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東京の交通の大動脈といえば、山手線。突出した利便性ゆえに、沿線は高いイメージも強く、検討する前に家探しの選択肢から外してしまう人も少なくはないだろう。しかし、人気の山手線といえど、穴場の地域はあるはず。ワンルーム・1K・1DKの物件を対象とした、山手線の全29駅家賃相場の調査結果を分析。狙いどころの駅や、それぞれの特徴を紹介する。山手線29駅の家賃相場が安い駅ランキング! 2018年版
順位/駅名/家賃相場/(駅所在地)
1位 田端8.10万円(北区)
2位 西日暮里8.30万円(荒川区)
3位 目白8.31万円(豊島区)
4位 大塚8.40万円(豊島区)
5位 駒込8.50万円(豊島区)
5位 高田馬場8.50万円(新宿区)
7位 日暮里8.60万円(荒川区)
7位 池袋8.60万円(豊島区)
9位 巣鴨9.00万円(豊島区)
9位 鶯谷9.00万円(台東区)
11位 大崎9.20万円(品川区)
12位 新大久保9.70万円(新宿区)
13位 上野9.76万円(台東区)
14位 五反田9.80万円(品川区)
15位 品川10.20万円(港区)
16位 目黒10.45万円(品川区)
17位 御徒町10.60万円(台東区)
18位 秋葉原10.75万円(千代田区)
19位 神田10.80万円(千代田区)
20位 代々木11.00万円(渋谷区)
21位 東京11.10万円(千代田区)
22位 浜松町11.20万円(港区)
23位 新宿11.40万円(新宿区)
23位 田町11.40万円(港区)
25位 渋谷11.50万円(渋谷区)
26位 恵比寿12.00万円(渋谷区)
27位 新橋12.40万円(港区)
28位 原宿12.80万円(渋谷区)
29位 有楽町12.85万円(千代田区)

都心を走る山手線。下町情緒もあふれる田端が1位に

安い駅ランキングのトップは北区の田端。都心を回遊する山手線のなかでは珍しく住宅地が目立ち、下町情緒が残る地域だ。駅周辺に大きな繁華街はなく、単身者が夜遅くまで出歩く楽しみは少ないかもしれない。しかし、ノスタルジックな雰囲気のあふれる商店街「田端銀座商店街」があり、ゆったり生活できる街といえそうだ。

田端駅は山手線だけでなく、同じく都心の大動脈である京浜東北線も利用できる。京浜東北線は昼間は快速運転になるが、その快速の停車駅であるため、横浜方面へのアクセスは抜群だ。また、隣駅で2位の西日暮里とは約700m、その向こうで7位の日暮里駅までも約1.3kmと駅間距離が狭く、両駅とも徒歩圏内。西日暮里は日暮里・舎人ライナーと東京メトロ千代田線、日暮里駅は同じく日暮里・舎人ライナーと京成電鉄、常磐線が利用できるため、交通アクセスの良さは大きな利点だろう。

(写真/PIXTA)

その西日暮里駅と日暮里駅の駅間距離は約500m。山手線のなかで最も短く、乗車時間は約1分で、歩いたほうが早いともいわれるほどだ。日暮里駅は、昔ながらのレトロな雰囲気で人気の谷根千地区こと谷中・根津・千駄木周辺地区の最寄駅。人情あふれる地域での生活は、それだけで魅力だろう。

東京らしい下町風情が満喫できる一方で、谷根千はクリエーターショップが集中する、オシャレな観光地としても愛されている。日暮里駅には、そうしたクリエーターにとって欠かせない卸問屋である日暮里繊維問屋街も近い。プロや業者だけでなく一般人でも購入可能なうえ、洋服や下着なども格安で購入できる店もあり、趣味と生活の両立を満喫できる街といえるだろう。

とにかく繁華街に住みたいなら、狙い目は池袋!

渋谷・新宿・池袋など、山手線沿いの大きな繁華街のなかで、いちばんお手ごろ価格なのは7位の池袋だ。ともに11万円を超える渋谷、新宿に比べ、池袋は8万円台。交通アクセスや商業施設はいずれも同等の充実ぶりなので、とにかく繁華街の近くで生活したい! というならまず検討するべきは池袋、といえそうだ。

同じような規模の繁華街でありながら、渋谷や新宿に比べると池袋は、少し華やかさが控え目、というイメージがあるかもしれない。しかし、大規模な繁華街を抱える駅であれば必然的に住宅地域まで距離が必要となるが、池袋は地域によっては徒歩5分ほどに閑静な住宅地が広がっており、昔ながらの商店も営業している。そのためか池袋は、山手線全駅のなかで今回対象となった物件数が突出して多く、渋谷や新宿の約2倍。住みたい部屋のタイプをいろいろ検討できる選択肢の多さは見過ごせない。

池袋(写真/PIXTA)

また池袋は、区をあげてアニメなどクールジャパンカルチャーを推進している印象も大きいが、もうひとつ、劇場の街という側面がある。日本でトップクラスのクオリティーの作品が上演される劇場のひとつである駅西口の東京芸術劇場だけでなく、老舗のサンシャイン劇場、中規模作品が上演されるあうるすぽっと、これから話題になるかもしれない劇団の作品が上演されるシアターグリーンなど、規模を問わず多種多様な作品が楽しめるのも見逃せない。

2018年の「住みたい街ランキング」(SUUMO調べ)の関東編では、2位に山手線の恵比寿がランクインしている。オシャレさや飲食店の充実ぶりがその理由。夜遅くまで人通りが絶えないため、帰宅が深夜になったとしても、比較的安心して過ごせるのも、人気のひとつかもしれない。同じ渋谷区内に位置している代々木、渋谷の3駅のなかでは、いちばん物件数が多い。

オシャレな印象が先行しているため、日常の買い物をイメージするのが少し難しいが、駅近くには朝8時から営業しているスーパーもある。しかし、周囲のすてきな飲食店の引力が強すぎて、自炊する気力を保つ難しさが、いちばんの強敵かもしれない。

人気のある路線は、駅それぞれの魅力も大きい。よく知っているつもりの山手線でも、改めて探してみたら新しい魅力が見つかるもの。自分が住むつもりで眺めてみれば、いつもの車窓からの眺めもまた違って映るかもしれない。

●調査概要
【調査対象駅】山手線沿線すべての駅(掲載物件が11件以上ある駅からランキングを作成)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上〜40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2018/4/1〜2018/6/31
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出
(鈴木千春)