恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は、熱く燃え上がったのに、急に音沙汰がなくなった女の心理という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




仁との出会いは、男友達の祐太郎から呼び出されて合流したバーだった。

「こちら、僕の友人の仁です。英理奈ちゃん、仁の隣の席でもいい?」

そう紹介された仁は、背が高くてちょっと肩幅が広く、顔立ちも綺麗だ。控え目に言っても、ものすごくタイプだった。

「こんな時間からすみません。何時から飲んでいるんですか?」

-軽い女だと思われたら嫌だな。

そう思い、一応“こんな遅い時間からすみません”とアピールしてみるが、そんなことは無駄な気遣いだったようだ。仁と私は意気投合し、すっかり盛り上がった。

「英理奈ちゃん、また飲もうよ。番号教えて」
「もちろんです♡また飲みましょう!」

この日をきっかけに私たちは仲良くなり、何度か会った後は体を重ねる仲にまでなった。

でもその際に、私は一気に冷めてしまったのだ。


男性はショックかも?英理奈が冷めてしまった理由とは?


解説1:勢いに身を任せた自分への後悔


初対面の日からちょうど一週間後。友達と六本木で食事をしていた時に、仁からLINEが入った。

-仁:今六本木で飲んでいるんだけど、どこか近くで飲んでいたりしないよね?


仁からのメッセージを見て、嬉しくなる。

出会った翌日にお礼のLINEを送りあったままそれっきりだったが、心のどこかでは連絡を待っていた。私はすぐに返信を打つ。

-英理奈: 私も今、乃木坂にいます!後で合流しますか(^^)?


こうして、私たちは23時から合流することになった。

「忙しい中、急に呼び出してごめんね。来てくれてありがとう」

指定されたお店へ着き、優しく微笑む仁を見ると思わずこちらまで笑顔になる。

-やっぱりこの人、素敵だなぁ。

改めてそんなことを思う。急な呼び出しに応じてホイホイ来てしまう自分は嫌だが、本能的に足が向いてしまった。

「仁さんからの連絡は、特別だから♡」

私がそう言うと、耳の方まで真っ赤になる仁は、とても可愛かった。

そしてこの時まで、私は少なからず彼に好意を持っていたのだ。

その日以来、何度か大人数では会っていたが、初めて仁と二人で『アズール エ マサウエキ』でデートをすることになったのは、知り合ってから約1ヶ月経った頃だった。




「英理奈ちゃんって、今彼氏いるの?」
「半年前に別れて以来、彼氏はいないよ〜。仁さんは?」

食事中に、踏み込んだ質問を初めてされて少し嬉しかった。今まで全くこういった会話がなかったので、あまり私に興味がないのかと思っていたからだ。

「そうなんだ!でも英理奈ちゃん、モテそうだからなぁ」
「そう?仁さんの方こそ」

きっと、仁はモテるに違いない。カッコイイし優しいし、経済力もある。きっと女性ならば、誰もが惹かれる。

そして、誰よりも本人が一番そのことを自覚しているだろう。ガッついていない所に余裕を感じるし、自分に自信があるようにも見える。

「なんか酔っぱらってきちゃったなぁ〜仁さんは?」

それまで冷静に仁を見つめていたはずが、迂闊にも私は酔っぱらってしまった。

外に出て酔いを冷ましながら帰ろうかと思っていたが、仁からの一言に私の心は大きく揺らぐ。

「僕も。そしたら…うち来る?」

普段だったら、付き合ってもいない相手ならば確実に断る。

だけど、どうしてだろうか。私の足はいつの間にか仁の家へと向いていた。彼がタイプだから?それとも酔いのせい?

自分の中で必死に言い訳を探しつつも、仁の胸へ飛び込んでしまいたい衝動に駆られた。結局その日は仁の家へ泊まり、一夜を共にしたのだった。

しかし翌朝、私は激しく後悔することになるのだ。


英理奈が後悔した理由とは?何故二回目もあった?


解説2:馴れ馴れしさと、相性の悪さに気がついて冷めた


朝起きた時、心の中での第一声はコレだった。

-あぁ、やってしまった…

隣で眠る仁の顔を見ながらコッソリと身支度をし、そそくさとその場を退散する。

-彼氏でもない人と、関係を持ってしまった…

朝焼けを見ながら、私は自責の念にかられる。

好きな人だったからこそ、もっとゆっくりと進めたかった。コレではただの軽い女で、本命になれることはない。

あまりにも軽すぎる自分に呆れ、私はただただ後悔しかなく、「帰りますと言いなさい!」と昨夜の私に言ってやりたい気分だ。時間を巻き戻せるものならそうしたいくらいだった。

激しい自己嫌悪に陥りかける。ナゼ、こんなことをしてしまったのだろうか。良い大人なのに、私は何をやっているんだろう。

仁にもこれからどうやって接すれば良いのか分からない。

だが、戸惑いながら一応お礼のLINEを送ると、仁からはいつもと同じテンションの返信が来た。

-あぁ、仁にとっては大した意味はなく、他の子とも毎回こんな感じなのね。

悔しいけれど、仁はこうしてすぐに誰とでも簡単にできるのだろう。

そんなことを思っていたが、仁の態度は変わらず「またデートしよう」と誘ってくる。もしかしたら、もう一度彼と冷静に向き合えば、何か関係が変わるかもしれない。そこで私は、二回目のデートに賭けることにしたのだった。




「今週は忙しかった?」
「うん、ちょっと大きなプレゼンがあったから準備に追われていて。英理奈は?」

あくまでも平静を装う会話に、自分でも笑えてくる。

良い大人だし、仁からすると大したことではないのだろう。色々と言い訳を考えていた自分が急に惨めになる。

しかし食事を終え、二軒目へ移動しようとした時に言われたセリフで、私は目が覚めた。

「この後、どうする?」

タクシーに乗り込んだ途端に、急に仁は体を近づけてきたのだ。明らかに、今夜も戦闘体勢である。

もはや流れ作業のようであり、当然の如く一夜を共にしようとする態度に、なんだかモヤッとする。

-明らかに、軽く見られているわよね…

しかし私も、“もう一度すれば、関係が進展するかもしれない”という馬鹿な期待を抱いてしまい、迂闊にもその誘いに乗ってしまった。

ところが私の部屋に来て仁と一夜を共にしながら、私は次第に冷静になっていく。

-何だか、キスの感じが合わないなぁ…

そんなことは本人の前では口が裂けても言えないが、キスにも相性がある。前は酔っぱらっていて気がつかなかったが、何だか合わないのだ。

私は気まずい雰囲気をごまかすように、思わずこう呟いた。

「仁さんって、不思議だよね。何だろう、この感じは」

そして、キスの相性はそのまま体の相性にも繋がる。そして二度目となると、女はかなり冷静に、隅々まで相手をジャッジする。

そのあとは、私の気持ちはどんどん違う方向へ向いていく一方だった。

-この人とは、歯車が合わなさそうだな。

“ワンナイトラブ”なんていう言葉がある。世間は、"ワンナイトで相手に見切りをつける"のは、男性だけだと思っているのかもしれないが、逆も大いにあり得る。

女だって、一晩で冷めることもあるのだ。

上手く言葉にできないが、私は仁と体の関係を持つことで、淡い幻想ではなく客観的に相手を評価することができ、逆に冷めてしまったのだ。

-なんだか、残念。

一度そう思ってしまったら、彼に対して私の気持ちが再び燃え上がることはないだろう。

そして私は、もう彼には連絡をしないと心に誓い、フェードアウトを決めたのだ。

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楽しみにしていたデートで女が幻滅する瞬間