打つ手なし

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 本家本元の「竹取物語」では、かぐや姫が5人の貴公子に無理難題を突き付けて、求婚を諦めさせる。翻って、大塚家具のかぐや姫こと大塚久美子社長(50)は、投資ファンドからも三行半を突き付けられ、無理難題が山積みの経営状態。もはや、運のツキ。帰るべき月が、内部留保とともにみるみる欠けていく。

 その苦境は、店舗を訪れてみれば一目瞭然。

 買い物客で賑わっているはずの週末の午後、まずは大塚家具で最大の売り場面積を誇る有明本社ショールームを覗いてみることにした。

 入り口から奥にあるカーテン、絨毯の売り場に客が1組。さらに、照明の売り場では、3組の客が品定めをしていた。上の階にある久美子社長肝煎りのアウトレットと中古品の売り場では、店員から商品説明を受けている男性客1人。そして、100万円以上の値札が付いている高級家具の売り場には誰も人がおらず、ミシッと床が軋む音が聞こえるほど。東京ドームのグラウンド以上の広さがあるのに、1時間で目撃した客は12組に過ぎなかった。

打つ手なし

 さらに、都心の主要店舗である新宿ショールームや銀座本店も似たようなもの。

 どこの売り場でも、店員は手持ち無沙汰で暇を持て余している様子だった。

異なるビジネスモデル

 親子喧嘩の果てに、久美子社長が、創業者で父親の勝久前会長を追い出してから3年半。なぜ、ここまで傾いてしまったのか。

 大塚家具関係者によれば、

「3年前には580億円だった売上高が、いまは380億円に急落しました。最大の原因は、ニトリやイケアなどの低、中価格帯にシフトしたからです。でも、ニトリやイケアは自社で商品の製造もしている。一方、大塚家具は家具メーカーから仕入れ、賃料の高い駅前の店舗で売ってきました。そもそも、ビジネスモデルが異なるのに、久美子社長はそこに参入しようとしたわけです」

 しかも、打つ手打つ手が、悉(ことごと)く空振りに終わったという。

「大々的に安売りセールを行ったことで、消費者は底値でしか買わなくなりました。普通、小売り業はサービスや付加価値でブランド力をアップさせ、高値でも商品が売れることを目指すもの。大塚家具にとって、安売りセールはイメージダウン以外の何ものでもなかった。また、アウトレットと中古品を正規品と並べて売り出したのも失敗です。正規品が見向きもされなくなりましたから」(同)

 挙げ句、久美子社長はにっちもさっちも行かない状況に追い詰められた。

「親子喧嘩のときに、久美子社長を支持した米投資ファンドの“ブランデス”も6・41%の保有株全部を売却しました。復活はないと見限られたわけです。今後、企業としての魅力のない大塚家具に、買い手が現れるかどうかも望み薄。一方、銀行団から50億円の融資枠を確保していますが、業績が良くなければ貸して貰えない。結局、仕入れができなくなって、倒産が現実味を帯びてくるのです」(同)

 大塚家具のかぐや姫に、救いの手を差し伸べる“使者”は見つからないか。

「週刊新潮」2018年9月6日号 掲載