10日、日本代表は前日公式練習を行い、翌日のコスタリカ戦に備えた。7日のチリ戦が北海道大地震の影響で中止されたため、この試合が森保一監督の初陣となる。

今回の注目選手のひとりに、左サイドでプレーする伊藤達哉がいる。高校を卒業するとそのままドイツ・ハンブルガーSVに加入し、Jリーグを経験していない。163センチ59キロと小柄だが、ブンデスリーガでは大男たちを相手に小気味いいドリブルで立ち向かっている。

もっとも伊藤にはライバルが多い。日本代表でのライバルの存在について聞かれた伊藤は、乾貴士、原口元気、宇佐美貴史などの名前を挙げつつ、抱負を語った。

「いい選手たちが一杯いるのは自分もわかってますけど、それでもいつまでも、自分たちの番が来るまで待つというより、プレーで少しずつ信頼を勝ち取っていって、いつかは一緒に戦えるか、もしくは世代交代じゃないですけど、いつかそのポジションを任せられるようになったらいいと思います」

もちろん、持ち味である攻撃力に加えて守備も大切だというのはわかっている。

「試合に入ってみないとわからないですけど、守備は、与えられたタスクはしっかりとやりたいと思います」

では、ライバルに比べて自身のどこが優れていると思うのだろうか。伊藤はしばらく考え込み、「ちょっと言葉を選ばないといけないですね」とニッコリすると、しっかりとした口調で語った。

「1対1で抜くという気持ちの部分は、そこだけは譲れない……そこで抜いてチャンスにつなげるという気持ちの部分は負けたくないところです」

強気にどんどん仕掛ける伊藤は、ボールを持つ度にスタジアムを沸かせるだろう。ブンデスリーガどおりにプレーすれば、大いに注目されるのは間違いない。

【森雅史/日本蹴球合同会社】