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自宅の隣が突然、葬儀場になると・・・

2005年12月04日07時27分 / 提供:PJ

pj
世間では、葬儀場の建設をめぐりトラブルが絶えない。街中や郊外に目を向けても、「葬儀場建設反対」の抗議看板が目立つようになってきた。高齢化社会を踏まえて、葬儀ビジネスも更に混沌と複雑になっていくのかもしれない。

 Aさんは一年前、所有の土地に自宅を新築した。当時、Aさん宅の横には既に廃業した二階建ての「飲食店」があり、50台は余裕で停められる駐車場もそのままで、大広間もある飲食店だった。住み始めて1年程経ったある日、隣の飲食店の周りに突如足場が組まれ、屋根と外壁の塗装が始まった。Aさんや隣近所は「また違う飲食店が入るのか」と軽く促していたが、着工から4、5日経つと屋根が「黒色」で塗られていることに気づき、「飲食店なのに変わった色を使うんだな」と不思議に思っていたという。それから2日後、業者が尋ねて来た。「今度、隣でイベントホールの営業させて頂きます」「各種の集会や食事会、地域の皆さんに多目的に使って頂く施設になります」 そう言って業者は帰っていった。

 Aさん宅と隣接する飲食店の壁まで、フェンスを挟んで5メートルほどしかなく、「騒音とかは大丈夫だろうか?」「まさか葬儀なんてやらないだろか?」と、一抹の不安を抱いたAさんだったが、その不安は的中する。道路沿いに看板が掲げられ、「セレモニーホール」と書かれていた。営業が始まると「葬儀」以外に使用される事は皆無だった。多いときには、週に4、5回の葬儀が営まれ、多くの弔問客がひっきりなしに訪れる。クルマの出入りも激しくなり、自宅前の道路も渋滞した。夜遅くまで煌々と外灯が照らされ、夏場になると大量の害虫が寄ってきて処理に苦慮したこともある。

 それよりも耐えられなかったのは「読経」やホール内から洩れてくる「人の声」、そして線香の「におい」だったという。古い建物を簡単に改装しただけで葬儀場にしてしまったため、防音装置など到底無い。壁一枚しかない隙間から「読経」や「声」が夜遅くまで聞こえてきた。ガラスを全て閉め、テレビなどの音で多少は紛れても、就寝時などには外からの音が室内に響いてくる。更に葬儀の当日は、隣接する換気ダクトからの線香臭により、外に洗濯物を干せない日も多かった。

 我慢できなくなり苦情を申し出ても、「法律に違反しているわけではないから問題はない」と、それだけの返事だった。「なんとか防音装置を設置して欲しい」と頼んでみても、「そんな義務はないが、とりあえずは検討してみる」と言ったまま、結局なんの処置もされなかった。その後も同じ状況が続き、家族も体調を崩すようになる。役所や相談機関に相談しても解決の糸口は見えず、誰の助けも受けられない日々が続いた。

 Aさんは、ある方法に出る。「葬儀中に直談判に行けば弔問客の目もある、向こうとて何らかの動きをとるしかなくなる」と、弔問客が集まる場に単身乗り込み騒ぎ立てた。当然外に連れ出され営業妨害だと職員から罵られたが、Aさんは二度、三度と同じ事を繰り返す。その後、第三者を交えた話し合いの結果、民事訴訟などをせずに、「業者がAさん宅を買い取る」という合意に至り、新築して1年しか経たない自宅からAさんは引っ越していくことになった。

 このケースは、なんとか解決ができた事例だろう。建物の構造を変えたり使用目的が変われば、「確認申請」や「用途変更」の届出が基本的には必要になる。不正な使用を防ぐ為に条例を設け、建設、設置などの申請や許可を厳しくしている行政もあるが、まだまだ抜け道は多い。

 ある日突然、自宅の隣にあった建物が「葬儀場」になってしまったらどう対処するだろうか。「名目上」は「イベントホール」や「多目的ホール」、近隣には何も知らされず、あれよという間に自宅の隣に葬儀場が現れる可能性はある。誰も使っていないからと安心は出来ない。格好の物件があれば、そこにビジネスは存在してしまう。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 瀬畑 真一

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