サークルKサンクスの「ファミマ化」、年内にも完了へ。予定より早い「屋号統一」、その理由は?

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 先日は中堅コンビニ「セーブオン」の消滅を報じたばかりであるが、間もなく消えてしまうコンビニはそれだけではない。

 全国でお馴染みだったコンビニ「サンクス」が、8月23日をもってついに発祥の地・宮城県からも完全撤退。親会社のユニー・ファミリーマートHDはグループだった「サークルK」も含め11月中にもファミリーマートへのブランド統合を完了させる方針を発表しており、いよいよ消滅へのカウントダウンが始まった。

◆実は「東北発祥」だったサンクス

 ところで「サンクス」が東北発祥だったというのは知らなかった人も多いであろう。

 サンクスは総合スーパー「サンバード長崎屋」のコンビニ事業部として1980年7月に宮城県仙台市で設立した日本オリジナルのコンビニチェーンだ。同年11月に1号店となる「八幡店」(仙台市青葉区)を出店、翌1981年からは関東地方へ進出し、次第に全国へと店舗網を拡大していった。

 長崎屋はもともと平塚市で創業、当時は市川市本八幡に本社があったが、サンクスの本社は1983年1月に東京・日本橋へ移転するまで2年半ほど仙台市に置かれていた。当時、仙台エリアには長崎屋が多店舗展開しており、同社が力を入れる都市の1つであった。

 1号店であった八幡店は現存しないものの、すぐ近隣には最近まで「サンクス仙台八幡二丁目店」が所在。同店はサンクス1号店を引き継ぐ店舗として…ではなく仙台名物・芋煮の季節になると店舗前に大量の「芋煮用焚き木」が積まれることでも知られていたが、こちらも昨年ファミリーマートへと転換されてしまった。

 もちろん、サークルKサンクスのファミマ転換はこれ以外の地域においても進んでいる。

 サークルKサンクスがファミマに経営統合されたのは2016年9月のこと。当時国内に約6300店もあったサークルKサンクスの店舗は、今年6月には1000店を、そしてこの9月には300店を割り込むまでに減少。2月には福島県から、3月には栃木県から、6月には奈良県、和歌山県、香川県から、8月には宮城県のほかに山形県、群馬県、新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県、岡山県、福岡県から完全撤退しており、もはや街で見かけることも困難になった。

 商品や物流拠点の統合も2017年6月までに完了しており、現在ファミマとサークルKサンクスで違うのはほぼ「看板」だけだ。

◆「サークルKサンクス」、屋号消滅を急いだ理由は?

 一方の「サークルK」は大手スーパー「ユニー」が米サークルK社からライセンスを受け、1980年3月に名古屋市天白区に日本1号店を誕生させたものだ。

 サークルKサンクスは、2001年にサークルKとサンクスが持ち株会社の下に統合、2004年に合併して発足した。当時、サンクスの親会社であった長崎屋は経営不振に陥っていたため、合併後の運営会社「株式会社サークルKサンクス」はサークルKの系譜を受け継ぎユニーの100パーセント子会社となった。その後、長崎屋は2007年よりドン・キホーテの傘下となっている。

 当時、この「サークルK」と「サンクス」の合併も国内コンビニ業界初となる「大手同士の経営統合」として脚光を浴びたことは記憶に新しい。しかし、店舗ブランド一本化の失敗もあり「弱小チェーン」のイメージから抜け出すことができず、さらに両社のFC契約方式や条件の違いから首都圏や北陸、名古屋、南九州などの地区本部やフランチャイジーが相次いで離脱。ローソンなどライバル企業へと転換を図った店も少なくなかった。

 ファミリーマートは経営統合当初「2019年中の屋号統一」(2016年2月時点での発表では2019年2月まで)を目指していたというが、予定より早い屋号やシステムの統合となったのは、こうした過去の反省からであろう。

 もちろん、それ以上に過酷な現実を突き付けてくるのは「売上」だ。

 ユニー・ファミリーマートHDが今年7月に発表した2019年2月期第1四半期決算説明によると、「サークルK」「サンクス」から「ファミリーマート」へブランド転換した店舗の1店あたり日販額は50万6000円(転換前対比10%増)、客数821人(11%増)と、いずれも以前より1割以上増加したという。

 コンビニ大手3社の店舗あたりの平均日販額を見ると(表参照)、セブンイレブンが63万5000円であるのに対し、ローソンは53万6000円、ファミリーマートはそれよりも低い52万円に留まる。ファミリーマートは営業利益についても大手3社の中で最も低く、個店の日販額増加は喫緊の課題であった。

 こうした現実的な数字を見せられると、早期の「屋号統一」となったことは納得せざるを得ない。

◆寡占化が強まるコンビニ業界、「大手3社」の独壇場に

 かつて群雄割拠の様相を呈していたコンビニ業界も、ここ10年ほどで経営統合が大きく進み、大手3社の「寡占化」が強まることとなった。単独での生き残りを選択した企業であっても、表で示したように大手3社との提携により生き残りを図る例も少なくない。

 そうしたなか、コンビニ業界では「業態の進化」も進んでいる。当初は単なる「買い物の場」であったコンビニも、1990年代には殆どの店舗が24時間営業化され、2000年代に入るとATMやマルチメディア端末が設置されるようになるなど、日常生活に欠かせない「インフラ」として捉えられるようになり、2017年には災害時に国の要請に応じて緊急支援を行う「指定公共機関」にも追加指定された。

 そうした大手各社の進化こそが、中小各社の店舗を見劣りがするものへと変えていったことは否めず、ますます業界の寡占化が進むに至ったともいえよう。

 次々と新たなサービスが生まれる一方で、消えていく事業者や商品も少なくないコンビニ業界。果たしてこの先はどういった「新たな姿」を見せてくれるのであろうか。

<取材・撮影・文/若杉優貴(都市商業研究所)>
【都市商業研究所】
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