決勝が行われた日のスポーツ紙の一面。“王手”の段階で大きな注目を集めた

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 全米オープンテニスの女子シングルス決勝で、セリーナ・ウィリアムズ(36)を6ー2、6ー4で破り、日本人女子テニス界では初となる4大大会での初優勝を果たした大坂なおみ(20)。

「なおみさんは、父親のレオナルドさん(ハイチ系アメリカ人)、母親の環(たまき)さんとの間に生まれたハーフです。97年に大阪市で生まれて、3才になると家族でアメリカのフロリダ州の田舎町、フォートローダーデールに移住しました。

立場上、抑えていた気持ちが爆発

 母親の環さんは、もともと大阪出身ではなく北海道の根室出身。若い頃はスピードスケートの選手で、祖父の鉄夫さんは、根室水産業界をけん引する根室漁協の組合長、なおみさんはその孫にあたります。

 大阪に住んでいた幼少期から、近所の公園にあるテニスコートでレオナルドさんがコーチとなり練習していたそうです。(テニスは)個人戦で子供の成長にもよいと考え、テニスを教えていたようです」(スポーツ紙記者)

 最近では、持ち前の“天然ボケ”や、英語でのコメントに混じった、たどたどしい日本語が妙にウケて、試合より注目を集めていた。そんな孫娘の大快挙達成に、日本で暮らす祖父・大坂鉄夫さん(73)も祝福。

「試合は家内ら家族とテレビで見ていました。最初はハラハラしたけど、落ち着いていたね。優勝にはビックリしました。よくやった。お疲れさまと言いたいです」

 6日未明に発生した“平成30年北海道胆振東部地震”の影響による停電で、準々決勝と準決勝をテレビ観戦することができなかったという鉄夫さんは、孫の活躍を誰よりも祈っていた。

「実は鉄夫さん、根室漁協の組合長という立場上、長い間、コメントは一切しないと頑なに決めていたんですよ。なおみさんが幼少時期からアメリカに行ってしまい、娘夫婦ともほとんど会えていないということもあって、“勝手な話はできないから”と言っていました。

 地震の影響が冷めやらない中での取材ということには特に慎重でした。漁協には連日、取材依頼が山ほどきていましたが、職員総出で断ってきたんです。

 でも、今回は喜びのあまり、ついにポロっとコメントをしてしまったようです。その姿を見た職員は、あれだけ頑なに断ってきただけに、取材に応じる姿を見てひっくり返っていましたよ」(根室漁協関係者)

 男女を通じて日本初となる4大大会シングルス優勝に、2020年東京オリンピックへの期待も自然とふくらむが、

「五輪には日本代表として出てくれたらうれしい。でも、まずはケガをしないように頑張ってほしい」

 と、孫の活躍を素直に喜んでいた。

<取材・文/宮崎浩>