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 南米のコロンビアの1960年代から武装ゲリラ組織が勢力を張り市民にとって半世紀余り暗黒の時代が続いた。

 2016年にコロンビア政府は最大のゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC)」と和平合意を結んだ。現在、政府はもう一方の強力なゲリラ組織「民族解放軍(ELN)」と和平交渉を続けている。

 この2つの主要ゲリラ組織以外に当時は「4月19日運動(M19)」、「社会主義革新潮流(CRD)」、「人民解放軍(EPL)」、「自営軍連合(AUC)」などが武装闘争を行っていた。

 ゲリラ組織の資金源は麻薬の生産販売を始め、企業や富裕者をゆすって資金の提供を求めた。拒否すれば誘拐して身代金を取る。それに応えなければ殺害するといった手口を実行していた。

 その影響でゲリラ組織が蔓延っていた半世紀の間、800万人の市民がその被害を受け、1958年から2012年までに22万人が殺害されているのである。その81.5%は一般の市民であった。また470万人が住居を追われ、行方不明者2万5000人となってる。(参照:「El Pais」)

 武装ゲリラ組織が誕生した理由は、コロンビアでは1945年以降保守党と自由党による寡頭政治から社会は不平等が顕著になり、貧困層の農村から社会主義の実現を求めて反体制派としてゲリラ組織が誕生したのである。彼らの活動にキューバ革命が影響を与えた。

◆チキータを強請り、資金を得ていたゲリラ

 この様な過程を歩んだゲリラ組織が資金源の獲得のひとつとして目をつけたのが国際企業からの資金の獲得であった。これらの企業が資金提供をしない場合は従業員の身の安全が保障されないとか、工場を放火するといったゆすりをするのであった。

 FARCとの和平合意が結ばれ、このゲリラ組織の幹部がコロンビアの国会議員となった今、130年の歴史を持つ地元紙(電子版)『EL ESPECTADOR』が9月1日付で、衝撃的な記事を掲載した。

 記事によれば、検察が461ページにわたるゲリラ組織への企業からの資金提供についての調査書類の存在を突き止めたところ、バナナの世界企業チキータ(Chiquita)が1997年から2004年までの間にゲリラ組織に資金提供していたというのだ。そして、同社の責任者役員13人は起訴されたことを他紙に先駆けて報じたのである。

 その起訴されたひとり、チャールズ・カイセルはチキータのコロンビアの子会社Banadexの社長だった時の1987年から2000年までに総額8億4600万コロンビアペソ(3000万円)の資金をゲリラ組織に提供したという容疑からである。他12人も同様の形で責任者としてゲリラ組織に資金を提供していたという理由から起訴されたのである。

◆5年間で1億円近くを提供

 また、チキータがゲリラ組織に支払っていた内容については情報電子紙『verdad abierta』が米国のNational Security Archive(リベラル系非営利団体である国家安全保障文書館)から得た情報を元に分析している。

 それによると、1991年から1996年の5年間に856815ドル(9430万円)をチキータがゲリラ組織に支払っていたことを明らかにしている。

 例えば、1991年10月から1992年9月までに支払った総額は76350ドル(840万円)で、その中でもELNへの資金提供が一番多く42500ドル(467万円)であった。

 最終的にはFARCがチキータから一番多額の資金提供を受けている。1991年から1996年の期間だと途中1993年は含まれていないが、FARCには236000ドル(2600万円)から314000ドル(3450万円)、ELNには(124000ドル(1360万円)から165000ドル(1820万円)を提供したとなっている。
提供されている金額が日本だと億円単位になろうと思われる。例えば、コロンビアの一人当たりのGDPは日本のそれの15%程度である。だから千万円単位というのはコロンビアでは相当の価値になる。

 この資金の提供がチキータの財務で容易に発見されないようにチキータが発行する多数のインボイスで中で詳細なる明細が必要でない項目に紛らわして支払いを実行していたという。ゲリラ組織が請求書を発行するなど当然考えられないことで。それを支払う橋渡しになる人物が彼らの責任者から領収したという署名を貰うシステムにしていたそうだ。

<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。