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◆パワハラかどうかは、被害者の受け止め方次第

 女子体操競技の宮川紗江選手が、日本体操協会の塚原光男副会長、塚原千恵子女子強化本部長夫妻をパワハラで訴えた。塚原夫妻は、「脅すための発言はしていません」「圧力なんかありません」「悪いことはしていないし、宮川が勝手に言っていること」と、パワハラであることを否定している。

 どうやら、パワハラをしたかどうかの判定について、パワハラをした側が決めることができると勘違いしているようだ。パワハラをした側の発言は、その判定に意味をなさない。第三者委員会が設置され状況を確認するようだが、今回のケースのように、組織の幹部がメンバーに対してパワハラをしたかどうかは、ひとえにパワハラをされた側がどう受け止めたかにかかっているのだ。

 なぜならば、メンバーがパワハラをされたと思った時点で、その幹部はリーダーとしての役割を発揮できていないということをつきつけられているからだ。パワハラで訴えられるということは、メンバーからリーダー失格であることの烙印を押されているということなのだ。

 私はリーダーの役割は、メンバーのモチベーションを高め、ひいては、メンバーのパフォーマンスを向上させることにあると考える。パワハラは、その役割とは真逆で、メンバーのモチベーションをこれ以上ないほど低下させ、パフォーマンスを低下させることは明白だ。

 そして、メンバーのモチベーションの低下は、他の誰でもない、パワハラを受けたメンバー自身が一番わかっていることだ。メンバー以外には本心はわからないとも言える。パワハラかどうかは、パワハラされた側がどう受けとめたかにかかっている……。私はそう考えることが理に適っていると思う。

◆パワハラが生まれる上司と部下の組み合わせ

 このように申し上げると、塚原女子強化本部長が言ったように「これでは、言ったもの勝ちじゃない」と思う人もいるだろう。そうなのだ。リーダーは言われたらおしまいなのだ。リーダーとしての役割を果たせていないのだから。

 若手のリーダーであろうとシニアのリーダーであろうと、小さなチームのリーダーであろうと大きな組織のリーダーであろうと、私はこの認識をもっと強く持つべきだと思えてならない。

 身につけたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習する「分解スキル反復演習」を実施していると、実はパワハラを起こしやすいリーダーとメンバーの傾向がわかってきた。

 それは、リーダーとメンバーが各々持っている、モチベーションファクター(意欲を高める要素)の差異と、相手のモチベーションファクターの見極め確度に相関している。

 私は、日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターを、以下の2つの志向、6つの要素に分類している。

<2つの志向と6つの要素、その特徴>
●牽引志向
・目標達成(チャレンジすることで意欲が高まる)
・自律裁量(独自の方法で取り組むとやる気が出る)
・地位権限(責任ある仕事をすることで気持ちを高める)

●調和志向
・他者協調(協力することで意欲が高まる)
・安定保障(リスク回避できるとやる気が出る)
・公私調和(バランスをがとれることで気持ちを高める)

 例えば成果を出すということを考えた場合、周囲の人と協力することで業績を上げやすい人もいれば、他の人とあまり連携せず、自分独自の方法で取り組むと業績を上げやすい人もいる。リスクを回避して業績を上げる人もいれば、リスクを恐れずチャレンジして業績を上げる人もいる。

 いずれも業績を上げることに貢献できるので、どのモチベーションファクターが善い悪いということではなく、人それぞれが持っている要素なのだ。