって、ニコンが今すぐシェアナンバーワンを取ることは難しいように思うが、Zマウントシステムの拡充と今後のボディ次第では勝てる要素はあるだろう。




東京オリンピックを前に、
スポーツ撮影に対応したプロ仕様のZマウントカメラが出てくるのか?
それとも
ソフトウェアアップデートでZ7やZ6の機能が大きく進化するのか?

今後のニコンの動向に注目したい。


執筆  mi2_303