群馬県の国道18号「碓氷バイパス」で、一部区間の路面に水玉模様のような丸いドットが連続的にペイントされました。峠道での速度抑制を期待するものだといいますが、施工されたのは下り側ではなく、上り側のみです。どのような効果があるのでしょうか。

上り坂で速度抑制が必要なワケ

 群馬県で、路面に水玉模様を描いたような道路が登場しました。


オプティカルドットシステムのイメージ(画像:高崎河川国道事務所)。

 場所は、長野の軽井沢へ通じる国道18号「碓氷バイパス」の一部区間で、2018年7月下旬から8月にかけて車線規制を敷いたうえでペイントが施工されました。道路を管理する国土交通省 高崎河川国道事務所によると、このペイントは「オプティカルドットシステム」といい、一般道では初めての導入だそうです。どのような効果があるのか聞きました。

――どのような効果があるのでしょうか?

 見通しの悪いカーブが続く箇所で、先々の線形を明示・ガイドし、ドライバーが無自覚のうちに速度を制御する効果を狙っています。その先のカーブの度合をいち早く認知できることで、ゆっくり入ってスッと出るという適切な緩急の制御を自然に促します。

――なぜ導入したのでしょうか?

 この区間は長野方面に向かって上り坂で、しかもきついカーブが続きます。下り坂となる側では意識的にスピードを落とすのでよいですが、上り坂では、勢いをつけて坂を上ろうとする大型車が転倒して死亡事故が起きたり、荷物が落下して車線をふさいだりする事例があったためです。今回、碓氷バイパスに試験導入したオプティカルドットシステムは、登坂車線と走行車線がある上り坂の走行車線側で、約1.4kmにわたり連続して施工しています。

首都高では導入済み どんな効果があった?

――導入効果をどのように測定されますでしょうか? また、今後ほかの区間にも導入されるのでしょうか?

 効果測定については、大型車の事故が多いため、商用車のプローブデータ(走行情報)により施工前と施工後の走行速度を比較することで、速度抑制の効果があるかを確認します。また、通行による摩耗状況を踏まえた経済性、施工性などを総合的に分析し、ほかの道路への事業化に向けた評価検討を行います。

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 高崎河川国道事務所によると、この区間では注意喚起の看板などは従前から設置しているものの、言葉ではなかなか効果が得られなかったといいます。「オプティカルドットシステムはすでに首都高で導入しており、そこで認められた速度抑制効果がここでも発揮されることを期待しています」と話します。


碓氷バイパスでの施工の様子。上り坂となる長野方面行きの走行車線にドットがペイントされた(画像:高崎河川国道事務所)。

 首都高でオプティカルドットシステムが導入されているのは、S5さいたま大宮線、美女木JCTから浦和南料金所にかけての下り線です。ここは碓氷バイパスのようなカーブの続く区間ではなく、見通しのよい直線の下り坂となっています。

「下り坂の先に浦和南料金所があるため、スピードを十分に落とさないままETCレーンに進入するなどして、施設に接触してしまうケースがありました。その対策も含め、下り坂における速度抑制を目的として導入しています」(首都高速道路)

 首都高速道路によると、この区間ではオプティカルドットシステム導入から1年後、走行車両の最大30%に速度抑制効果が確認できたそうです。多くの車両で一様に速度が下がったわけでなく、スピードが出すぎていたクルマが減った印象だといいます。

※一部修正しました(8月27日16時40分)