原宿警察署から送検される吉澤容疑者('18年9月7日)

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 元モーニング娘。吉澤ひとみ容疑者が、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)と道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)の疑いで警視庁中野署に6日逮捕された。

 芸能人の交通事故や交通違反は特に珍しいことではない。 

 X JAPANのYOSHIKIは'94年、ロサンゼルスにおいて、飲酒運転&スピード違反で逮捕されたことがある。ちなみにこのとき、助手席に乗っていたのが工藤静香だった。

 そして木村拓哉も'11年9月、'12年1月と立て続けにスピード違反で検挙され、結果、免許停止処分を受けている。

 記憶に新しいところでは、'16年12月にノンスタイル・井上裕介が運転する乗用車が、タクシーに接触する事故を起こし、現場から逃走したために、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)及び道交法違反(救護義務違反)容疑で書類送検されている(送検は翌年2月)。

 このほかにも事故・違反例を挙げればキリがないし、萩原流行さん、サッカー選手の奥大介さん、桜塚やっくんなどのように交通事故で亡くなった人もいた。

 だが、今回のように“酒気帯び運転”で“ひき逃げ”という悪質な違反は、私の記憶では芸能界の歴史のなかでも、おそらく初めてだと思う。

 芸能人だって人の子だ。免許を取って、車を運転したいと思うのは、なにもおかしなことではない。しかし、車の運転には、常に、事故の危険性が伴っている。

「事故に巻き込まれたら、仕事に穴を開けることにもなりかねません。その危険性を極力避けるため、タレントの移動には事務所が用意した送迎車を使います。そして、それが用意できなければ、タクシーや、場合によっては電車で移動することもあります」(芸能プロ関係者)

 だがそれは、あくまで仕事のときであって、プライベートで自家用車を運転する芸能人は多い。

「タレントの運転を禁止している事務所は多いんですよ。相撲協会にいたっては今でも、現役の力士が運転することを禁止しています。しかし、実際はプライベートな時間まで目が届きませんからね」(前出・芸能プロ関係者)

 芸能人には車が趣味の人も多い。高級外車や高性能スポーツカーに乗ることを夢見てタレントになった人もいる。仕事の合間にできた、貴重な時間に、愛車に乗りたくなる気持ちはよくわかる。 

 また、吉澤のように、子どもがいれば、買い物や送り迎えなどの日常生活で、車が必要なときも多いだろう。芸能人に運転禁止を徹底させるのは所詮(しょせん)無理なことだし、事故が完全に無くなることはないといえる。

「事故は起きてしまったら、どうしようもないんです。だけど芸能人は、事故を起こしたことがバレたら、仕事を干される、あるいは芸能界追放になってしまう、とすぐに考えてしまう。だから、たいした事故でなくても、現場から逃げたり、警察を呼ばずに自分の判断で処理し、あとでトラブルになってしまうこと人がいます。

 吉澤さんは、完全にアウトですが、もし現場を離れていなければ、世間からの見方も少しは変わっていたでしょう」(テレビ局関係者)

 犯罪性のない普通の事故の場合は、処理さえちゃんと済ませれば、責める人はいないと思う。どうしていいかわからなかったら、まずは警察、あるいはマネージャーに電話して指示を仰ぐべきだろう。

 吉澤が事故を起こした時間は、午前7時ごろだという。そもそも結婚して、2歳になる子どもがいる“母親”がそんな時間まで外で飲酒していたのも不可解な話だ。しかも、2時間後にはイベントに出席する予定だった。結局、吉澤は、仕事に穴を開けてしまったのだ。

 芸能人としての自覚が足りないと言う人もいるが、その前に母親として、ドライバーとしての自覚が必要でないだろうか。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。