歌舞伎町で“昼の蝶”(でっぱりんTwitterより)

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 夜でもないのに、ホステスたちの嬌声が響き渡り、客はしたたかに酔っている。ここは新宿、歌舞伎町。眠らない街の“昼キャバ”で、ひときわ楽しそうにカラオケの合いの手を入れるホステスがいた。馴染みだろうか、客は彼女を「でっぱ」と呼んでいて……。

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 なにを隠そう、彼女は、あの「でっぱりん」である。そう言われても首を傾げるしかないご諸賢に、いかなる人物かをお伝えしたい。

 まずは、フジテレビ発の人気番組「あいのり」に出ている。正確には昨秋からネット動画で配信された続篇「あいのり:Asian Journey」の出演者である。

 番組の内容は、オーディションで選ばれた素人の男女7人が、ピンク色のワゴン車、ラブワゴンに乗って世界を回る。その過程での恋愛模様をつぶさに記録する“恋愛ドキュメントバラエティー”といえばお分かりいただけるか。

歌舞伎町で“昼の蝶”(でっぱりんTwitterより)

 で、出演者は互いにニックネームで呼びあうのだが、「でっぱりん」は就活中の22歳。博多弁丸出しで本音を晒し、飾らない性格で人気者になっていた。MCのお笑いコンビ「オードリー」のイチオシでもある。

 番組では見事、意中の相手とカップル成立。しかしこれが今春配信の最終回だったので、2人の関係や就活がどうなったかを誰も知らない状態だったのだ。

 そんな彼女が、日のあるうちから歌舞伎町で酔っていた。「あいのり」ファンならずとも、気にかかる。

本気やなかった

 青い浴衣姿の「でっぱりん」は、いくつかの席を回っている。指名が入っているのだろう。カラオケもなかなかの腕前だ。近ごろ流行りの、DA PUMPの「U.S.A.」もマスター済。

 楽しんで働く彼女の態度を、客も店のスタッフも好ましく感じている様子がうかがえる。でも、いったいなぜここに? 彼女曰く、

「ウェブデザイナーを目指してたんやけど、ここの求人を見て、条件いいやんって思って。今年5月から働きはじめたんです」

 給料は全額日払い、週1日3時間から働ける。この場合、夜の蝶ならぬ、“昼の蝶”となるのか。ともあれ、歌舞伎町は3カ月ほどになる。源氏名で出ていても、「でっぱりん」と気づく人がたまにいるらしい。

 そうそう、カップルになった相手とは?

「もう別れた。あいつ、本命の彼女がおった。インスタにあがってて、知りました。でも最初から私も本気やなかったし、あいつも本気やなかったけん」

 こんなやりとりをしていても、タレント気どりの素人といった印象はまったく受けない。番組の「でっぱりん」そのままだ。

 さて、もうじき日が落ちようかというころ。彼女は、途端にふらふらしはじめた。スタッフから注意されてようやく座っている状態で、テーブルから落ちたグラスが自分の足元近くで割れても反応ナシ。全力で働いた結果に違いない。

 最後に、耳より情報をひとつ。10月から配信予定の「あいのり:Asian Journey」のシーズン2。「でっぱりん」は、ふたたびラブワゴンに乗っているはずだ。

「週刊新潮」2018年9月6日号 掲載